研究室ガイド2011
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理論物理研究室准 教 授長田 剛【主な卒業研究テーマ】いきなり最先端の物理学の研究をテーマにすることはさすがに無理です。そこで、理論物理研究室での卒業研究テーマは、「素粒子・原子核理論」の分野の物理にこだわりません(もちろん、素粒子や宇宙の物理を勉強したい人に対しては、適当なテーマを与えます)。身近で一見単純そうに見えても、いざ説明しようとすると説明が困難な現象というものは、探してみれば結構あるものです。その様な、なるべく学生の『素朴な疑問』からスタートして、1年間徹底的に(主に理論面から)研究できるような物理のテーマを一緒に探してみましょう。主な就職先(2010年3月・院生含む)当該年度卒業生なし物理科学コース素粒子論、原子核物理学の理論的研究直接社会全体に影響は与えないが、人類が受け継ぎ共有してきた疑問に答えを与える可能性自然法則に対して疑問を抱き続けること、好奇心を持ち続けることが大切 STEP1:研究室の特色 STEP2:研究室をさらに詳しく「我々の宇宙はビッグバンと呼ばれる、“火の玉”の急激な膨張から始まり、約137億年の時を経て現在の宇宙の姿となった。」 このビッグバン理論を支持する観測が現在積み上げられつつあります。仮にこの理論が正しいとすると、初期の宇宙は非常に高温・高密度であり、そしてその膨張とともに宇宙全体は冷却し、物質(素粒子)や力(相互作用)が分岐しつつ階層化して、我々をとり囲む現在の多様な自然界が生まれたと考えられます。宇宙の初期において、素粒子やその相互作用がどのように分岐・階層化してきたのか、それを理論的に探ることが、理論物理研究室の現在の主な研究テーマです。また、素粒子の多重発生機構や一般化統計力学の理論的枠組みを相対論的流体力学へ拡張する研究なども行っています。子供のころ夜空を見上げて、自分を取り巻くこの宇宙はどのくらい大きいのか?誰しも疑問をもったかと思います。我々人類には、あたかもそれが遺伝しているかのように、この宇宙を理解したいという気持ちが脈々と受け継がれてきました。まだ不正確かもしれませんが、我々は宇宙の“地平線”までの距離を見出し、いまその宇宙の起源に迫りつつあります。おもしろいことに広大な宇宙の理解には極微の世界の物理が大事だと分かってきました。このような研究は直接社会全体に影響は与えませんが、理論物理は、人類が受け継ぎ共有してきた疑問に対して、なんらかの答えを与えることが出来るかもしれません。ガリレオが「宇宙という書物は数学の言葉で書かれている」と述べたように、物理現象を理解するには数学の力が必要となります。理論物理研究室は、物理や数学が得意な人に向いていると思います。しかし言葉(数学)の問題は、素粒子や宇宙、この自然界の法則を理解したいという熱意で必ず乗り越えることができます。大事なのは、アインシュタインが言ったように、自然法則に対して疑問を抱き続けること、好奇心を持ち続けることだと思います。研 究 内 容社会との接点研究室の横顔リテラシー学群 研究室134

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