研究室ガイド2011
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准 教 授伊東 明美自動車エンジン研究室私たちの生活に欠かせない自動車用エンジンは、今、二酸化炭素排出量削減という大きな課題に直面しています。そこで当研究室では二酸化炭素排出量ゼロを目指し、水素エンジンの実用化にとりくんでいます。既に公道走行が可能な水素エンジンバスを完成させ、現在は水素ハイブリッドトラックの開発を行っています。また、現在、使用されているエンジンの燃費向上のため、エンジン各部の摩擦損失低減に取組んでいます。エンジン部品の摩擦力を直接測定することは一般的には困難ですが、当研究室では、蓄積された測定手法を駆使し、学生が設計した測定装置をエンジンに取り付け、実際にエンジンを回して測定を行っています。多数の自動車メーカーやエンジン部品メーカーおよび石油メーカーより、エンジンの潤滑に関する研究を受託し、メーカーと一丸となって、エンジンの課題解決に取組んでいます。受託研究で得られた成果は、メーカーの次期エンジン等の開発に活用されています。さらに水素エンジンの実用化のための研究成果である水素エンジンバスは、公道走行による実証試験を重ねながら、二酸化炭素フリー自動車のひとつの可能性を社会にアピールし続けています。座学で学んだ知識がどのように活用されているのかを、実際にエンジンを使用した研究の中で学べるよう配慮しています。また、研究室で手がけた内容のみならず、幅広く応用が利く知識を身につけてもらうため、基本を重視した研究の進め方を心がけています。研 究 内 容社会との接点研究室の横顔環境にやさしいエンジンのための研究を行っています当研究室の成果は自動車メーカーやエンジン部品メーカーで活用されています企業で活躍できる学生の育成を心がけています STEP1:研究室の特色 STEP2:研究室をさらに詳しく【主な卒業研究テーマ】●水素エンジン自動車の実用化研究 水素エンジンの課題は異常燃焼の防止である。異常燃焼の原因を解明し、実用化可能なエンジンを提案する。●エンジンのピストン摩擦力低減に関する研究 ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンともに、ピストンの摩擦力は全摩擦損失中、大きな割合を占めている。そのためピストン摩擦力の低減は燃費向上に有効である。●エンジンのオイル消費低減に関する研究 エンジンオイルはエンジンの燃焼室に入り込み、未燃・既燃の形で排気中に放出される。これはエンジンの触媒を劣化させる。ピストンの摩擦力を減少させると、オイル消費が増加することがしばしばある。そのためオイル消費の低減はピストン摩擦力低減と同時に取組む必要がある。想定される主な就職先自動車メーカー(トヨタ、日産、本田技研、スズキ、いすゞ中研、マツダ、富士重工、日野、他)石油メーカー(日本石油、出光興産、他) エンジン部品メーカー(日本ピストンリング、リケン、他)総合研究所 研究室143

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