研究室ガイド2015
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研究室をさらに詳しく主な卒業研究テーマ研究内容社会との接点研究室の横顔環境創生学科(生態システム応用計画学)[持続的未来のための人間環境と自然環境の調和が図れる空間のありようを科学する]我々の生活基盤は、自然がもたらす生態系サービスにより支えられています。しかしながら、現実には、自然がもたらすサービス量をはるかに超える人間の活動量が自然を量・質両面から変形・分断させています。とりわけ都市における環境変容量は、供給される生態系サービスの容量を遙かに超え、都市住民ばかりでなくそれを囲む周縁の自然と人間の均衡を歪め、かつその望ましいつながりを破断させています。その反面、一極集中の勢いは止まらず、中山間に典型的な災害を防備し生態系の保続に貢献する地方地域は崩壊の速度を速めています。こうした現状に対し、公園緑地等のグリーンインフラの仕組みを活用することなどを含めた計画的な自然社会(生態系)と人間社会の均衡を図る方策や、その持続性を担保するために市民社会や民間企業など多様なステークホルダーの協働により環境修復を行う手法などを、ランドスケープ学の体系を視座に据え具体性のある研究を行うことを課題としています。[環境と経済とコミュニティが合理的に調和する都市や地域の社会的システムとデザインを研究する]本来わが国には、自然の特質を読み取り、それを利用する量的限界とその質を恒常的に維持する為の知恵を重視する文化が存在していました。取り分けその特質が「里山」と称される空間に色濃く表れています。そこには自然の生産量を持続的に確保する循環型の知恵が見受けられます。つまり「つなぎ」と「まわし」をキ―ワードとしたライフスタイルと「いなす」「しのぐ」などの仕掛けを持った空間配置が日本の伝統的な土地利用の特質と言えましょう。わけてもあの東日本大震災の過酷な被災を踏まえて、レジリエンス性の高い国土を指向せねばならないことに改めて気付かされました。今改めて人工物としてのグレーインフラに頼るばかりではなく、日本の各地に存在する伝統的な土地利用の知恵を活かしたグリーンインフラを重視する視点を前提に、被災地をはじめ多くの地域と研究活動のコラボレーションが行われています。知恵に着目し、空間量やその配置、或いは社会的システムの計画論に反映することが求められます。我々の領域の研究は、フィールドに現実を見出し、それを社会的にあるべき姿と対照させ、その乖離を図るところから始まります。その為には、日頃から社会全般にわたる興味と関心を寄せ、社会のあるべき方向を認識しておく必要があります。とどのつまり我々の研究が「何のために」という基本的問いかけに対する正答を得ていなければなりません。研究のための研究ではなく、常に社会に対応した成果を示す心がけを重視したいと考えています。●自然環境調査手法に関わる研究●私有財産の社会的共通環境資本財としての価値の検証と顕在化手法●都市における特殊環境下の緑化技術●都市における公園緑地の存在効用、例えば暑熱等環境改善の手法研究●都市におけるエコロジカルネットワーク形成に資する研究●上記の研究から導き出された、人工面を芝地化し自然面に転換する工法開発(都市大方式)を研究し、併せて今年度からブラウンフィールドの雑草を用いた土壌浄化の研究に着手●地域活性化戦略としての景観形成の研究●条件不利地における国土保全機能の評価とその価値維持システムの研究●環境に起因する心因的ストレスを低減する環境条件の研究●公園・緑地、民間の再開発から生じる緑地の配置と量の確保に関する研究●不動産価値に第三の価値環境不動産価値という新たな視点が重要と提言しそのシステムを研究研究内容社会との接点研究室の横顔生態学的地域環境条件と、人間社会のよりよい共生のシステムとデザインに関する研究生物社会と共存する都市や地域の在り方を提言する現地現物主義を前提とし、社会哲学的観点を重視し、その上に具体のスキルを展開する姿勢を共有する主な就職先・進学先[2014年3月・院生含む]民間デベロッパー、計画系コンサルタント、環境コンサルタント、測量会社、総合建設業、造園建設業、観光産業生態環境分野横浜キャンパス3号館5階涌井研究室教 授涌井 史郎学 部 生13名148

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