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トピックス詳細(プレスリリース)
東京都市大学
東京都市大学(東京都世田谷区、学長:三木 千壽)知識工学部 経営システム工学科の田村 慶信 教授ら研究チームは、クラウドサービスの計画的なメンテナンスに最適な時期を予測するソフトウェアを開発しました。
現在、様々な場面で利活用が進むビッグデータは、クラウドサービスを用いた管理が一般的ですが、クラウドサービスには、世界中から昼夜を問わず利用されるためシステム停止を伴う計画的なメンテナンスを行いにくいという課題があります。
しかしながら、ひとたびメンテナンス不足による障害が発生すれば、対応に多大なコストが生じるとともに、信頼性が低下し、顧客離れにもつながることから、この解決が急務となっています。
今回開発したソフトウェアに、すでに判明しているクラウドサービスのプログラム上の誤り(バグデータ)を入力することで、メンテナンスに掛かるコスト(費用・時間)が最小限となる時期を予測することが可能となり、計画的なメンテナンスが実現できることから、ビッグデータの一層円滑な利活用が期待されます。
本研究のポイント
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クラウドサービスのメンテナンスに最適な、稼働時のノイズ(バグに起因する)の少ない時期を予測するソフトウェアを開発した。
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クラウドサービス稼働時の安定性と稼働に必要なコスト(費用・時間)から、メンテナンスに最適な時期がわかるようになった。
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オープンソースソフトウェア(以下:OSS、※1)でソースコードを公開しているため、誰でも自由にダウンロードし使用できる。
概要
クラウドサービスにおいて、計画的なメンテナンスに最適な時期を予測するため、稼働時のノイズが少ない時期を計算するソフトウェアを開発しました。
以下の図は、開発されたソフトウェアの実行画面です。クラウドサービス稼動後の時間、費用、安定性を表しています。この図では、稼働から約300日目において、メンテナンスを行うことが最適です。
また、本ソフトウェアは、あらゆるオペレーティングシステム(OS)に対応しているうえ、OSSとして公開しているため、誰でも自由にダウンロードできる点も特徴です。
【ソフトウェア公開先】http://tam.ims.tcu.ac.jp/(田村研究室ウェブサイト)
「ビッグデータを有するクラウドコンピューティングに対する
3種雑音モデルに基づくディペンダビリティ評価のための3Dアプリケーション」
研究の背景
ビッグデータは、顧客管理、経営・事業戦略、気象・地震データ分析、リスク分析(防犯等)など、様々な場面での利活用が進んでいます。こうしたビッグデータは、現在、クラウドサービスで管理するのが一般的であり、また低コスト、保守・運用の容易さから、その多くがOSSによって構築されています。
OSSによるクラウドサービスは、常にバージョンを新しくすることで、安全性を確保することができる一方で、24時間利用されるため、計画的なメンテナンスに踏み切れない点が課題でした。
クラウドサービスにおいて、ひとたび障害が発生すれば、世界規模のトラブルに波及し、その影響は瞬時に表面化します。例えば2017年に、クラウドサービスを提供する大手会社で発生した、ストレージサービスの大規模障害では、サービスを4時間以上停止したことにより、1億5000万ドルの被害額があったと推定されたケースもありました。(2017年3月19日エコノミックニュース:http://economic.jp/?p=72580)
障害の発生は、顧客へ損害を与えるだけでなく、企業の信用を失墜させることから、大量の顧客を失う恐れがあります。円滑な企業活動を行うためにも、安心・安全に稼働できるソフトウェアが必要とされており、本チームでは開発を行ってきました。
応用と課題
共同研究者
山田茂 鳥取大学 特任教授/名誉教授
本成果の実績
【論文掲載】
出版社:World Scientific Publishing(シンガポール大手出版社)2018年6月号電子版
論文名:Optimization and Reliability Analysis Tool Based on Multi-Dimensional
Wiener Processes for Big Data on Cloud Computing
【表彰】
学会名:International Society of Science and Applied Technologies[国際科学・応用技術学会]
会議名:24th International Conference on Reliability and Quality in Design[第24回設計における信頼性および品質に関するISSAT国際会議]
受賞日:2018年8月2日
内 容:Best Paper Award
用語解説
※1 オープンソースソフトウェア(OSS):ソースコードが公開され、無料で誰でも自由に使用可能なソフト
ウェア
※2 稼働率:コンピューターやネットワークなどのシステムが、ある一定期間の中で正常に稼働している時間の
割合
※3 深層学習:ディープラーニングと言われ,大規模データに基づいて機械が自動的に特徴抽出を行うことが可能