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トピックス詳細(イベント・行事)
2019年8月23日(金)、本学世田谷キャンパスにて「第2回 東海大学ー東京都市大学ジョイントシンポジウム」を開催しました。本学と東海大学は「研究交流に関する包括協定」(2018年4月1日〜)を締結し、両大学が所有する機器類の共同利用や、教員同士の共同研究を推進しています。同シンポジウムは、今後の一層活発な交流に向けて実施するもので、本年3月に東海大学湘南キャンパスで行われた第1回に続く2回目の開催となります。
シンポジウムに先立ち、本学 総合研究所(等々力キャンパス)インテリジェントロボティクスセンター、ナノエレクトロニクス研究センターおよびナノテクノロジー研究推進センター※(世田谷キャンパス)の施設見学を行い、研究概要や分析機器等に関する説明を行いました。
※2019年9月1日より「ナノ科学技術学際研究センター」に名称変更
その後、世田谷キャンパス2号館に場所を移し、研究発表(前半4件、後半4件)、パネルディスカッション、ポスターセッションから成るジョイントシンポジウムを実施しました。
本学三木千壽学長のビデオメッセージに続いて、最初に演台に立った本学総合研究所 未来都市研究機構長の葉村真樹教授は「東京都市大学が提唱するアーバン・デジタル・トランスフォーメーション(UDX)」と題して、同機構が主導する全学的な学際研究を説明し、科学技術と人間中心の設計思想を融合した、市民一人ひとりが生きやすい都市を実現したいと語りました。
次に、東海大学 情報技術センター所長の長 幸平教授による講演「災害・環境変動監視を目的としたグローカル・モデリング・システムの構築による安全・安心な社会への貢献」では、衛星を利用したグローバルな災害監視システムと、SNS等を介したローカルな監視体制とを統合した「グローカル・モニタリング・システム」が紹介されました。
続いて、本学総合研究所 こども家庭福祉研究センター長の早坂信哉教授が「健康福祉関係機関と研究者・企業・市民をつなぐ拠点となる地域健康福祉プラットフォーム事業」との演題で、渋谷区との連携による「渋谷福祉学会」の活動や、子育て支援センター「ぴっぴ」利用者アンケートからの考察など、同センターの研究活動について説明しました。
最後に、東海大学 創造科学技術研究機構の田口かおり講師からは、「美術作品の保存修復と光学調査の射程」と題して、X線や赤外線、蛍光X線などの光学的手法や、絵の具の組成分析などさまざまなアプローチを通して、印象派の巨匠クロード・モネの幻の大作『睡蓮―柳の反映』の欠損部を修復していく作業などを紹介頂きました。
パネルディスカッションは、「融合研究の魅力」、「学内ベンチャー」、「研究機器共用に向けて」の3テーマに分かれて実施しました。
「融合研究の魅力」では、東海大学 体育学部の山田 洋教授が、理学部、工学部、医学部、人文社会科学系の研究者が協力しながら、トップアスリートの運動能力の分析に取り組んでいる事例など、同大学スポーツ科学分野の融合研究について説明されました。また、本学総合研究所マイクロナノシステム研究室の藤田博之教授は、X線CT技術やマイクロマシンなど、異分野の研究が出会うことによって生まれたさまざまな研究成果を紹介しました。参加者とのディスカッションでは、「マイクロマシンをスポーツ科学に応用して生体データを体を傷つけずに収集、分析できないか」など新たな研究に向け、建設的な意見が交わされました。
ポスターセッションでは、東海大学から31、本学から28のポスターが出展され、研究内容を個別に説明する輪の中では、共同研究の可能性も検討されていました。
後半の研究発表では、まず「人との共存を可能にする小型移動体の位置推定と最適誘導制御」との演題で、本学総合研究所インテリジェントロボティクスセンター長の野中謙一郎教授が、ドローンや車輪型移動体などが衝突を回避しながら、自律的に走行するための制御方法やセンシング技術を説明しました。
続いて東海大学 総合科学技術研究所内燃機関ユニットリーダーの落合成行教授が「メソ領域における『流れ』の見える化による新たな技術の創出」と題し、本学三原研究室との共同研究「エンジンにおけるオイル消費低減及び解析モデルの構築」に関する成果を紹介しました。
さらに、本学総合研究所 FUTURE-PV研究室 小長井誠教授より「太陽電池技術開発におけるイノベーション」というテーマの下、太陽電池開発の歴史を紹介しながら、より高効率で低コストな太陽電池開発の可能性について、IoTを含めた多角的な視点からの考察を講演しました。
最後に、東海大学 理学部化学科の冨田恒之准教授が「『人と街と太陽が調和する』創・送エネルギーシステムの開発」のタイトルで、太陽電池によるエネルギーの創出と、無線電力電送によるエネルギー送出の双方を組み合わせ、環境に優しいスマートシティを構築するという壮大な構想を語られました。
閉会の挨拶に立たれた東海大学の稲津敏行副学長(理系担当)は「今後、両大学の共同研究を一層活性させていくため、外部資金の獲得にもつなげていきたい」と抱負を語られました。また本学の丸泉琢也副学長(総括・研究担当)は「個別の研究テーマを設定して一層緊密な連携を構築し、具体的な成果を出していきたい」と、包括協定を契機とした両大学のさらなる関係強化に期待を寄せました。
その後の懇親会・情報交換会には、両大学の教職員や学生が参加し、研究活動の活性化につながる意見交換や議論が行われました。