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トピックス詳細(イベント・行事)
新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、「令和2年度学位授与式」は、一堂に会しての式典を行わず、学科・専攻ごとに学位記の交付等を行いました。式典にてお伝えする予定だった 学長・理事長・校友会会長 からのメッセージを以下にお届けいたします。
学長式辞
本日は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、変則的な形で学位授与式を実施させていただきます。コロナ禍がなければ、世田谷キャンパスの体育館をメイン会場として、皆さんのご家族の皆様にも参加いただき、また、多くのご来賓を迎えて挙行するところですが、残念ながらこのような形式にせざるをえませんでした。皆さんとは、コロナ禍が収まった後に、何らかの形でこのキャンパスでお会いしたいと考えています。
本日は、大学院博士後期課程の総合理工学研究科にて12名が博士(工学)の学位を、環境情報学研究科にて6名が博士(環境情報学)の学位を取得しています。また、修士の学位取得者につきましては、総合理工学研究科212名、環境情報学研究科16名の計228名となっております。さらに学士につきましては工学部698名、知識工学部303名、環境学部162名、メディア情報学部183名、都市生活学部164名、人間科学部101名の計1,611名の学生が東京都市大学を卒業いたします。
改めまして、皆さんおめでとうございます。ご家族の皆様には、お目に掛かることはかないませんでしたが、さぞかしご安心のことと推察し、心からお喜び申し上げます。卒業生、修了生の皆さんには、ぜひ、その旨をご家族の皆様にお伝えいただきたいと思います。皆さんの今日があるのは、ご両親をはじめとするご家族の皆様のおかげであることを、しっかりと胸に刻み付けてください。
さて、皆さんはいよいよ社会人です。小学校から始まった16年間、あるいはそれ以上の長かった「学ぶ」世界から、自分自身で道を切り開きながら進む世界への船出です。まずは社会人としての自覚を持ち、責任のある行動をすることです。自分に自信をもち、思いっきりの力を発揮して、ご活躍ください。学部卒業生の多くは大学院に進学されます。社会では、大学院生は、社会人として扱われます。その自覚をもって、自分を高める努力をしてください。
でも、大変な状況の中での船出です。これから先、どうなるのかは見えません。このコロナ禍は、あと数か月で収まってくれるのか、さらに続くのか、わかりません。ワクチンが全世界に行き届くまで、様々な制約を受けることは確かでしょう。これから先、早い時期にAfter Coronaと言えるとHappyであり、これから長くWith Coronaでやっていかなければならない可能性もあります。
コロナ禍は、我々に、いろいろなことを気付かせてくれました。私がもっともショックだったのは、日本の科学技術の世界的なポジションの低下です。コロナに関する研究論文の数が、世界第17位であるとのデータに愕然としました。また、ワクチンの開発についても日本の存在感がありません。今までも、大学の世界ランキングや、トップ10%論文集などで、日本のポジションはどんどん落ちていることが示されてきましたが、ここまでとは思いませんでした。
日本は、かつて、科学技術立国と評価され、科学技術の多くの分野で、米国に次ぐ第2位を続けてきました。その結果として世界第2位の経済大国を誇ってきました。そしてアジアやアフリカなどこれから発展しようとしている多くの国からお手本にされてきました。しかし、2000年代に入ったころから、そのポジションは低下を続けています。そして中国にあっという間に抜きさられました。そのほかの国も日本より早い速度で成長し続けています。なぜ、このようなことになってしまったのか、それは、豊かになるにつれてハングリー精神を失い、今もっているものを失うことを恐れ始めたのではないかと思います。そうなると、行動が、コンサバティブになり、新しいことにチャレンジしなくなります。このままで行くと、今の日本の将来は暗いし、今のレベルを保つことすら難しいでしょう。
でも、日本にはまだまだ国際的な競争力を持つ分野はあります。日本が果さなければいけない役割もたくさん有るし、期待もされています。皆さんは、是非、世界中の人たちが幸福を感じる世界、未来社会の実現にチャレンジしてください。
今日、皆さんに2つのことをお伝えしたいと思います。その第一は、「失敗を恐れず、チャレンジすること」の重要性です。チャレンジの無いところからは何も生まれてきません。アインシュタインは、Anyone who has never made a mistake has never tried anything new.(失敗を経験した事がない者は、何も新しい事に挑戦したことが無いということだ)と言っています。大学の卒業や大学院の修了は決して「ゴール」では無く、次のレベルへの「スタート」です。これからの新しい環境でも、失敗を恐れず、チャレンジする心構えを持ってください。
もう一つの伝えたいことは、人との出会い、つながりを大事にしてほしいということです。どのような社会になっても、基本は人とのつながりです。それも、生身でのお付き合いが大切です。日本経済新聞 朝刊の最後のページには、『交遊抄』という小さなコラムがあり、いろいろな分野の人が、自分の印象に残っている「人とのつながり」について、書いています。私自身のことを振り返ってみても、人とのつながりで様々なチャンスをいただいてきています。人とのつながり、そこから出来上がる人脈は最大の財産です。あの出会いが無ければ、今の自分は無いなと思うことがしばしばです。
私は3回ほど大学を動いていますが、すべて、いろいろな方とのつながりの中で声をかけていただき、チャンスをいただいてきています。出会いを大事にすると、その中で人生のメンターと思えるような人、生涯の友人と出会うこともできます。そのためには、世界中の、たくさんの人と出会い、自分から進んでお付き合いすることを心がけてください。
今日皆さんが受け取る、学位記のフォルダーに「一心」と書かせていただきました。禅語ですが、私の大好きな言葉です。すべてのことは心が原動力、自分の心を一つにして物事に立ち向かえば、必ずや相手を動かすことができる、といった意味です。世界が皆さんの能動的な行動を待っています。まずは思いっきり自分を燃焼させてください。そして、困ったこと、迷うことがあれば、東京都市大学を訪ねてください。大学そして教員はそれを待っています。
これからの、皆さんの大いなる発展、ご活躍を祈念して本日の式辞とさせていただきます。
2021年3月19日
東京都市大学
学長 三木 千壽
理事長挨拶
本日、ここに、博士・修士および学士の学位を取得された皆さん、誠におめでとうございます。心から御祝申し上げます。そして、今日のこの日を待ちわびておられたご家族の皆様にも、御祝申し上げますとともに、学校法人五島育英会に対するこれまでのご理解・ご支援に対し、厚く御礼申し上げます。また、三木学長はじめ、親身になって教育・研究の指導に当たられた大学の関係者の方々に深く敬意を表する次第です。修了生、卒業生の皆さんが、学位授与の日を無事に迎えることができたのは、ご両親様をはじめ多くの方々の、様々な支援があったことを忘れてはなりません。是非、支えてくださった方々に、卒業の報告と感謝の気持ちを伝えていただきたいと思います。
本日、皆さんは、多くの経験を積み上げて豊かな教養とともに、それぞれの学問領域において、広く、そして深い専門性を身につけ、課題の探求と解決に必要な能力を修得された証として学位を得られたのです。最高学府で学位を取得したという意味を自覚し、本学で学び、体得した学問・知識の集大成を今後遭遇する色々な場面で遺憾なく発揮され、目を広く世界に向け、文化・社会の発展に寄与するよう努力していただきたいと思います。
さて、本年度の学位授与式は、コロナウイルス感染症予防の観点から、安心・安全に配慮し、例年とは異なるものとなりました。少々寂しい式典になってしまいましたが、お許しください。コロナウイルスによる世界的なパンデミックをきっかけとして、今までの古い方法や、当たり前と思われてきた考え方に焦点が当たり、社会を改善できる好機となっていることも事実であります。医療体制の脆弱性、偏見と差別、経済的な不平等など、皆さんが社会に踏み出そうとするタイミングで様々な問題点が明らかになりました。わが国はもとより、全世界が直面した、あるいは直面している状況を踏まえれば、「これまで長きにわたって行われてきた慣習や方法は正しい」という先入観を捨て、様々な危機への対応を探っていくことが重要であります。何が正解かわからない状態にあるからこそ、皆さんの世代が自らの手で創っていける社会が目の前にあるのです。パナソニックの創始者で経営の神様とも言われる松下幸之助氏は、人間の繁栄、平和、幸福の実現のためには、「何ものにもとらわれない心」が大切であると、自らの著書で綴っておられます。政治や経済、経営等、人間の諸活動における過ちの原因は、それらを行う私たちの「とらわれの心」にあるのではないかと考えているのです。今までの失敗や恐怖、固定概念を捨てることは簡単ではありませんが、ぜひ皆さんにはこれからも学び続け、失敗を恐れずチャレンジして頂きたいと思います。
現代は、まさに手探りで不安定な時代の真っ只中にありますが、そのような時だからこそ、「いつの時代においても変わらない価値観」を大切にして欲しいということもお伝えします。これからの人生、幾多の困難や逆境に直面し、迷うこと、逃げ出したくなることもあると思いますが、ぜひ自分自身をしっかりと見つめ、心から正しいと思う道を選択するようにしてください。自分自身の欲望や、楽なこと、簡単なこと、効率のみを重視した選択をするのではなく、誠実さ、勤勉さ、責任感、公平性、寛大な心、他者への敬意など、「普遍的な価値観」を大切にしてほしいと思います。言葉にするのは簡単ですが、実際に自分を律しながら長い人生を過ごしていく事は想像以上に大変です。時にはずる賢い考えが浮かび、または周囲に流され、間違いを起こしてしまうこともあるかも知れません。しかし、信念を持ち続け、できない理由を並べずに、今できることを実行していけば、どんな困難な状況であっても、乗り越えられます。また、自分一人で大きなことを成し遂げられる人はいません。人とのコミュニケーションはとても重要です。自分と同じような考えを持つ人達だけと関わることは簡単ですが、人種、性別、性的指向、言語、宗教、障がいの有無など、あらゆる面での違いを肯定し、互いに認め合うことによって、自分自身も成長できますし社会も進歩します。どうか、皆さんの力で、世界を良い方向に進めていってほしいと切に願います。
これからの新しい時代は、若い皆さんが中心であり、皆さんが牽引していく時代です。健康に留意され、広い世界で存分に活躍されることを期待しています。皆さんの歩まれる人生が、実り多いものであることを心から祈念いたしまして、お祝いの挨拶といたします。 本日は誠におめでとうございます。
2021年3月19日
学校法人五島育英会
理事長 高橋 遠
校友会会長ご祝辞
ご卒業おめでとうございます。校友会を代表して、お祝い申し上げます。
現役の学生さんは校友会の準会員ですが、卒業生の皆さんは正会員になります。心より歓迎いたします。 校友会の目的は会員相互の親睦と母校の発展に寄与することで、一昨年の台風被害に対しては復旧支援の義援金、昨年のコロナ禍ではリモート授業用として大学から貸与したパソコン等の購入資金の寄付を行いました。
校友会もコロナ禍のため、この一年間は対面での会議や行事を行う事が出来ず、委員会等はリモートで行ってきました。大学を卒業して40年、50年過ぎたメンバーもリモート会議を体験してこれを利用するメリットを実感しました。そこでリモート方式のホームカミングデイに挑戦しました。学長に大学の現状と将来の展望を説明いただき、その後にビデオによるキャンパスの被災状況、復旧過程と将来の姿を紹介して好評でした。最後はブレイクアウトルームで卒業学科別、クラブ活動別等の小集団ミーティングも体験しました。80歳代の大先輩や海外からも卒業生に参加いただきました。コロナ禍で採用環境が厳しくなる中で、学生さんの就職を支援する恒例の進路相談会もリモートで開催することが出来ました。多くの企業から卒業生に参加いただき、学生さんとの画面を通した質疑応答などでお役に立てたと思います。
校友会では以前から働き盛りの世代の校友会活動への参加を求めておりましたが、平日の夜に校友会館自由が丘クラブに集まるのは時間的、距離的に困難な方が多い状況でした。その対策として、ICTを活用してリモート併用とすべきとの意見はありましたが、なかなか具体化できずにおりました。ところがコロナ禍をきっかけに、校友会活動を続けるには他に選択肢がなく躊躇することなく準備を進め実行出来ました。大袈裟に言えば校友会はデジタルトランスフォーメーション(DX)に一歩踏み込んだと言えます。多くの企業等でリモート方式の在宅勤務が始まり、働き方改革が進んだのと同様の流れだと思います。皆さんも大学生活の最終年になって急にリモート方式の授業、研究、ゼミ等を行わざるを得ない状況になりました。先生方も準備に大変ご苦労が有ったと思います。
さて、皆さんがこれからビジネスパーソン等として仕事をする社会は、まさにDXが進行する真っただ中だと思います。DXとは、ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるという概念と言われています。企業では自らの文化、組織、従業員のあり方を見直し、顧客、市場の範囲やビジネスモデルを根底から変化すべく動き出しています。リモートでのミーティングや授業、仕事をする事はDXの入り口の一歩手前に過ぎません。皆さんは、大学で身に着けた総合的な知見と志をもって未来に向かってDXの波頭に立って活躍してください。
社会の変革期には企業も大きく変わります。過去の経験の延長線では発展出来ない時を迎えています。卒業大学、学科、年次を問わずに活躍できる舞台がすぐそこに来ているのです。今こそ皆さんのチャンスです。卒業後も絶え間なく勉強を続け、最新の知見と想像力を磨いて社会変革の担い手となってください。人生の中で、このコロナ禍を、「わざわい転じて福となす」大チャンスだと思って大飛躍されることを祈念いたします。
2021年3月19日
東京都市大学校友会
会長 原口 兼正