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トピックス詳細(イベント・行事)
「令和3年度学位授与式」 学長・理事長・校友会会長 からのメッセージを以下にお届けいたします。
学長式辞
本日、校友会会長の松村様、後援会長の土屋様にご出席いただき、この学位授与式を持てること、東京都市大学学長として、大変な喜びであります。この2年間、コロナ禍のために、皆さんに集まっていただいての学位授与式を持つことができませんでした。コロナはまだまだ終息したとは言えませんが、ワクチンの接種が進んだこともあり、ぜひ、今年は学位授与式を対面で実施したいと考えました。例年に比べると、小規模であり、また、ご家族の皆様には、この会場への来場をご遠慮いただきました。このあたりのこと、ご理解いいただきたく、お願い申し上げます。
本日の学位授与ですが、大学院博士後期課程の総合理工学研究科で5名が博士(工学)の学位を、環境情報学研究科で4名が博士(環境情報学)の学位を、また、1名が論文を提出し博士(工学)の学位を取得しています。修士課程と博士前期課程は、総合理工学研究科で229名、環境情報学研究科で16名、の計245名が修了し、修士の学位を取得しています。学士につきましては工学部697名、知識工学部302名、環境学部148名、メディア情報学部179名、都市生活学部155名、人間科学部96名、計1577名の学生が東京都市大学を卒業いたします。
改めまして、皆さんおめでとうございます。ご家族の皆様には、さぞかしご安心のことと推察いたします。心からお喜び申し上げます。卒業生の皆さんは、今日があるのはご両親やご家族の皆様のおかげであることを、しっかりと胸に刻み付けてください。
さて、コロナ禍は2年を越えました。クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で、発症者が見つかったのが2020年2月1日 ですから、2年を超えたことになります。その時にはこれほどのことになるとは予想もしませんでした。ちなみに、2020年3月19日の全国の感染者数は約40人です。最近の感染者数は全国で5万人レベルであり、2月頃で10万人の印象が強いため、収束してきたように感じますが、まだまだ安心できる状況にはありません。大学にとっても、学生の皆さんにとっても、大変な2年間でした。
大学としては、皆さんの学びに対して、できるだけマイナスになることを避けるように、オンライン授業、ハイブリッド授業など、いろいろな工夫をしてきました。しかし、対面でしかできないことがいろいろとあります。特に、教員と学生の間、学生同士など、人と人とのつながりについては、なかなかオンラインでは難しいところがあります。十分ではないこと、足りなかったことについては、心よりお詫び申し上げます。大学として、卒業、修了後について、継続的な対応ができるようなプログラムなどを、考えさせていただきます。
学位を授与するにあたって、卒業生・修了生の皆さんへ私の思い、期待を伝えさせていただきます。それは「失敗を恐れず、チャレンジすること」の重要性です。チャレンジの無いところからは何も生まれてきません。アインシュタインはAnyone who has never made a mistake has never tried anything new.「失敗を経験した事がない者は、何も新しい事に挑戦したことが無いということだ」と言っています。これは私の座右の銘です。
もう少し、言葉を足すならば、「決してあきらめるな、自分を信じて、最後の1歩、最後の1秒までチャレンジせよ」です。私は、何事にもLast one step, last one secondのパフォーマンスが重要と思っています。最悪は、自分の力ではこれくらいかな、こんなもんでよいかな、と考えて、努力を終わりにすることです。もう一息頑張ってみよう、もう少しどうにかなるのでは、これは私がいつも自分に言い聞かせていることでもあります。
日本は停滞した状態が続いています。このような状況の時にこそ、現状に満足するのではなく、どうにか変えてやろう、何ができるのか、といったチャレンジが必要です。例えば、日本ではこの30年間、給料がほとんど変わっていません。皆さんが受け取る初任給はご父母の世代が30年前に受け取られた初任給と変わらないでしょう。この停滞した社会を、1990年代のバブル崩壊 からの失われた20年と呼びましたが、30年になり、さらに続いているということです。そのような国は日本だけです。これで良しとはできません。
アメリカの社会学者であるエズラ・ボーゲルがJapan as number one、lessons for Americaという本を書いたのが1979年です。半年後に翻訳本がでましたが、日本だけでも75万部が売れたという本です。私も読みました。私は1981年に米国に行ったのですが、その時の日本とアメリカをくらべて、どこがJapan as No.1 lessons for Americaかと、強く感じたことを思い出します。日本が「科学技術立国、世界第2位の経済大国」ともてはやされたのは1980年代後半から1990年代前半です。エズラ・ボーゲルは、1979年に、日本の成長を予言していたとも言えます。Japan as No.1では日本人の強みは学習意欲と、読書習慣であるとしています。また、日本人は数学で世界No.1、科学分野でも2-3位であるとされています。
世界は大きく成長しています。立ち止まって足踏みをしているのは日本だけであり、世界的にはどんどん抜き去られ、置いて行かれることを意味します。早くこの停滞した状況から抜け出さなければなりません。困ったところは、皆さんは、日本が元気な時代を知らないところにあります。日本人は世界的に優れた能力を持ってることを自覚してください。この停滞した日本で再び目を覚まさせるためには、Challengeの気持ちをもって行動するしかありません。
今日、皆さんが受け取る、学位記のフォルダーに「一心」と書かせていただきました。禅語ですが、私の大好きな言葉です。すべてのことは心が原動力、自分の心を一つにして物事に立ち向かえば、必ずや相手を動かすことができる、といった意味です。世界が皆さんの能動的な行動を待っています。まずは思いっきり自分を燃焼させてください。そして、困ったこと、迷うことがあれば、東京都市大学を訪ねてください。大学そして教員はそれを待っています。
皆さんの大いなる発展、ご活躍を祈念して本日の式辞とさせていただきます。
東京都市大学
学長 三木 千壽
理事長挨拶
本日、ここに、博士・修士および学士の学位を取得された皆さん、誠におめでとうございます。心から御祝い申し上げます。
そして、今日この日を待ちわびておられたご家族の皆様にも、御祝い申し上げますとともに、東京都市大学に対するこれまでのご理解・ご支援に対し、深く感謝いたします。
また、三木学長はじめ、親身になって教育・研究の指導に当たられた大学関係者の方々、さらに学園生活をバックアップして下さった後援会・校友会の方々にも心から感謝と敬意を表します。
修了生、卒業生の皆さん、学位授与の日を無事に迎えることができたのは、皆さん自身の弛まぬ努力の賜物であることは勿論ですが、同時にご両親様をはじめ周囲の方々の、長年にわたる支えによるものであることに思いを致し、この機会に改めて支えて下さった方一人ひとりを思い浮かべ、感謝してください。
さて皆さんは、それぞれの学問領域において、広く深い専門性を身につけ、課題の探求と解決に必要な能力を修得された証として、本日ここに学位を得られました。ここに至るまでは、コロナ禍をはじめ乗り越えるべき山を越えるため、大変な努力をされたことと思います。その努力に心から敬意を表します。しかし、考えてみて下さい。今手にしたものは過去の努力と一定の知識・能力の証明でしかないということを。真に大切なのは、ここで証明されたものを土台に、これからを如何に過ごすか?です。
皆さんの前にあるのは、これまでのように正解のある課題ではありません。還暦を超える私のような世代が社会人になったころは、正解のようなものがありました。世界が驚愕する経済成長をとげた社会の中で、先輩たちが成功したやり方が、ある意味正しい解であり、それをがむしゃらに覚えることが新人の役目だったのです。しかし今は、それだけでは通用しない時代となりました。新人であっても自ら答えを出し解決していかなければならない課題に立ち向かうことを求められます。しかも、自分のことだけを考えていてはならないという制約の中でです。
世界は今、大きな曲がり角に差しかかっています。ひたすらに求めてきた「成長」の限界が見え、「持続可能性」が焦点となってきました。それを課題としてとらえ、2030年までに達成すべき具体的目標として国連が定めたものが、皆さんご存じのSDGsと言われる17の目標です。 地球温暖化、貧困の撲滅、全ての人に健康と福祉を、といった大きな課題であり、かつ日常の中であっても個人個人が解決を意識しなくてはならない目標です。
幸いなことに東京都市大学は、持続可能な社会発展をもたらすための人材教育と学術研究に早くから取り組んできました。皆さんは、先に述べた課題を解決し、他者に貢献できるだけの素養を身に着けて学び舎を飛び立つことになります。皆さんは、その素養をベースに、これから始まる新生活において遭遇するであろう様々な課題を自己の論理だけでなく、地球的な視野をもって解決し、周囲から高く評価され、深く信頼される存在として活躍されるものと確信しております。そしてその実績が、ひいては東京都市大学の名を大いに高からしめて下さるものと期待しております。
最後に先人たちの含蓄ある言葉を贈りたいと思います。『幸福論』などで知られるフランスの哲学者アランの有名な言葉に、「悲観は気分に属し、楽観は意志に属する」というのがあります。アランはまた「人は望まない限り、幸福にはなれない」とも言っています。 日本の偉人松下幸之助は、「決して悲観しない。いかなる場合でも、“おまえは日本人やないか。そうや、自分は日本人や。必ずうまくいく”と、こう思うてぼくはやっている」※と言っています。いずれも意志の力、意志の重要性を説いています。
これからの新しい時代は、若い皆さんが中心であり、皆さんが牽引していく時代です。私たちの時代には、道標のようなものはありましたが、経験値によって決められた狭いフィールドの道標でした。より困難な時代に船出する皆さんは、自ら進路を定め、自らの力で、正解のない大海に漕ぎだすことになりますが、今は全人類のためのSDGsという道標があり、フィールドは全世界であり、自由な発想で挑戦できるチャンスに溢れています。ここにいらっしゃる皆さんが、高い志と達成してやるという強い気概を持って、広い世界で存分に活躍されることを期待しています。皆さんの歩まれる人生が、実り多いものであることを心から祈念いたしまして、お祝いの挨拶といたします。
本日は誠におめでとうございます。
学校法人五島育英会
理事長 泉 康幸
※『松下幸之助発言集5』(大阪青年会議所1月例会・1979)
校友会会長ご祝辞
本日、ここに学位を取得された皆様、誠におめでとうございます。
そして、この日まで支えてきていただいたご両親、ご家族の方々にも心よりお祝いを申しあげます。
ここにいらっしゃる卒業生の皆様は、東京都市大学の「校友」となり、その同窓会である校友会の会員となりました。心より歓迎いたします。
同窓会である「校友会」は、東京都市大学の前身の一つである武蔵高等工科学校が1929年に発足して以来、これまで10万2000余名の卒業生を擁しています。そして全国各地、世界各地域で活躍している卒業生により運営されています。北は北海道から南は沖縄まで全国45の地方支部、また米国支部をはじめ東南アジア3か国の海外支部、そして官公庁、民間会社で勤務されている方々の組織として27の企業職場支部で構成され、それぞれの支部で地域に密着したさまざまな活動をしています。例えば、全国の地方支部では、本学諸先生などによる講演会などを企画し、卒業生ばかりでなく、地元の高校生などに聴講をしてもらっています。企業・職場支部では、現役学生に向けての進路相談会を支援しています。
皆様も勤務される職場、地域で諸先輩方との合流されることを望みます。
これら10万の先輩諸氏卒業生からのエールを皆様にお届けしたいと思います。
今日皆様には社会人となるにあたって、2つのことをおねがいしたいとと思います。
その第一は、「大学、大学院の卒業が勉学のゴールではなく、今日がまさに勉学のスタート」そして「創造性のはぐくみのスタート」だということです。「人生100年時代」といわれています。社会人としてこれまで歩んできた方々以上に、多様なスキル、技術が求められています。そして社会のスピードも速く、多様化しています。これまでの時間軸にはなかった世界が訪れようとしています。
この市場変化、テクノロジーの早い社会にあって、皆さんに求められるのは「働きながら、学び続け、変わり続けること」です。あわせて「創造性」をはぐくむことです。これまでの教育では追及の少なかった個々人の「創造力」「発想力」をフルに活用しなければならない時代です。
米国をはじめ欧米では、「仕事を経験して学ぶべきことを理解したうえで、さらなる高等教育を受ける」そして「大学をはじめとする教育機関の多様性が時代のカギをにぎる」とされています。東京都市大学も「学び」の多様性を進めています。社会人ドクター支援制度、科目等履修生制度などなど、卒業生のための「学び」があります。皆様にとって活用しない手はありません。
そして、校友会も大学とともに、多様な職種、スキルを持つ卒業生の協力をえて、「卒業生のためのキャリア支援」特別部会を発足させました。皆様が、仕事の上で「学びの必要」に気づかれたときには、いつでもその支援ができるよう,キャリア形成などの場の提供、情報の提供をお約束します。おおいに校友会をご利用ください。校友会は生涯にわたって卒業生を支援します。
そして2つ目は「出会いを大事にしてください」です。在学時代の友人、クラブ仲間などこれまで大学を通じて得た旧友は生涯あなたの友達です。私も、大学時代のクラブ仲間とのお付き合いは,今も年を経ても変わりません。そして会社人生で経験した国外生活でお世話になった人、国内外の仕事仲間とは、いまでも友人です。世界中のたくさんの人との出会いは、あなた方の人生を豊かに大きくします。ひととのつながりでできる人脈は人生の最大の宝物です。
校友会には多種多様の人生を歩んでいる方がいらっしゃいます。枚挙にいとまがありません。あなた方の身近に、都市大という共通項を共有する仲間がたくさんいらっしゃいます。毎年秋に「ホームカミングデー」と称して、大学と校友会との共催で、卒業生が集います。オンラインを通じて国内の、世界の卒業生の仲間と時間を共有できます。いままで会ったことのない卒業生同士でも会話が始まればそこからが「先輩・後輩」です。「仲間」です。「出会いを大事にし、そして育んでください」
社会人として、「個々に必要なスキル」、「求められるスキル」を探求する、スキルを獲得し続ける取り組みをお願いします。そして、多くの仲間を、はぐくんでいただくことをおねがいします。自らが決めて取組んだ仕事の先に、皆さんの心の豊かさ、生活の豊かさ、人生の豊かさ、そして社会の豊かさを導くことができると信じます。
これからの、人生100年時代に向けて、健康をはぐくみ、力いっぱい活躍されることを祈念しまして本日の祝辞とさせていただきます。
本日は誠におめでとうございます。
東京都市大学校友会
会長 松村 慶一