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トピックス詳細(在学生・保証人の方へ)
●学生部長メッセージ
在学生のみなさん
これから多くの大学生にとっては、待望の春休みです。学部4年生や大学院2年生には卒業という最後の仕事が残っていますが、それ以外の学生は長い自由な時間を手に入れることになります。
今年度はコロナ渦で思うように授業や大学行事、その他の大学生としての活動が出来ずに、もう1年が過ぎたと感じている方も少なくないでしょう。社会人になると、月単位のまとまった休暇を得ることは難しくなります。せっかくの機会ですので、時間の有効活用に取り組んで下さい。1年の振り返りとして予習や復習に充てるのも結構です。また、勉強のことは忘れて、授業期間中にできなかったことに新たにチャレンジしてみるのも良いでしょう。休みの過ごし方で成長する人もいれば、将来が見えてくる人もいます。
一方で、新型コロナウイルスが猛威を振るう中、緊急事態宣言(期間1月8日~2月7日)が、東京など4都府県を対象に再度発令され、現在では11都府県に拡大しています。前回の緊急事態宣言より深刻な状態です。このため、本学でも警戒レベルを最高レベルに引き上げました。幸いにも、本学では学生や教職員みなさまの努力のおかげもあり、現在までクラスターは発生していません。本学としては引き続きクラスターゼロを目指します。課外活動に関しては、残念ではありますが、制限を強化した状況となっています。今は我慢が必要です。是非、流行りのオンライン等を駆使した活動をお願いします。
アメリカやヨーロッパでは既にワクチン接種も始まり、徐々にではありますが、効果も見え始めています。日本でも、4月から高齢者を対象にワクチン接種が開始される予定です。もう少しの辛抱です。そのためにも、この長い休みの期間の過ごし方には気を付けて下さい。本学の建学の精神は「公正・自由・自治」です。4月以降に大学のキャンパスで学ぶことができるよう、各自の「自治」の力で責任ある行動をお願いします。
最後に、ドイツのメルケル首相が昨年大晦日に国民に向けて行ったスピーチから引用します。日本でもそうならないためにみなさんの行動が大切です。
原文
“Wir dürfen als Gesellschaft nicht vergessen, wie viele einen geliebten Menschen verloren haben, ohne ihm in den letzten Stunden nah sein zu können. Ich kann ihren Schmerz nicht lindern. Aber ich denke an sie, gerade auch heute Abend.”
和訳
「どれだけ多くの人が愛する人を失ったか、最期を看取ることができなかったか、私たちは社会として忘れることは許されない。私には彼らのその痛みを癒すことは出来ない。しかし、今、大晦日の今晩も彼らのことを想っている。」
現在、ストレスを感じて不安を抱えている方は、遠慮なくクラス担任や学生相談室にご連絡ください。また、大学からの新しい連絡事項はHPにアップしますので、頻繁にチェックをして下さい。
新年度が始まる4月には、新入生が入学して来ます。各キャンパスでみなさんの元気な顔が見られるように、コロナウイルス感染防止を意識した行動をお願いします。
学生部長
飯島 正徳
●学生相談室長メッセージ
コロナ禍のストレス対処
この一年、わたしたちはコロナストレスに取り囲まれて過ごしてきました。有意義な春休みを過ごすため、ストレスのメカニズムについて知り、こころと身体のメンテナンスを行いませんか。
1.いつもと違う一年・これまでと違う学生生活
2019年12月、中国武漢市で原因不明の肺炎が集団発生し、2020年、この新型コロナウイルスは全世界に広まり、現在、世界中で1億人以上の方が感染しています(2021/1/29、WHO)。日本では37万人を超える感染者数です(2021/1/29、厚生労働省)。
国内感染の広がりを受け、本学でもオンライン授業を導入し感染予防策を講じてきましたが、その結果、2020年度は学生のみなさんにとって、これまでに過ごしたことの無い学生生活になりました。新入生にとっても、入学式は行われず、通学の機会も限定的で、本学の学生であるという帰属意識を持ちにくい状況だったと思います。教員や職員にとってもこれまでにない学生との関わりになってしまいました。
2.いつもと違うことのストレス
この一年、いつもと違う、これまでと違う行動を強いられました。マスクの着用、手指消毒、ソーシャルディスタンスの確保、3密の回避(密閉空間・密集場所・密接場面を避ける)等々、これまでに馴染みのない行動です。好きなアーティストのコンサート開催も無くなり、ストレスを発散できなくなりました。ストレス発散できない、というストレスです。一日中のオンライン授業。誰とも雑談しない日々。これまでとは違う日常にストレスを感じるようになっています。ストレスの原因となるものを心理学ではストレッサーと呼びます。いつもと違うこともストレッサーで、この一年間ストレッサーに囲まれた生活だったのです。
3.ストレッサーの種類
ストレッサーには以下のものがあると言われています:
●物理的ストレッサー(環境・騒音・天候など)
●社会的ストレッサー(職務・役割・対人関係など)
●身体的ストレッサー(感染・過労・栄養不足など)
●心理的ストレッサー(葛藤・否定的な考え・恐怖など)
暑いとか寒い、うるさいとか、部活動で部長であることやチーム内で発表を任されたとか、眠い・疲れている、ちゃんと食べていない、好きな人に告白したけどフラれた、あの人が怖い、就職できるか心配だ、といったようなことがストレスの原因になるのです。
コロナ禍のストレッサーはこれらが複合的に組み合わされています。自宅でのオンライン授業で行動範囲が制限され、大学生なのに大学生らしい生活が送れず、友人との交流も持てない。行動が制限され運動不足や、オンライン授業によるオンライン疲れ、日々の生活に面白みを感じにくい、未来への不安などすべての領域においてストレス要因が認められます。
4.善玉ストレスVS悪玉ストレス
ストレスというと悪いイメージですが、良いストレスもあります。テストはストレッサーですが、テストがあるから勉強する人もいるでしょう。締切があるから原稿を書くとか、ストレッサーがあるお陰で、新しい知識を身につけることができたり、生産的な活動を行うことができたりします。こういったものを善玉ストレス(ユーストレスeustress)と言い、目標や夢、趣味、パートナーの存在など自分を奮い立たせてくれたり、やる気を起こさせてくれたりする刺激・状態を指します。その逆のストレスは悪玉ストレス(ディストレスdistress)と呼ばれ、こころや身体に負担を引き起こしたり、やる気をなくさせたりする刺激・状態を指します。
いいレポートを書きたいと志を高く持つ(善玉ストレス)のは大事ですが、それにとらわれ過ぎて何も書けないで時間だけ過ぎて行ってしまう完璧主義が過ぎる(悪玉ストレス)とレポートは提出できなくなります。自分でほどよいストレスを作り出せるともう少し楽に取り組めるようになるでしょう。
5.無意識の頑張り
わたしたち人間は意識的に、無意識的に環境に適応しようとします。コロナ禍というストレス状況においても同じように意識的に、無意識的にいまの大学生活に適応しようと頑張るのです。学生のみなさんはこの一年よく頑張ったと思います。ご苦労様でした。年度途中で体調を崩した方もいたと思いますが、いつもと違う学生生活、それまでとは違う過ごし方が体調を崩した原因かもしれませんね。
頑張ったつもりはなくても、あなたのこころと身体は無意識に頑張っていたと思います。時々、だらだら過ごしたり、美味しいものを食べたりして、こころと身体をいたわって欲しいと思います。
6.ストレス反応
心身にストレスを感じるとイライラしたり不安に感じたり、落ち込んだりといった心理面に反応が現れたり、肩こりや頭痛、腰痛、食欲低下、眠れなくなるなどの身体的な反応として現れたり、ケアレスミスが増えたり、事故を起こしたり・起こしそうになったり、飲酒量が増えたりといった行動面に現れたりすることがあります。このような状態にある人は怒りっぽくなり、ちょっとしたことで他人に大きな声をあげたり、非難したりしがちになります。
ストレスを感じていなくても、このような反応が見られる場合は要注意です。無意識にこころや身体がストレスを感じているからです。このような反応に気付いたら、「あ、自分は今ストレスを感じているのかもしれない。こころや身体が反応しているのかもしれない」と立ち止まってみることが肝要です。そうすることで、頑張っている自分に少しだけ優しくなれるかもしれません。休息が欲しいという身体のサインかも知れませんね。
7.コーピングがうまくいかないと
ストレスに対処することを心理学ではコーピングと表現します。コーピングがうまく行かず前述のような状態が長く続くと、心身に不調を来たし、うつ病や胃潰瘍などの精神的・身体的疾患に至ってしまうことがあります。そうなる前に、ストレス反応を起こしてしまっているこころと身体の反応に気付いて、早めの対応を心がけたいものです。イライラしていることを他人に指摘されると余計にイライラしますが、自分で気づくと少しおさまるものです。疲れが蓄積しているのかもしれません。少し早めに休んだり、大きく深呼吸して眠りにつくのもいいでしょう。
8.コーピングの種類
コーピングには二種類あると言われています。ストレス反応を引き起こすストレッサーには、解決できる問題と解決できない問題があります。例えば、寒ければ厚着をしたりカイロで温めたりすれば、寒さは解決できます。しかし家族同然のペットが他界してしまったら、他の何かで補うことはできません。解決できないことと捉え、感情の部分に焦点を当てて対処します。その悲しみを和らげるために月命日に手を合わせ、ペットとの思い出を偲ぶことで、要する時間は人それぞれですが、ペットを亡くしたつらい気持ちが和らいでいくものです。前者を「問題焦点型」、後者を「情動焦点型」と呼びます。
いつもと違うコロナ禍の学生生活にはこの二つの要素が混在しています。コロナ禍でもできることを見つけたり、できるように工夫したりすることは問題焦点型のアプローチと言えるでしょう。情動焦点型のアプローチでは、コロナ禍で実現不可能なことについて、視点を変えて考えてみることで、それができなかったお陰で得られたことに気付き、気持ちが軽くなったり、感謝の気持ちがわいてきたりするかもしれません。
9.自分の気持ちを大切にすることが明日の未来をつくる
コロナ禍の生活はわたしたちに、「いつもと違う」日常を強いています。そのストレスで、イライラしたり、不満を感じたりすることがありますが、それは悪いことではありません。普通におきる反応です。その原因となるコロナに対し、コロナのバカヤローと叫んでも良いのです。いつものことができずに、落ち込んだり、悲しんだりすることも悪いことではありません。友だちと会いたいよー、友だちが欲しいよー、独りぼっちはもう飽きたー、旅行に行きたーい、コンパしたーい、と叫んでも良いのです。わたしたちはアフターコロナの世界をいかに良くするかの使命を負っていますが、だからと言って、自分たちのこころまで犠牲にする必要はありません。一方で、賢い行動が求められているのは言うまでもありません。
あなたは何を叫びたいですか。叫んでみると、違う明日が見えてくるかもしれません。
10.春休みの過ごし方
春休みを迎えますが、コロナストレスでいつの間にか疲労してしまったこころと身体をゆっくり休め、新年度に備え精気を養う時間にして欲しいと願います。こころがすっきりしない時、悩みがある時は、長期休みを一人でじっくり考える時間として使っても良いですね。何もしないで頭と身体を休ませる時間があっても良いでしょう。家族や友だちに話して気持ちが晴れる時もあります。クラス担任や指導教員、学生支援センターやキャリア支援センターに相談しても良いでしょう。もちろん学生相談室もあなたの考えるお手伝いができます。気軽にお問合せください。
学生相談室長
髙橋 国法
参 考
山下格 2010 精神医学ハンドブック 第7版 医学・保健・福祉の基礎知識 単行本 日本評論社
小杉正太郎編 2006 朝倉心理学講座19 ストレスと健康の心理学 朝倉書店