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トピックス詳細(プレスリリース)
東京都市大学
東京都市大学(東京都世田谷区、学長:三木 千壽)知識工学部 知能情報工学科の塩本 公平 教授ら研究チームは、モバイル基地局を効率的に配置するため、Microsoft Research Asiaが無料で公開する中国・北京のGPSデータ(17,621件)を元に人の移動パターンのデータベースを作成し、これを分析することで、移動先を約70%の確率で予測することができるアルゴリズムを開発しました。
このアルゴリズムを用いて、モバイル基地局を効率的に配置することができれば、一層、省エネルギーで利便性に優れた通信環境が実現できます。
また、このアルゴリズムは、例えば都市部における交通網の整備や避難計画の策定にも応用することが出来ることから、超スマート社会の実現にも大きな貢献が期待されます。
なお、本成果は、IEEE HPSR 2019(高性能な情報通信に関する国際会議、会期:5月26~29日)で発表し、後日、「Proceedings of 2019 IEEE 20th International Conference on High Performance Switching and Routing (HPSR)」にも掲載の予定です。
本研究のポイント
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Microsoft Research Asiaが無料で公開している、人の移動データを利用した
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中国・北京のGPSデータ17,621件を分析し、人の移動パターンのデータベースを作成した
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データベースをもとに、移動パターンの最も似通うものから、70%の確率で、次の移動先を予測できるようになった
概要
人の移動に類似性があることに着目し、GPS付きスマートフォンから得られる多量の移動データを集めて特徴を抽出し、移動パターンのデータベースを作成しました。データベースに利用したのは、Microsoft Research Asiaが無料で公開する、2007年4月から2012年8月までの北京エリア17,621件(182人分、総行程:120万km、総時間:48,000時間)のデータで、GPSから得られた時系列の緯度、経度が含まれています。全データを系列パターンマイニング(※)という手法を応用して分析し、効率的に移動パターンを抽出できるようにしました。人の移動データが多量に得られる大都市では、移動パターンの特徴から移動先を予測することが可能になります。

移動パターンの抽出イメージ
(移動データを分析し、同一内容をパターンとして抽出)
研究の背景
モバイル通信では、効率的に基地局を配置するため、各エリアのモバイル端末数を予測する必要があり、これまで高度な専門知識や経験を備えた熟練技術者がその予測を行ってきました。しかし、GPSを搭載したスマートフォンの普及に伴って、多量の移動データを収集することが可能となってきたため、本チームでは、そのデータを使って予測することを目標とし、研究に取り組んできました。
また、本研究は、(独法)日本学術振興会からの科学研究費助成(No. J17H07156)を受けて実施しました。
応用と課題
今後は、一層の性能(予測精度や計算時間の短縮など)向上と、使用が容易なソフトウェア作成を目指します。また、日本国内の大都市圏におけるデータの分析にも取り組みます。
さらに、通信網以外の分野でも、防災・避難計画や都市計画への活用を目指します。
用語解説
※系列パターンマイニング:
多数の系列データを含むデータベースから一定の頻度以上で現れるパターンを列挙する方法のことで、商品の購買履歴分析などに用いられます。例えば、牛乳とサンドイッチを買うと、ケーキとコーヒーも買うといったパターンが頻繁にあることが分かると、それを商品の陳列方法に反映するといった活用が考えられます。