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トピックス詳細(プレスリリース)
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理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センター核分光研究室の田中聖臣研修生(研究当時)、RI物理研究室の武智麻耶客員研究員、福田光順客員研究員、櫻井博儀室長らの国際共同研究グループ※は、質量数42から51までのカルシウム(Ca)同位体[1]の核物質半径[2]を初めて測定し、二重魔法数[3]核のカルシウム-48(48Ca)[4]を超えた領域で突如起きる異常な構造変化を発見しました。
本研究成果は、理論研究にインパクトを与えるもので、原子核構造分野の新たな原子核描像の構築に貢献すると期待できます。
原子核の半径を測定することは、原子核の基本的な性質を知る上で非常に重要で、その系統的な研究から中性子ハロー[5]、中性子スキン核[6]といった特異な構造が明らかになってきました。
今回、国際共同研究グループは、理研RIビームファクトリー[7]において、不安定核[8]を含む質量数42から51までのCa同位体42-51Ca(陽子数20、中性子数22-31)の相互作用断面積[9]を測定することで、それらの核物質半径を初めて系統的に決定しました。この結果、中性子数28を超えた同位体では、通常の原子核に比べ、半径が急激に増大することを見いだしました。この半径の増大は、原子核内の陽子分布の広がり(荷電半径[10])の変化よりもはるかに大きく、中性子分布の広がりが急激に膨らんだことによるものです。しかし、この半径増大現象は従来の理論では説明できず、謎の解明には、今後の研究の進展を待つ必要があります。
本研究は、科学雑誌『Physical Review Letters』のオンライン版に近日中に掲載されます。
※国際共同研究グループ
理化学研究所 仁科加速器科学研究センター
核分光研究室
研修生(研究当時) 田中 聖臣 (たなか まさおみ)
(大阪大学大学院 理学研究科 博士後期課程(研究当時))
(現:九州大学大学院 理学研究院 附属超重元素研究センター 学術研究員)
RI物理研究室
客員研究員 武智 麻耶 (たけち まや)
(新潟大学大学院 自然科学研究科 助教(研究当時))
研修生(研究当時) 本間 彰 (ほんま あきら)
(新潟大学大学院 自然科学研究科 大学院生)
客員研究員 福田 光順 (ふくだ みつのり)
(大阪大学大学院 理学研究科 准教授)
客員研究員 西村 太樹 (にしむら だいき)
(東京都市大学 共通教育部 准教授)
室長 櫻井 博儀 (さくらい ひろよし)
埼玉大学大学院 理工学研究科
教授 鈴木 健 (すずき たけし)
筑波大学大学院 数理物質系
助教 森口 哲朗 (もりぐち てつあき)
本研究には、理化学研究所、大阪大学、新潟大学、東京都市大学、埼玉大学、筑波大学、GSI重イオン科学研究所(ドイツ)、カザフスタン原子核研究所(カザフスタン)などから70人の研究者が参加しました。
研究支援
本研究は、日本学術振興会(JSPS)科学研究費補助金基盤研究(A)「Ni同位体の中性子スキンに関する研究(研究代表者:鈴木健)」、同基盤研究(B)「反応断面積によるアイソマー状態の核半径測定法開発とその宇宙物理学への応用(研究代表者:福田光順)」、同特別研究員奨励費「反応断面積による中性子スキン厚決定と非対称核物質状態方程式の解明(特別研究員:田中聖臣)」、ヒロセ国際奨学財団研究助成事業による支援を受けて行われました。
1.背景
原子には殻構造があるため、秩序だった電子の配位ルールが存在しています。同様に、原子核でも殻の概念が存在し、構成粒子である陽子・中性子は殻に従って詰まっています。この殻を完全に埋める構成粒子数は魔法数[3]と呼ばれ、原子における希ガスと同様、魔法数を持つ原子核はその状態が極めて安定した「硬い」構造をとります。原子核の殻構造を理解する上で、魔法数は最重要研究対象の一つといえます。
原子核の大きさ、つまり核半径は、その基本情報の一つで、魔法数をはじめとする原子核の諸性質を探る上で重要な手掛かりとなります。これまでは、自然界に存在する安定な原子核に対する系統的な研究により、核半径は質量数(陽子数+中性子数)のみに依存し、核内で中性子と陽子は同じように分布していると理解されていました。
しかし、測定手法・装置の技術的進展により、不安定核(RI)ビームを用いた研究が始まると、中性子と陽子の比率が大きく異なる不安定核領域では、これまでの常識を覆すさまざまな新奇現象が発見されました。例えば、核半径が異常に増大するハロー構造[5]、原子核表面に中性子のみの層が形成される中性子スキン構造[6]はその最たるものです。
不安定原子核領域でも、電荷分布に関わる荷電半径[10]測定による原子核の大きさの系統的研究が、近年、特に魔法数近傍核を中心に進んでいます。荷電半径は原子核内の陽子分布の広がりの程度を表す量であり、核物質半径(陽子・中性子を区別しない原子核全体の大きさ)と同様に原子核の大きさを探ることが可能な物理量の一つです。
最近、陽子数20、中性子数28とともに魔法数で構成される二重魔法数核のカルシウム-48(48Ca)近傍の原子核の大きさが注目を集めています。質量数52までのカルシウム同位体について荷電半径の系統的測定が2016年に行われ、二重魔法数核48Caを超えた中性子過剰カルシウム同位体で荷電半径が急激に大きくなることが明らかになりました(注1)。この増大は最新の理論計算でも説明がついておらず、異常増大現象のメカニズムはいまだに謎のままです。この問題を解明すべく、荷電半径の系統的測定が別の魔法数核近傍でも精力的に行われており、また、さまざまな理論計算でもアプローチされています。
しかし、48Caを超えた中性子過剰カルシウム同位体の核物質半径はこれまでに測定されておらず、中性子数増加に対する核内中性子の広がり具合の変化に関する情報は、これまで全く分かっていませんでした。48Caを超えた領域で巻き起こる荷電半径の異常増大現象を解明するためには、核内中性子の広がり具合の情報を含む核物質半径を実験的に測定することが極めて重要です。
注1) R. F. Garcia Ruiz., Nature Physics, (2016). “Unexpectedly large charge radii of neutron-rich calcium isotopes”
2.研究手法と成果
国際共同研究グループは、二重魔法数核48Caをまたいで質量数42から51までのカルシウム同位体42-51Caの核物質半径(以降、核半径)を世界で初めて測定しました。
研究対象の48Caを超えた中性子過剰カルシウム同位体は全て不安定核であり、それらの核半径を測定することは一般には容易ではありません。そこで、核半径と直接的に結びつく物理量である相互作用断面積を測定することで核半径を決定しました。この測定手法では測定対象をビームとして用いることで、不安定核の核半径を測定できます。
実験は、理研の重イオン加速器施設RIビームファクトリー(RIBF)で行い、光速の約70%に相当する、核子あたり345メガ電子ボルトに加速されたウラン-238(238U)をベリリウム標的に照射することで、不安定核を含む質量数42から51までのカルシウム同位体を生成しました。その後、生成されたカルシウム同位体ビームを、超伝導RIビーム生成分離装置BigRIPS[11]内に設置された炭素-12(12C)標的に照射することで相互作用断面積を測定し、その結果から核半径を決定しました(図1)。
BigRIPSの中間焦点面F5に炭素-12標的を設置し、F3、F5、F7焦点面に設置された粒子検出器群を用いて、1粒子ごとにその種類を識別した。図左側の標的上流側では入射粒子数を計数し、右側の標的下流側では標的を通過した後に粒子の種類が変化していない非反応粒子数を計数することで、相互作用断面積を測定できる。
この実験で測定した相互作用断面積データをもとに、42-51Caの核半径を決定することに成功しました。実験で得られたCa同位体の核半径は、48Caを超えた領域において急激に大きくなることを示しており、中性子数の増加に対して、先行研究の荷電半径の結果と同じ傾向を示しています。しかし、核半径の増大の程度は、荷電半径に比べて約4倍近くも激しいことが初めて明らかになりました(図2)。
これまでも不安定核では、核半径が想定よりも増大する現象は見られており、その起源として、中性子ハローの発現などいくつかのメカニズムが既に知られています。しかし、これらの増大機構と比較しても、48Caを超えた領域での核半径の増大を説明することが全くできず、この現象はこれまで知られていないメカニズムに起因していると考えられます。
(a) 二核の衝突が起きる領域の面積(相互作用断面積)は、入射核の核半径RPと標的核の核半径RTの和で表される円の面積と等しい。したがって、核半径が分かっている炭素-12標的に対して、カルシウム同位体ビームを照射して相互作用断面積を測定することで、不安定なカルシウム同位体の核半径を決定できる。
(b) 本研究で得られた核物質半径(赤丸)と先行研究の荷電半径(×印)の中性子数依存性を比較すると、どちらも48Caを超えた領域で急に増大しているが、その増大の程度は核物質半径の方がはるかに大きい。また、核物質半径増大は普通の原子核に基づく予想(緑破線)と比べても顕著である。
また、理論計算結果に基づいて中性子数の増加に対するカルシウム同位体の核内陽子・中性子分布の変化を解釈すると、48Caを超えた途端に核内中性子分布の表面が急激にぼやけていることが分かりました。つまり、質量数48を超えたカルシウム同位体の内部では、極めて硬い48Caが、あたかも「ふやけている」ような状態であることが示唆されます(図3)。
さらに、得られた核半径と先行研究の荷電半径の差から、原子核表面の中性子層の厚さ=中性子スキン厚を導出することに成功し、荷電半径と核半径それぞれで見られる異常増大の違いをより明確にしました。導出した中性子スキン厚も核半径および荷電半径と同様に、48Caを超えた途端に急激に分厚くなっています。この事実は48Caを超えた領域で巻き起こる原子核の大きさの急激な増大現象では、中性子が主役を演じていることを明確に示すものです。先行研究における荷電半径の異常増大は、この中性子分布半径増大によって引き起こされたものであることが示唆されます。
48Caに中性子がくっつくにつれて、硬いはずの48Caの芯が徐々に膨れていく。特に中性子が広がりやすく、あたかもふやけるように薄い密度で外側に染み出しながら変化する。核内陽子も中性子に引っ張られながら広がるものの、その変化の度合いは中性子に比べて小さい。
3.今後の期待
今回の研究では核半径を測定することにより、先行研究で指摘されていた二重魔法数核48Ca近傍で見られる荷電半径異常増大現象は、中性子が大きな役割を担っており、魔法数近傍領域での核半径測定、あるいは中性子分布の広がりを決定することの重要性が示されました。本研究結果をより詳細に理解するためには、さらに質量の大きなカルシウム同位体に対する実験データや理論研究による議論が待たれます。
他の魔法数領域の荷電半径においても同様の増大傾向が見られており、そこでの核半径の測定にも注目が集まります。このように、魔法数近傍領域における核半径の系統的研究は、新たな原子核描像の構築に貢献すると期待できます。
また、本研究で得られた中性子スキン厚の中性子数に対する依存性の系統的なデータは、原子核の構造を研究するのに大いに役立つだけでなく、中性子星[12]の構造を解き明かす有力な情報の一つとされており、中性子星が深く関連する宇宙での重元素合成過程[13]を解き明かすきっかけになると期待できます。
さらに、日本で発見されたニホニウム(Nh)を含む118種の元素に次ぐ新元素を合成するための研究が、現在世界各国で競争的に行われています。今後、新元素を合成する上で、中性子過剰なカルシウム同位体ビームを利用した手法は有望視されている合成法の一つです。これらのカルシウム同位体の構造理解により、新元素合成手法の有効性の検証が進むと考えられます。
4.論文情報
<タイトル>
Swelling of doubly magic 48Ca core in Ca isotopes beyond N = 28
<著者名>
M. Tanaka, M. Takechi, A. Homma, M. Fukuda, D. Nishimura, T. Suzuki, Y. Tanaka, T. Moriguchi, D.S. Ahn, A.S. Aimaganbetov, M. Amano, Y. Arakawa, S. Bagchi, K.-H. Behr, N. Burtebayev, K. Chikaato, H. Du, S. Ebata, T. Fujii, N. Fukuda, H. Geissel, T. Hori, W. Horiuchi, S. Hoshino, R. Igosawa, A. Ikeda, N. Inabe, K. Inomata, K. Itahashi, T. Izumikawa, D. Kamioka, N. Kanda, I. Kato, I. Kenzhina, Z. Korkulu, Y. Kuk, K. Kusaka, K. Matsuta, M. Mihara, E. Miyata, D. Nagae, S. Nakamura, M. Nassurlla, K. Nishimuro, K. Nishizuka, K. Ohnishi, M. Ohtake, T. Ohtsubo, S. Omika, H.J. Ohg, A. Ozawa, A. Prochazka, H. Sakurai, C. Scheidenberger, Y. Shimizu, T. Sugihara, T. Sumikama, H. Suzuki, S. Suzuki, H. Takeda, Y.K. Tanaka, I. Tanihata, T. Wada, K. Wakayama, S. Yagi, T. Yamaguchi, R. Yanagihara, Y. Yanagisawa, K. Yoshida, and T.K.Zholdybayev
5.補足説明
[1] 同位体
原子核は陽子と中性子の2種の粒子から構成され、同じ陽子数(原子番号)かつ中性子数が異なるものを同位体、同位元素、またはアイソトープと呼ぶ。自然界に存在する安定同位元素は約260種あり、そのほかは時間の経過とともに放射線を出して崩壊する放射性同位元素である。
[2] 核物質半径
陽子と中性子を区別せず「核子」(陽子・中性子の総称)として見たときの、原子核全体の核内核子分布の平均半径のこと。電荷を持つ陽子はクーロン電気力による相互作用をするため、比較的その分布半径を測定しやすいが、中性子は電荷を持たないため、中性子を含めた原子核全体の半径の測定は難しい。
[3] 魔法数、二重魔法数
原子核は原子と同様に殻構造を持ち、陽子または中性子がある決まった数のとき閉殻構造となり安定化する。この数を魔法数と呼び、2、8、20、28、50、82、126が古くから知られている。1949年にマリア・ゲッパート=メイヤーとヨハネス・ハンス・イェンゼンが、大きなスピン-軌道相互作用を導入することによって魔法数を説明し、1963年にノーベル賞を受賞した。その後、理研での研究では、中性子過剰領域の原子核でメイヤー・イェンゼンの魔法数20、28が消失し、新たな魔法数16、34が出現することが報告されている。陽子数と中性子数がともに魔法数である原子核を二重魔法数核と呼ぶ。
[4] カルシウム-48(48Ca)
陽子数20、中性子数28で構成される二重魔法数の原子核。自然界にもごくわずか、カルシウム全体の 0.2% ほどの量が存在する。二重魔法数としての原子核構造上の重要性だけでなく、極めて中性子過剰な不安定核の生成や超重元素の合成の際にも頻繁に用いられるという点からも、原子核研究を行う上で特に重要な原子核の一つ。
[5] 中性子ハロー、中性子ハロー構造
最外殻にいる1個または2個の中性子が内側の原子核から外に浸み出して、太陽や月にかかる暈(かさ:ハロー)のように大きく拡がった状態。陽子に比べて中性子が非常に多い原子核10核種程度で見つかっている。
[6] 中性子スキン核、中性子スキン構造
陽子数に比べて中性子数がかなり多い原子核において、核表面に主に中性子だけでできた層がある状態。この層の厚さと核物質(陽子・中性子で構成される物質:例えば中性子星などの中身)の性質には強い関係があり、中性子星や超新星爆発などの宇宙における物体・現象を理解するためにも、原子核における中性子スキンの厚さは注目されている。
[7] RIビームファクトリー
2006年に稼働した理研が所有する重イオン加速器施設。水素からウランまでの放射性同位元素(RI)ビームを世界最大強度で供給でき、RIビーム発生施設と多種多様な基幹実験装置群により構成される。RIビーム発生施設は2基の線形加速器、5基のサイクロトロンと超伝導RIビーム生成分離装置(BigRIPS)からなる。これまで生成できなかったRIも生成でき、世界最多となる約4,000個のRIを生成できる。
[8] 不安定核(放射性同位元素)
物質を構成する原子核には、時間とともに放射線を放出しながら安定核になるまで壊変し続けるものがある。このような原子核を放射性同位元素と呼び、放射性同位体、不安定同位体、不安定原子核、不安定核、ラジオアイソトープ(RI)とも呼ばれる。天然にある物質は寿命が無限かそれに近い安定核(安定同位体)で構成されている。陽子数と中性子数のどちらかがもう片方に比べてとても大きい場合は、通常それらを近づける方向に陽子→中性子または中性子→陽子の変換(ベータ崩壊)が起こる。本研究で対象とした不安定核は全て、このベータ崩壊をする核種である。
[9] 相互作用断面積
原子核物理では、反応の起きやすさ・確率のことを断面積と呼ぶ。相互作用面積は、原子核の種類が変化する反応が起きる確率のことを指す。核子あたり約100メガ電子ボルト以上のエネルギーでの原子核反応では、原子核同士が衝突することにより核種が変化する反応が起きるという単純な描像がよく成り立つため、相互作用断面積は原子核同士のぶつかりやすさを表す。したがって、相互作用断面積は衝突する二核の大きさの情報を直接的に反映する情報として知られている。
[10] 荷電半径
原子核における電荷分布の平均半径のこと。原子核の構成要素である陽子・中性子のうち電荷を持っているのは陽子だけなので、荷電半径はおおよそ陽子分布半径に相当する。
[11] 超伝導RIビーム生成分離装置BigRIPS
ウランなどの1次ビームを生成標的に照射することによって生じる大量の不安定核を収集・分離・識別し、放射性同位元素ビーム(RIビーム)として供給する。大口径・高磁場の超伝導電磁石を使用し、第1、第2の二段階のステージから構成される次世代型RIビーム生成装置であり、ドイツの重イオン研究所(GSI)など他の施設に比べて約10倍の収集効率を持つ。高効率のRIビーム生成、高分解能の粒子識別など卓越した性能を持ち、これまで生成できなかった多数のRIビームの生成を可能にしている。
[12] 中性子星
10キロメートル程度の半径を持つコンパクト天体だが、太陽とほぼ同規模の質量を持つ。全質量の95%程度が中性子であり、巨大な原子核と見なされている。その構造には謎の部分が多く、内部では通常の原子核の数倍以上の高密度となっており、ストレンジ物質やクォーク物質の発現も示唆されている。
[13] 重元素合成過程(r過程)
超新星爆発時に起きると考えられている元素合成過程のモデル。高速(rapid)に連続して中性子を捕獲しながら崩壊(β崩壊)するため、「r過程」と呼ばれる。鉄より重い元素のほぼ半分は、このr過程で生成される。重元素を生成するもう一方のs(slow:低速)過程は、赤色巨星への進化段階でゆっくりした中性子捕獲によって元素合成が行われる。s過程に比べ、r過程は未解明な部分が多い。このr過程が起きる場所の候補として、中性子星同士の融合も提案されている。
<お問い合わせ先>
企画・広報室(E-mail:toshidai-pr@tcu.ac.jp)