TCU Research Directory 2023
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白シラトリ鳥 英スグル物理法則に基づいた機械学習(PINN)での計算例TCU Research Directory 2023 103物理法則に基づいた機械学習による液膜流れの解析技術構築自由表面流れ(液膜・液滴) / 相変化を伴う熱物質輸送 / 物理法則の機械学習 / Physics-Informed Machine Learning研究テーマキーワード准教授理工学部 機械システム工学科熱流体システム研究室研究室HP研究者情報最近の研究テーマ半導体デバイスやディスプレイのカラーフィルター等の機能性フィルムの製造工程では液膜を均一に塗布する工程がありますが、様々な物理的要因から塗布膜に膜厚ムラが生じる場合があります。本研究ではこの膜厚ムラを回避・抑制できるような方策を検討するための数値シミュレーション技術の構築を目的として、物理モデルや計算方法を研究しています。最近は、Physics-Informed Machine Learningと呼ばれる情報科学と計算物理の分野を融合した新しい方法を液膜流れの問題にうまく活用することに取り組んでいます。物理法則を記述する微分方程式をニューラルネットワークによって機械学習させることで、膜厚ムラを最小化するための最適塗布条件を効率的に探索できるようになると期待されています。研究内容と目指すもの熱・物質輸送を伴う現象はものづくりの現場や日常生活まで様々な場面で重要な役割を担っています。熱流動現象のシミュレーション技術は、基礎的な計算技術は既に確立されて産業界にも広く普及しましたが、相変化を伴う現象、空間スケールの異なる現象が相互に関係した現象など、複雑な現象については物理モデルや解析技術の構築にまだまだ課題があります。私は、液膜・液滴などの気体と液体の界面が関わる現象を外部資金• 基盤研究(C)「物理法則の機械学習に基づいた革新的データ同化法と塗膜物性値の複数同時推定への応用」(2022~2024)• 基盤研究(C)「支配方程式を教師とした機械学習による液膜塗布時の膜厚ムラ予測モデルの構築」(2019~2021)• 研究活動スタート支援「レジスト塗布時に発生する膜厚ムラの形成機構モデル化および抑制指針の獲得」(2017~2018)中心に、マルチフィジクス・マルチスケールの解析技術を確立することを目指しています。研究のアプローチとしては、近年急速に発展している情報科学の分野と物理シミュレーションの分野とを融合した「物理現象の機械学習法」を取り入れ、先進的な数値シミュレーション技術を構築することを目指しています。• 国プロ(JAXA)「ガスジェット浮遊法による溶融金属酸化物の熱物性値測定法の確立 」(2022~)• 受託研究:半導体装置メーカー(2023~)• 受託研究:自動車メーカー(2017~2022)研究の特徴機械学習は画像認識や自然言語処理などで急速に産業界や日常生活に普及していますが、一般的な機械学習では大量の教師データが必要です。本研究で扱っている機械学習法は物理法則である偏微分方程式を教師とするため、教師データは用意する必要がないか、もしくは極めて少数で済むことが特徴です。研究の内容• 製品開発の初期構想段階におけるパラメータ依存性の俯瞰• 現象のメカニズム解明、設計指針の獲得など企業等との連携可能テーマ• 液面変形を伴う流れの現象解明、熱流体シミュレーション• 熱流動解析における物理モデルの軽量化・計算の効率化• 液膜の膜厚・表面形状測定(空間分布・時間変化)• 機械学習を応用した熱流体工学知的財産権・関連論文情報・著書• 白鳥 他「Physics-Informed Neural Network の研究動向と液膜流れの問題への適用例」人工知能 38 (2023)• Y. Nakamura, S. Shiratori et al., Int. J. Numer. Methods Fluids 94 (2022)• S. Shiratori et al., Int. J. Microgravity Sci. Appl. 38 (2021)• S. Shiratori et al., Int. J. Heat & Mass Transf. 154 (2020)

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