TCU Research Directory 2023
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野ノナカ中 謙ケンイチロウ一郎教授研究室では、自動走行可能な電動車いす(左上)で周囲の環境を計測し(右上)、搭乗者の安全な移動(左下)や自動車の自動運転(右下)を実現する技術を開発しています。●電動車いすの自動運転による安全なすれ違いの実験前方から向かってくる電動車いすが移動する範囲を台風の予報円の様に予測します。上の図のように通路が広い場合には、大きく回避して速度を維持したまますれ違います。一方で下の図のように通路が狭い場合には、十分に速度を下げて相対速度を減少させ、より安全なすれ違いを実現します。142 TCU Research Directory 2023歩行者混在環境における移動体の制御と位置推定自動運転 / 障害物回避 / 電動車いす / モデル予測制御研究テーマキーワード理工学部 機械システム工学科高機能機械制御研究室研究室HP研究者情報最近の研究テーマ自動運転は、自動車専用道路など比較的広い整備された空間では実用化されつつあります。一方で歩行者と混在した市街地での自動車の走行や、ショッピングモールなど人混みの中での電動車いすのスムーズな移動は、容易ではありません。この様な環境で自動運転や運転支援を実現することを目的に、センサの測定誤差や周囲の環境変化に頑強で、適切な安全距離を保つ移動体の誘導制御と位置推定手法を開発しています。さらに、LiDARを搭載した電動車いすなどへの実装を通じて、雑踏や狭隘な空間における人との共生を実現する自動運転の研究に取り組んでいます。研究内容と目指すもの市街地での歩行者や自転車はセンサで正確に認識・追跡することは容易ではなく、さらにその動きの予測は困難です。このため新しい自動運転技術の研究開発が求められています。研究室では、これまで開発してきたモデル予測制御を用いることで、電動車いすや自動車などの移動体やローバーなどの車輪型移動体に対して、効率的な移動と安全な障害物回避を実現します。さらに不確定性や欠落のあるセンサ情報をベイズフィルタを用いて修正し、移動体の制御に適用しています。これらの技術はロボットが人の生活環境に溶け込んで活躍するために役立ちます。外部資金• JSPS科学研究費助成事業 2022 – 2024年度 挑戦的研究(萌芽)「群集流動とその不確定性に適応する電動車いすの自動運転」 2019 – 2021年度 基盤研究(B)「動的環境の実時間SLAMの実現」 2015 – 2017年度 基盤研究(C)「脚車輪型移動ロボットの協調分散モデル予測運動制御」 2012 – 2014年度 基盤研究(C)「モデル予測制御の組込みCPUへの実装と移動ロボットの制御」 2009 – 2011年度 基盤研究(C)「脚車輪型移動ロボットの最適脚配置に関する研究」他• 産学連携 自動車関連企業、建設関連企業など多数研究の特徴モデル予測制御は、リアルタイムで最適な操作量を決定するモデルベースト制御で、機器の動作範囲やアクチュエータ出力の飽和などを考慮することが可能です。この手法を自動車や電動車いすなどのビークルの誘導制御に適用し、効率的な移動と安全な障害物回避を実現します。研究の用途電動車いすの屋内や街中の人混みでの移動や、自動車の市街地での走行など、誘導制御と障害物回避に応用が可能です。さらにセンサ情報をベイズフィルタで処理することで、不確かな周囲の歩行者などの動きにも対処することが可能です。企業等との連携可能テーマ• モデル予測制御を用いた小型移動体や自動車の自動運転システムの研究• LiDARなどの外界センサを用いた移動体の位置計測と追跡• 屋内・屋外で運用する移動ロボットの誘導制御や障害物回避知的財産権・関連論文情報・著書1) Stochastic Model Predictive Obstacle Avoidance with Velocity Reduction in Accordance with Chance Constraints in Crowded Environments, Ryuichi Maki, Isao Okawa, Kenichiro Nonaka, International Journal of Automotive Engineering 13(3) 114-121 2022年, https://doi.org/10.20485/jsaeijae.13.3_1142) Linear complementarity model predictive control with limited iterations for box-constrained problems, Isao Okawa, Kenichiro Nonaka, Automatica 125 109429-109429 2021年3月, https://doi.org/10.1016/j.automatica.2020.109429

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