TCU Research Directory 2023
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田タナカ中 康ヤスヒロ寛教授研究室で開発した測定装置により測定した空間電荷分布の測定例TCU Research Directory 2023 237直流送電ケーブル用絶縁材料に蓄積する空間電荷究空間電荷分布測定研究テーマキーワード理工学部 機械システム工学科計測電機制御研究室研究室HP研究室HP研究者情報研究者情報の健全性評価研究))事業• 科学研究費補助金基盤研究(c)「高温における絶縁材料中の高分解能空間電荷分布装置の開発」(H25-27)最近の研究テーマ研究室で設計・製作された計測技術を使って、直流送電ケーブル用絶縁材料などの性能評価を行っています。下の図は、開発した計測装置により、直流高電界下で絶縁材料内部に蓄積する電荷分布を計測した結果で、いずれも厚さがわずか0.1mmほどの薄いフィルム中の、厚み方向の電荷分布を測定した結果です。新規材料(右)では、通常の材料(左)で見られる有害な電荷の侵入が全く見られず、高電界下でも優秀な材料であることを示しました。この成果が直流高電圧ケーブルの開発に大きく貢献し、開発された直流送電ケーブルは、北海道本州連繋線(2012年)や、英国とベルギーを結ぶ連繋線(2019年)で敷設され、現在も実際に使用されています。現在では、高温で測定可能な装置を開発し、パワー半導体素子用絶縁材料の評価などにも応用されています。研究内容と目指すもの高分子絶縁材料は、ほとんどの電気・電子機器に使用される材料であり、普段は目立ちませんが、ひとたびこの材料が壊れてしまうと、停電や機器の故障、火災など様々な大問題を引き起こすため、この材料の性能評価は重要です。特に、絶縁破壊の一因と言われているのが、材料内部に蓄積する電荷(空外部資金• 令和5年度原子力施設等防災対策等委託費 実機材料等を活用した経年劣化評価・検証(電気・計装設備間電荷)であり、我々は独自にこの分布を計測する技術を開発し、現在、全世界の研究者に使用されています。我々はこの計測技術開発とともに、この測定装置を利用した様々な環境下、例えば放射線環境下や高温下における絶縁材料の評価技術の確立をめざしています。• 産学連携 東芝、三菱、富士電機、住友電工、古河電工、ダイセル、デンカなど多数技術の特徴厚さ25~500μm程度の薄い有機高分子フィルム内部に蓄積する電荷分布を、高電界下、高温下、放射線環境下などのあらゆる過酷な環境下で計測できる測定システムを独自に開発しています。技術の用途直流高電圧機器用絶縁材料やモータ巻線被覆用絶縁材料、原子力施設などで使用される絶縁材料、さらに宇宙機の熱制御用絶縁材料など、あらゆる絶縁材料の性能評価、劣化診断する計測機器として使用できます。企業等との連携可能テーマ• ポリエチレンやエポキシ樹脂などの高電圧機器用絶縁材料の直流高電界下における絶縁性の評価• ポリイミドやポリアミドイミドなどのモータ巻線などの被覆用絶縁材料の絶縁性の評価• 原子力施設等で使用される有機高分子絶縁材料の放射線環境下における劣化状態評価知的財産権・関連論文情報・著書K. Matsui, Y. Tanaka, T. Takada, T. Fukao, K. Fukunaga, T. Maeno and J.M. Alison, “Space Charge Behavior in Low Density Polyethylene at Pre-breakdown”, IEEE TDEI, 12, 3, 406-415, 2005 (Citation 223 (2020.9.14)) など、国内外の学術雑誌に100件以上の論文掲載/ IEC TS 62758, JEC-TR-61004-2012, JEC-TR-61010-2020などの規格関係制定に主導的な立場で従事。

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