TCU Research Directory 2023
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平ヒライ井 直ナオシ志特任教授31.5mケーブルの2箇所を恒温槽による加熱時の測定結果。19.7と24.7mの位置を30~100℃と100℃に加熱時の室温信号との差分により、各恒温槽が区別でき、19.7mでの温度上昇が検出できました。238 TCU Research Directory 2023高分子絶縁ケーブルの劣化診断法としての周波数領域反射法の適用可能性ケーブル絶縁体 / 原子力発電所 / 熱劣化 / 放射線研究テーマキーワード理工学部 機械システム工学科計測電気制御研究室研究者情報最近の研究テーマ電気機器を安全に長く使用するためには、それらの劣化状態を把握しておくことが重要です。とくに電力や電気信号を送るためのケーブルにおいては、それらの劣化は停電等大きな障害を引き起こし、社会生活へ多大な損害を与えます。多くのケーブルは、高分子材料により絶縁されており、この高分子材料は、熱、酸素、水分等の環境において劣化することが知られています。特に原子力発電所格納容器内で使用されているケーブルについては放射線の影響も考慮する必要があります。このことより、ケーブル絶縁体の劣化状態を把握するための信頼性の高い診断法の開発は重要であると考えます。研究内容と目指すもの制御用ケーブル、送電ケーブル等の損傷は停電等の原因となり、社会生活や産業へ与える影響は莫大です。それらを未然に防ぐ手段として、ケーブル状態を把握するための診断を適切外部資金• 令和5年度原子力施設等防災対策等委託費(実機材料等を活用した経年劣化評価・検証(電気・計装設備の健全性評価研究))事業(再委託)に効率よく行うことが重要です。これにより、電力供給の安定化が実現でき、社会生活や産業の安定化、高度化を確保することが期待できます。技術の特徴ケーブル劣化診断法として、ネットワークアナライザを使用した劣化位置評定を行います。ケーブル内へ入射された広帯域の電磁波について、ケーブル内より反射された電磁波の周波数スペクトルの解析により劣化位置や劣化状態の評定を行う手法です。非破壊の診断法であることより、測定により対象ケーブルにダメージを与えることなく診断できます。技術の用途本手法は、数キロメートルケーブルでの診断も可能であり、工場や発電所等の送電、配電ケーブルの劣化状態を把握することが可能です。ケーブル端から診断する、人が入れない箇所や見えない場所の診断も可能であり、劣化ケーブルの効率良い交換に有用です。特に原子力発電所格納容器内などの低圧用ケーブルの診断への適用も可能です。企業等との連携可能テーマ工場や施設、屋外の送電ケーブル等の劣化診断。長距離送電ケーブル、海底ケーブル等の劣化診断など。知的財産権・関連論文情報・著書• 平井直志, 大木義路, “周波数領域反射法による複数の異常箇所をもつ同軸ケーブルでの位置標定”, 電気学会論文誌A, Vol. 139, No. 9, pp. 367-372, 2019.9.

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