TCU Research Directory 2023
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馬ババ場 健ケンシ司教授250 TCU Research Directory 2023気候変動リスクの統合型シナリオ構築手法気候変動政策 / エネルギー政策 / シナリオプランニング / ステークホルダー研究テーマキーワード環境学部 環境経営システム学科馬場研究室(環境ガバナンス)研究室HP研究者情報最近の研究テーマ気候変動の影響はすでに各地で現れており、温室効果ガスを削減する緩和策(脱炭素対策)だけでなく、影響に対応する適応策の両方が求められています。気候が変わることは、生活や社会のあらゆる側面に影響をもたらす根本要因であり、それらがもたらすリスクと機会について、経営計画、事業、活動、そして施策を長期的な視点から見直す必要があります。このため、気候モデルや影響予測の専門家らとともにシナリオプランニングをベースとしたシナリオ構築手法を開発し、自治体の気候変動適応計画策定を支援しています。TCFD(G20の要請を受け金融安定理事会により設立された気候関連財務情報開示タスクフォース)は、投資家に向けた最終報告書にて、企業等に対して、気候変動リスク・機会に関する財務への影響情報の開示を求めており、上記の手法が役立てられます。研究内容と目指すもの気候変動の進展に伴って極端な気象が発生し、様々な面で影響が出始め、将来を見通した対策を現時点から検討する必要があります。例えば極端な気象により水・土砂災害のリスクが高まり、コンパクトな土地利用を検討せざるを得ないケースなどでは合意を形成していく必要があります。また、温室効果ガスの削減を目指して再生可能エネルギーを大量に導入しよう外部資金• 文部科学省「大学の力を結集した、地域の脱炭素化加速のための基盤研究」(2021-2026)• 日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)「地方自治体における気候変動適応策の実効性と波及性・受容性の構造分析」(2021-2023)として、例えば地熱資源の温泉利用と発電利用など、利害の異なる人々の間でしばしば対立が起こります。当研究室では、「あちら立てればこちら立たず」といった複雑な状況下で持続可能な社会を実現するべく、専門家、行政、利害関係者らとの合意の場づくりを通じて政策提言を行っています。• JST-RISTEX「科学技術イノベーション政策のための科学 研究開発プログラム」令和2年度採択課題「シビックテックを目指した気候変動の「自分事化」に基づくオンライン合意形成手法の開発と政策形成プロセスへの実装」(2020-2023)• 文部科学省「気候変動適応技術社会実装化プログラム(SI-CAT)」(2015-2019)技術の特徴気候変動や社会変動が起こりつつある状況下では、不連続(不確実)な未来を想定する必要があり、左記の手法は、不確実性を含めた様々な要因が絡み合う構造を理解し、未来からのシグナルをより早く感知し、変化への認識力と適応力を高めることが期待されます。技術の用途予測情報という科学的知見を活用しつつ、将来をよりよく見通しながら「自分(自社、自身の行政)なら、特定された気候変動リスクや機会(ベネフィット)に対して何ができるか」について検討することができ、企業の経営計画やCSR/ESG報告書、自治体の気候政策等に活用できます。企業等との連携可能テーマ気候変動リスク・機会(ベネフィット)等を題材とした統合型シナリオ構築手法: 具体的には、ステークホルダー分析、シナリオプランニング、専門家デルファイ調査、シナリオワークショップ等の各種手法を組み合わせつつ、気候変動や社会変動がもたらすリスク・機会(ベネフィット)を特定し、長期的なシナリオを構築します。知的財産権・関連論文情報・著書• 谷口真人編著: SDGs達成に向けたネクサスアプローチ ―地球環境問題の解決のために―, 共立出版 2023年2月.• 田中充, 馬場健司編著: 気候変動適応に向けた地域政策と社会実装, 技報堂出版, 2021.• Baba, K. et al. eds. Resilient Policies in Asian Cities; Adaptation to Climate Change and Natural Disasters, Springer, 2019.ほか

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