TCU Research Directory 2023
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高タカダ田 昌マサユキ幸教授TCU Research Directory 2023 253調査報道の可能性と限界メディアとジャーナリズム / 調査報道の可能性と限界 / インターネット時代の取材組織研究テーマキーワードメディア情報学部 社会メディア学科高田研究室(ジャーナリズム)新たな調査報道の仕組みを実際に現場で最近の研究テーマ研究内容と目指すもの取材プロセスの分析を通じ、企業や組織体の枠を超えた「取材手法の標準化・共有化」をどう実現させるかを研究しています。日本の報道界は長年、各企業内部で取材ノウハウを蓄積してきましたが、記事や番組などで表現されるジャーナリズム活動が社会の公共財であるなら、本来は取材手法も市民社会の共有財産であるはずです。伝統的メディアが培った取材手法、特に調査報道に関するそれを次世代に引き継ぐことは、健全なジャーナリズム、ひいては健全な市民社会を持続させるためにも、大きな意味を持っています。技術の特徴取材プロセスの分析を通じ、調査報道取材のノウハウの深化と共通化を探究しています。それを通じて、新聞、テレビ、ネットなどメディア企業等の枠を超えて調査報道がさらに日本に根付くことを目指しています。技術の用途調査報道取材の方法の共有化を進め、ジャーナリズム界、メディア界の取材力向上に寄与することが可能です。企業等との連携可能テーマ• ネットメディア、マスコミ、ジャーナリズムに関する事柄全般• 調査報道の歴史、その可能性と限界• インターネット時代とニュースの関わりに関する事柄全般知的財産権・関連論文情報・著書研究者情報「リクルート事件」「大阪地検特捜部検事による証拠改ざん事件」など日本の調査報道も輝かしい成果を出してきました。2010年から現在にかけ、調査報道取材に関わったジャーナリストらに綿密なインタビューを続けているほか、内外の論文等を精査し、調査報道取材に共通する要素を探究しています。成果の一部は「権力VS調査報道」(2011)、「権力に迫る『調査報道』」(2016)などにおいて、先行的に世に送り出しています。また、調査報道に関する新しい組織(フロントラインプレス)を立ち上げて代表を担い、研究だけでなく、実践での応用にも取り組むなど、適切なジャーナリズム活動を通じ、公正・自由・平和な民主主義社会の維持と実現に貢献しています。「真実 新聞が警察に跪いた日」角川書店 2012/ 「伝える技法」旬報社 2015/ 共著「権力vs調査報道」旬報社 2011/ 「権力に迫る『調査報道』」旬報社 2016/ 山田健太他著「現代ジャーナリズム事典」の『調査報道』他 三省堂 2014など。ジャーナリストだけでなく、研究者や写真家、社会活動家らも加わる次世代型の調査報道グループ「フロントラインプレス」を2019年春に発足させ、その代表として参加者の相互研鑽や取材プロジェクトの推進に取り組んでいます。グループのメンバーからは、フロントラインプレスを通じた調査報道ノンフィクションをメディアで連載し、その後、「黒い海 船は突然、深海へ沈んだ」として上梓した女性もいます。この作品は、2023年度の大宅壮一ノンフィクション賞、本田靖春・講談社ノンフィクション賞、日本エッセイストクラブ賞などを受賞。早速、中国語版も刊行が決まるなど、国際的な注目を集めています。

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