TCU Research Directory 2023
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秋アキヤマ山 義ヨシノリ典教授TCU Research Directory 2023 275モダニズム小説にとっての教養小説的主題を考察する現代英米文学 / 批評文学 / モダニズム文学 / 植民地小説研究テーマキーワード共通教育部 外国語共通教育センター秋山研究室研究の特徴研究者情報最近の研究テーマ英米文学にとっての「教養小説」に新たなる視点からの見直しが現在、問題化されています。19世紀後半から20世紀前半に登場した「教養小説」とは、従来のドイツを起源する教養小説の伝統から、異なる傾向を示しています。米国ペンシルバニア大学のジェド・エスティ『Unseasonable Youth』(2012)は、モダニズム文学と植民地化、ならび成長の文学の関係を議論し、スタンフォード大学のフランコ・モレッティ『The Way of the World』(1987)では、ウィルヘルム・マイスター、ジュリアン・ソレルなどの西洋の教養小説の黄金期を辿りながら、モダニズム文学に教養小説の崩壊が起こった視点を提示しています。教養小説の最盛期からモダニズム文学への社会歴史的な推移を分析、研究しています。研究内容と目指すもの文学を研究することは、体系的な知識構造を築き上げることではないかと思います。ロシアのミハイル・バフチンは、文体論と小説の言葉のなかでそれを証明しようとし、ハンガリーのジェルジ・ルカーチは小説の類型学試論を歴史哲学的視点から考察し、アメリカのイーハブ・ハッサンは、「根源的な無垢」から戦後のアメリカ文学の体系化を目指しています。たとえば、文学にとって批評の役割についてジョイスの『若い芸術家の外部資金• 文部科学省 科学研究費助成事業  基盤研究C グループ・ライティング教育の多様性―文化史研究からカリキュラム開発へ 研究代表者 エリック・マディーン(東京都市大学)に連携研究者参画(2016-2017)19世紀・20世紀の英米小説と批評研究。西洋文学にとって「成長」や「思春期」とはどんな意味があるのか、考察しています。自己決定を特徴として、成熟や大人になることの概念は定義することが難しくなっています。社会を拒絶することが成熟への条件なのか、調べて考察しています。研究の内容モダニズム小説にとっての教養小説的主題を考察しています。モダニスト的主人公とは、当時の帝国主義や資本消費主義の文脈のなかで青春期を送る主人公の状況を子細に検証する必要が生まれています。例えば、資本主義と芸術生産の危機と主人公の運命など。企業等との連携可能テーマ• 文学と鉄道• アメリカ・イギリス文化、社会研究• 文学の社会的影響について• アメリカ文学とイギリス文学• 教養としての文学教育の可能性の相違点と共通点• ジェンダーと文化知的財産権・関連論文情報・著書• 「ジーン・リース『闇の中の航海』、英国帝国主義と「成長できない」主人公」、社会イノベーション研究、成城大学社会イノベーション学部 第13巻第2号大隈宏教授退官記念号、2018年、成熟のレトリックと新しい経済活動―ジョージ・エリオット『フロス河の水車場』(『文学研究論集』第38号、2020年、筑波大学比較・理論文学会)などその他25件• 『モダン・サブジェクトの変容―教養小説の変容』(近刊)肖像』のなかでスティーブンが展開する統合、調和、明晰の論理も批評的な精神を暗示しています。文学の研究とはひとつの開かれた「窓」であり、何に向かってその「窓」が開かれているのか、考えています。それは何を示しているのでしょうか。それは、ぼんやりとしながらも、自分の一番深いところに向かって開かれているひとつの「窓」ではないかと確信しています。

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