TCU Research Directory 2023
298/326

橋ハシモト本 倫ノリアキ明准教授296 TCU Research Directory 2023変化する事業環境下での企業境界設定とコーポレートガバナンスの研究ダイナミック・ケイパビリティ / 企業間関係 / コーポレートガバナンス/ 取締役会研究テーマキーワード都市生活学部 都市生活学科経営戦略研究室研究室HP研究者情報最近の研究テーマ事業環境が急速に変化する現代では、多くの企業がビジネスモデルの転換を迫られます。その際に必要な新たな技術や知識を、市場を通じて社外から調達すべきなのか、業務提携などを通じてパートナーから借用すべきなのか、企業買収によって丸ごと獲得すべきなのか、あるいは自社内で開発・構築すべきなのか。つまり、企業は自社の境界をどのように(再)設定すればよいのかという問いに直面しています。さらに、こうした環境変化適応を可能にするコーポレートガバナンス体制をどのように構築すべきなのか。これらの問いに答えるために、ダイナミック・ケイパビリティ論と取引コスト理論を中心とした研究を進めています。研究内容と目指すもの人と人、企業と企業の間の多様な結びつきについて、分業の仕方や取引形態に着目して組織の経済学をベースに研究しています。本研究では、(1)人と人の結びつきに関しては、なぜシェアリングエコノミーが発展しているのか、人はどのようなものをシェアしてどのようなものを所有するのか、今後どのような製品やサービスがシェアされるのか、そして(2)企業と企外部資金• 科学研究費:若手研究「変化の急速な市場環境下でのビジネスモデルの転換に伴う企業境界の再設定に関する研究」(2018.4-2022.3)業の結びつきに関しては、なぜ垂直統合を進める企業もあればオープン化や分業を積極的に進める企業もあるのか、経営者は、どこまで外部の業者や人材に頼り、どこまで自社内で対応するのかという企業の境界をどのように決定すればよいのかを明らかにすることを目指しています。• 科学研究費:若手研究「変化する事業環境で取締役会が企業のダイナミック・ケイパビリティに与える影響の研究」(2022.4-2025.3)研究の特徴急速に変化する現代の事業環境を前提に、現代企業が従来の事業やビジネスモデルを転換し、中長期的な成長や競争力維持を実現するための方法を研究しています。特に、その成長や競争力の要因を、新たな技術や知識を入手し活用するための企業境界の(再)設定の適切なやり方と、取締役会をはじめとするコーポレートガバナンス体制が企業の環境変化適応能力(ダイナミック・ケイパビリティ)の巧拙に与える影響に着目するところに本研究の特徴があります。研究の内容取引時に発生する取引コスト(探索・交渉・監視のコスト)の大きさ、適切な供給・販売能力を持つ優れた外部業者の有無、環境変化適応能力(ダイナミック・ケイパビリティ)の強さ、そして企業の変革を促すコーポレートガバナンス体制(たとえば、取締役会構成)によって、事業環境の変化に対応できる適切な企業境界の(再)設定とビジネスモデルの転換が実現されます。企業等との連携可能テーマ• 必要な原材料や人材を外部調達するか、自ら賄うかの選択に関わる意思決定• 自社製品の流通チャネルを外部販売業者に任せるか、自ら担うかの選択に関わる意思決定• 海外進出や環境変化への対応に伴い、すでに実施した上記の選択を修正、再選択するかどうかの意思決定• 事業環境変化への適応を促す取締役会等のコーポレートガバナンス体制の検討知的財産権・関連論文情報・著書菊澤研宗編著、中央経済社、ダイナミック・ケイパビリティの戦略経営論、2018、57-78。橋本倫明、ダイナミック・ケイパビリティ・ベースのコーポレートガバナンス―日本版コーポレートガバナンス・コードにおける取締役の役割に着目して、経営哲学、査読有、18巻1号、2021、17-28。N. Hashimoto、Self-Expansion or Internalization as the Two Processes of Vertical Integration: What Informs the Decision?、Economies、査読有、9巻4号、2021、197。橋本倫明、企業の垂直境界設定に関する一般理論の構築に向けて、経営教育研究、査読有、25巻1号、2022、63-76。

元のページ  ../index.html#298

このブックを見る