TCU Research Directory 2023
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渡ワタナベ邉 大ダイスケ輔講師図:認識過程としての教授過程の基本構造TCU Research Directory 2023 305高校化学教育で「電子のふるまい」をどう教えるか教授学 / 教育方法学 / 自然科学教育 / 化学教育研究テーマキーワード共通教育部 人文・社会科学系教育学研究室研究者情報最近の研究テーマ化学は「物質における電子の科学」と言われ、あらゆる化学の領域で「電子のふるまい」をさぐることが重要と言われています。しかしながら、電子レベルで化学反応の基本原理を教える教育は十分実現されておらず、現状では「たくさんの知識」を羅列的に暗記させる化学教育が展開されています。これまで「たくさんのことが見えてくる知識(≠たくさんの知識)」を質的に明らかにする立場から、化学変化の前後における「大きさ」の変化に注目し「大きさが変化したのは電子が移動したからだ」との理解が可能であるという仮説の下、「妥当なわかり方」を理論的・実践的に検討してきました。化学を学ぶ必然性を存分に味わい、化学と人間の素晴らしさを身をもって体験できるような「楽しくわかる化学の授業プログラム」(図)の開発が研究の究極的な目標です。研究内容と目指すもの主として中等教育(中学校・高等学校の教育)のレベルで、自然科学教育(理科教育、化学教育、科学・技術・社会の教育)における教科カリキュラム・教育内容・教材を研究しています。人類が獲得してきた学問・文化の中からとっておきの教育内容(何を・どんな順序で・どんな表現で)を構成するために、その根拠を一つひとつ積み上げていきたいと考えています。新しい教外部資金• 日本学術振興会 科学研究費 基盤研究(c)「化学変化の過程」を視覚的・力覚的に体感する分子模型システム教材の開発 研究代表者、2023-2025• 日本学術振興会 科学研究費 若手研究化学教育における 「電子のふるまいを表現した化学変化のモデル」の理論的・実践的研究研究代表者、2018-2023育内容・教材の創造を目指す具体的な取組そのものの中にこそ、「学問の本質をつかむ学問(基礎・基本とは何かを問う学問)としての教授学」の本質があると考え、教育内容を抽出する方法の点から何らかの理論構築を進めようとしています。具体的な教育内容に則した教育実践の歴史研究(到達点と課題の評価)も魅力的な要素的研究課題として位置付けられます。• 日本学術振興会 科学研究費 若手研究(B)高校化学教育における授業プログラム「炭素化合物の化学」の開発研究代表者、2013-2015研究の特徴日本の学校教育における内容は学習指導要領によって定められていますが、その学術的根拠や妥当性を問う立場から、人類が構築した学問・文化の現代的・歴史的・認識論的価値を検討し、新しい教育内容・教材を具体的に作り出そうとしています。研究の内容• 学校教育• 理科教育企業等との連携可能テーマ• 小学校・中学校・高等学校の理科授業における授業改善• 戦後日本の理科教育実践史に関すること• 教育内容を基軸とする教授学・教育方法学に関すること知的財産権・関連論文情報・著書• 渡邉大輔「シトッフの“モデルの認識論的機能”の特徴と化学教授におけるモデル導入の条件」『東京都市大学共通教育部紀要』Vol.8,2015• 渡邉大輔「高校化学教育における炭化水素と官能基の区別に関する教育内容について」『教授学習心理学研究』Vo10,No.2, 2014

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