TCU Research Directory 2023
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坂サカグチ口 勝カツヒサ久准教授組織工学技術で構築した3次元組織。拍動する心筋細胞シート、筋細胞を播種した動く培養手、90%以上ウシ筋芽細胞で構成する培養牛肉、ニワトリ胚筋由来細胞で作成した培養ねぎまを掲載。拍動する多層化ヒトiPS細胞由来心筋細胞シート。ヒトiPS細胞から心筋細胞に分化誘導させ、温度応答性培養皿(UPCELL,CellSeed)に播種して培養することで拍動する心筋シートを作成した。この心筋細胞シートを多層化し、培養液を灌流させているコラーゲンゲル上で培養し拍動心筋シートを維持している状態の動画である。58 TCU Research Directory 2023医療・食料問題の解決に向けた新規バイオ産業技術の創出再生医療 / 組織工学 / 培養肉 / バイオリアクター研究テーマキーワード理工学部 医用工学科細胞・組織工学研究室研究室HP技術の特徴細胞シート、細胞凝集塊(スフェロイド)などの組織工学技術を用いて、3次元的な組織・臓器の構築を行なっています。また、新規の灌流培養や回転浮遊培養を開発し、構築組織に物理的な刺激を与えて自己成長する組織構築を目指しています。技術の用途研究者情報最近の研究テーマ細胞から組織・臓器を構築する「組織工学」の研究を行っています。組織臓器を構築するには、①細胞を大量増殖させる培養装置、②血管網を付与して培養液を灌流させる装置、③大量の細胞群を支える3次元的な足場構造装置、そして組織の構造・活性評価する装置が必要となります。これらの装置は機械技術ならびに細胞培養技術を融合することで創出し、再生医療、薬剤モデル、培養肉への応用開発を行っています。• 高い移植効率を持つ完全管腔化血管網3次元組織の構築• 細胞性食肉(培養肉)用大量培養方法の開発• 細胞性食肉コストダウンに向けた培養液の開発• 肝細胞風船様変性を実現させたNASHモデルの開発• 新規不妊治療、着床モデルのための子宮内膜様組織の構築• 衣料向け培養動物毛の大量培養システムの開発研究内容と目指すもの細胞から3次元組織・臓器を再生構築し、医療・創薬・食料・衣料の世界規模の課題を解決する新規バイオ産業を創出することを目指している。近年、パンデミック・異常気象・戦争・大火災、世界規模の問題が目覚ましく起きている。これらの問題に対応する方法として、ムダの多い非効率的な生産体制では難しいと考えている。そこで、高効率物質変換を行える安心・安全・安定的に供給できるバイオ資材の生産を確立することを目指している。外部資金• 風船様変性を有するヒトNASHモデルの開発:日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 2023年4月 - 2026年3月• 藻類と動物細胞を用いたサーキュラーセルカルチャーによるバイオエコノミカルな培養食料生産システム:内閣府 ムーンショット型研究開発制度 2020年12月 - 2025年3月• 受精卵付き子宮内膜様細胞シート移植による新規不妊治療:AMED 令和5年度橋渡し研究事業 異分野融合分野 慶應義塾大学拠点 シーズA 2023年4月 - 2024年3月• 3次元組織工学による次世代食肉生産技術の創出:国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業 2020年4月 - 2023年3月• 効果的な細胞移植を実現するための細胞シート高速積層法の開発:日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 2019年4月 - 2022年3月• クエットフローを用いた回転浮遊培養における細胞増殖への影響:日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 2017年4月 - 2019年3月3次元的に構築した組織を再生治療、創薬モデル、生活マテリアル(肉・毛・皮)に応用することを目指しています。現在、拍動する3次元心筋組織、風船様変変性を有したNASH肝組織、着床現象の解明のための子宮内膜様組織、完全管腔化血管網を有する皮膚組織、肥大化した筋組織を構築し、その有用性を検証しています。企業等との連携可能テーマ• 3次元組織を用いた治療・創薬モデルとしての有用性検証 (心筋、NASH、子宮内膜、皮膚、血管網)• 培養肉大量培養技術の提供・検証 (廃棄食品由来培養液、マイクロキャリア、培養肉用細胞)知的財産権・関連論文情報・著書• Production of scaff old-free cell-based meat using cell sheet technology. Ryu-ichiro Tanaka, Katsuhisa Sakaguchi, et al., npj Science of Food 6( 1) 2022• Bioengineering of a scaff old-less three-dimensional tissue using net mould.Katsuhisa Sakaguchi, et al., Biofabrication 13( 4) 2021

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