TCU Research Directory 2023
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佐サトウ藤 勇イサムTCU Research Directory 2023 89核分裂生成物の有効利用に関する実験研究核燃料 / 核分裂生成物 / 材料開発 / 放射性廃棄物研究テーマキーワード教授理工学部 原子力安全工学科原子力燃料・物質工学研究室研究者情報最近の研究テーマ核燃料であるウランやプルトニウムは、核分裂して全く異なる元素に「核変換」します。そうやって生じた核種を核分裂生成物といいます。多くの核分裂生成物が放射性であり、通常の取扱はできませんが、パラジウム、ルテニウム、ロジウムといった大変貴重な金属も生まれます。核燃料の再処理工程では、こういった金属元素が合金として取り出されています。この合金をうまく、制限された環境で使うことができないか?放射能を持った核種がもつ利便性を生かした材料開発ができないか?、というテーマに対して模擬材料作製・キャラクタリゼーションを行うことから始めています。研究内容と目指すもの原子炉の廃止措置を進める場合、特に福島第一原子力発電所においては、核分裂生成物(FP)の取扱いが重要となります。当研究室では、様々なFPの挙動に注目しています。シビアアクシデントにおいては燃料から放出される揮発性FP(セシウムなど)の物理化学的な移行挙動に関して、燃料設計おいては外部資金• 原子力規制委員会原子力規制庁「原子力施設等防災対策等委託費事業」(R4.12-R5.3) 「高速炉シビアアクシデント時のセシウムエアロゾル挙動に関する試験」• 文部科学省「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業」(R3.10-R6.3) 「ジオポリマー等によるPCV下部の止水・補修及び安定化に関する研究」熱伝導率に影響のあるFPガスの蓄積・放出挙動に関して、また、FPの有効活用においてはパラジウムやロジウムなどの金属析出物の性質に関して、実験的に詳しく調べ、原子力部門で「やりたいこと」と「やるべきこと」のバランスを取りつつ、社会に役に立つ研究を進めていきます。• 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構「受託研究」(R4.9-R5.1) 「格納容器構造材等への核分裂生成物の浸透挙動に関する研究」技術の特徴核燃料や原子炉材料に生じる物理化学的な現象を捉え、燃料設計や原子炉のシビアアクシデント関連事象の推測などに役立てていくため、高温環境における温度計測・冶金学的観察及び放射性同位体を用いる評価方法等を用いるところが特徴となります。技術の用途模擬実験等で得られたデータは、直近では福島第一原子力発電所における除染作業の作業法・作業量を決定する際の基礎データとなりました。また、シビアアクシデント時の核分裂生成物の放出速度は事故進展の予測評価に用いられ、リスク評価の基礎データとされます。企業等との連携可能テーマ• 核燃料の物性に関する事項や照射挙動に関する事項:燃料融点、熱伝導率、設計に係る照射挙動等の模擬試験・検討• シビアアクシデントに係る事項:FPのふるまい全般、コンクリート等へのFPの浸透挙動・除染方法の検討、放射性廃棄物• 高温における物理化学に関する事項:高周波加熱装置、各種物性測定装置開発、計算コードによる予測知的財産権・関連論文情報・著書• 「波長別光放射輝度同時測定装置」 特願2007- 36462• 「高温加熱炉」 特願2007- 36463• 訳本「高速中性子原子炉」(原書「Fast Spectrum Reactors」A. E.Walter他著、Springer)、ERC出版 (2016)、共訳(監訳:高木直行).

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