TCU 研究者一覧
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TCU Research Directory 2018 183 相談に応じられるテーマ近年の急速な生命科学の発展は、人間や環境のあり方を根本的に変革する可能性をはらんでいる。なかでも、ゲノム編集や合成生物学をツールとして用いた生物の改変は、人間が生態環境を細胞レベルからデザインする「人新世」を意味する。しかし、そのようなデザインの思想が、現代社会の経済・産業・組織のあり方を反映したものであることについての自己認識は不十分である。そこで、生命をデザインする理論や実践が、環境、農業、食料、医療などの具体的な社会領域でどのように形成されているのか、また、社会の自己認識として、生命のデザインをめぐるコミュニケーションはそのようにあるべきかについて、理論的な研究を行っている。研究内容と目指すもの農業食料分野のゲノム編集技術に問題関心を持っている人びとが、どのような人とモノを関連させて「問い」を形成し、それが開発し利用する人や組織を通じて、ゲノム編集技術の社会的アイデンティティの形成にどのような影響を与えることができるかを明らかにする。その観察と記述を通して、どのような「問い」の形成プロセスが有効な科学技術コミュニケーションとなり得るのかを検討する。最近の研究テーマ外部資金● 基盤研究(C)「農業食料分野におけるゲノム編集技術のコミュニケーションに関する社会学的研究」(H30-H32)● 挑戦的研究(萌芽)(研究分担)「デザインされる生態環境とその社会的影響に関する科学技術社会論的研究」(H30-H31)● 基盤研究(C)「環境変化へのレジリエンスと記憶に関する社会学的研究」(H22-H24)● 基盤研究(C)「リスク/環境コミュニケーションによる社会的記憶の形成過程に関する研究」(H17-H18)知的財産権・関連論文情報・著書● アウトリーチやマーケティングではない科学技術の双方向的コミュニケーションの手法開発。● できるだけ多くのステークホルダーの参加に基づく科学技術アセスメントの手法開発。● 食と農から考える環境教育の手法開発。キーワード大塚 善樹 教 授オオツカ ヨシキ環境思想と農業食料 研究室所属研究室環境学部 環境マネジメント学科基礎研究社会科学所属環境社会学、科学技術社会学、遺伝子組換え技術、ゲノム編集、合成生物学科学技術コミュニケーションゲノム編集の科学技術コミュニケーション① 大塚善樹、バイオメジャーはどこへ向かうか―業界再編のメカニズム、農業と経済 臨時増刊号、83巻、2号、2017年3月、pp.52-59.② 大塚善樹、想起によるレジリエンス概念の再構成について、環境社会学研究、20号、2014年12月、pp.37-53 ③ Yoshiki Otsuka, Constructing Otherness: the Politics of Bioscience in Japan, Journal of Group Dynamics, Vol.30, No.1, Nov 2013, pp.322-340.関連論文情報① 大塚善樹、近代科学技術―科学的生命理解の視点から, 桝潟俊子・谷口吉光・立川雅司(編)、ミネルヴァ書房、食と農の社会学―生命と地域の視点から、 2014年、91-108頁。② 大塚善樹、明石書店、遺伝子組換え作物―大論争・何が問題なのか―、2001年、全214頁。③ 大塚善樹、、明石書店、なぜ遺伝子組換え作物は開発されたか―バイオテクノロジーの社会学―、1999年、全238頁。著書

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