TCU 研究者一覧
46/288

44 TCU Research Directory 2018相談に応じられるテーマ「残留応力」は、外力が作用しない状態で物体内に存在する応力です。残留応力は、疲労強度や応力腐食割れなどの材料の強度特性に影響します。したがって、電子デバイスのような小さなものから自動車、航空機や発電プラント構造物のような大きなものまで、あらゆる機械・構造物の強度信頼性確保と高性能化のためには残留応力状態を正確に把握することが極めて重要です。我々は、放射光X線や中性子線等の量子ビームを用いた残留応力測定技術を開発し、それらを用いて機械・構造用材料における残留応力の発生・緩和機構や変形・破壊機構について研究しています。研究内容と目指すもの熱サイクル中の残留応力変化機構を検討するため、中性子回折法を用いて、昇温・降温過程の残留応力変化をその場測定しました。その結果、部材内部の溶接引張残留応力が昇温過程においてさらに引張側に上昇し、材料の降伏点を超えたことが分かりました。数値解析の結果から引張応力上昇の原因は熱応力であることが示され,これが残留応力緩和の一因となっていることが明らかとなりました。(右図は熱サイクル前(a)後(b)の溶接部内部残留応力分布)最近の研究テーマ外部資金● 文部科学省科学研究費:基盤研究(B)「残留応力緩和に及ぼす結晶学的微視構造の影響」(H23-25年度),挑戦的萌芽研究「大強度パルス中性子による疲労荷重下の機械内部応力測定システムの開発」(H25-26年度)など● 科研費以外の競争的外部資金:文部科学省原子力基礎基盤戦略研究イニシアチブ「原子力発電機器における応力改善工法の長期安全性評価のための基盤技術開発」(H26-28年度)など● その他:受託研究、共同研究、寄付金など知的財産権・関連論文情報・著書● 特許、特開2005-248291、「低鉄損一方向性電磁鋼板」● 種々の環境下(荷重、高温、低温など)における機械部品等の応力状態の非破壊・非接触測定● 残留応力の発生、緩和機構に関する研究● 残留応力が材料や製品の強度特性に及ぼす影響に関する研究キーワード秋田 貢一 教 授アキタ コウイチ強度設計システム研究室所属研究室工学部 機械システム工学科計測・分析計測所属残留応力、応力測定、量子ビーム、放射光Ⅹ線、中性子線、構造用材料、ショットピーニング、疲労強度熱サイクル下の残留応力緩和機構に関する研究知的財産権● K. Akita et al., In-situ residual stress analysis during thermal cycle of a dissimilar weld joint using neutron diffraction and IEFEM,溶接学会論文集, Vol. 35, No. 2, 2017, 112s-116s, https://doi.org/10.2207/qjjws.35.112s ● K. Akita et al., Relaxation behavior of laser-peening residual stress under tensile loading investigated by X-ray and neutron diffraction, Mechanical Engineering Journal, Vol. 1, 2014, SMM0029, https://doi.org/10.1299/mej.2014smm0029関連論文情報● 「加速器ハンドブック」、日本加速器学会編、丸善出版、2018年、(分担執筆)● 「X線応力測定法標準(2002年版)-鉄鋼編-」、日本材料学会、2002年、(分担執筆)著書

元のページ  ../index.html#46

このブックを見る