建築学専攻 Architecture
専攻の特色
建築学に係る分野は工学だけでなく、社会学・経済学・歴史学・生理学など多肢にわたる。特に近年の地球環境問題などに対応して、建築学として取り組むべき内容やスケールが拡がっている。建築学専攻では、このような広範な事象を多面的に視野に入れることを前提として、専門知識とスキルを各自が修得することを目指す。すなわち、「建築計画」、「建築設計」、「住環境計画」、「建築構造学」、「建築材料工法」、「建築環境設備学」の6学科目のいずれかの学科目に学生は所属し、各学科目で専門知識を修得するが、一方では総合的に考え、常に自分の研究テーマの位置づけを認識し、社会が必要とする建築、あるいは望ましい都市像を意識することが重要であると考えている。持続可能な都市・建築を目指す基本的な思想と、これを実現する専門知識を持つ人材輩出および研究活動を専攻共通の目標としている。
-
「建築計画」:建築計画や建築史、建築設計について研究・教育を行う。
-
「建築設計」:建築家養成コースで、設計科目を中心に、日本建築学会賞受賞者等による建築家教育を行う。
-
「住環境計画」:住宅・住宅地計画、市街地整備、地域施設計画などについて研究・教育を行う。
-
「建築構造学」:建築構造、海洋構造、振動工学について研究・教育を行う。
-
「建築材料工法」:建築構法、建築生産、建築材料につい研究・教育を行う。
-
「建築環境設備学」:温熱環境、空気環境、光環境について研究・教育を行う。
なお、本専攻は、一級建築士試験についての「開講科目が実務経験要件(1年または2年)を充たす大学院課程」として認められている。専門領域としては、意匠、構造、設備の3領域があり、所定の単位取得により専門領域意匠は実務経験年数1年または2年、専門領域構造と設備は実務経験年数1年が認定される。1年の認定がされた場合、大学院修了後、1年間以上の「設計・工事監理に必要な知識・能力を得られる実務」を経た上で、一級建築士受験資格を取得することができる。2年の認定がされた場合、大学院修了後すぐに受験資格を取得することができる。
学習・教育目標と育成する人材目標
学習・教育目標
建築学専攻では建築学に関する理論や専門知識を総合的に修得させるために、次にあげる学習・教育目標のもとで教育を行う。
-
建築学の総合的な知識や応用能力の育成
「専門科目」により各学科目の専門分野の指導を受ける一方で、「共通科目や周辺科目」を受講することにより、建築学に係る総合的な知識や応用能力を修得する。 -
建築学の専門的能力の育成
学科目に所属し関連テーマ研究を進めると共に、関連する授業科目の履修を通じて、建築学の専門的能力を育成する。 -
研究能力の育成
特別研究、研究室活動、授業科目を通じて研究能力を育成する。 -
総合的な設計能力の育成
設計科目を通じで総合的な設計能力を育成する。 -
建築家・建築技術者としてのマネージメント能力の育成
研究、授業科目を通じて、実務のマネージメント能力を育成する。 -
コミュニケーション能力の育成
研究発表、研究室活動を通じてコミュニケーション能力を育成する。 -
国際的に活躍できる語学力の育成
外国語文献研究、英文での論文執筆・発表、語学科目を通じて、国際的に活躍できる語学力を育成する。 -
一級建築士資格取得のための学習能力の育成
授業科目の中で、「インターンシップ及びこれに関連して必要となる科目」の単位修得により、一級建築士試験の大学院における実務経験年数1年または2年が認定される。インターンシップを中心とした授業科目では履修者全員が前後期合計で最低180時間のインターンシップを行う。また、実務教育を重視したカリキュラム体系であり、建築の実務職能を学ぶ建築プロジェクトマネージメント特論と建築職能特論は、実務経験履修者が全員必修である。
育成する人材目標
社会の発展に貢献できる建築家および建築技術者、研究者を養成することを目標とする。特に、各専門分野での課題発見と合理的な解決方策の提案と、成果を表現する能力を養い、変化の激しい現代社会への適応能力を身に付ける。また、学生が修了後に所属する企業などで研究・開発においてリーダーシップが取れる人格・識見を持った人材の育成を目標とする。
学位授与の方針
修士課程においては次のような資質をもった人材に対して修士(工学)の学位を授与する方針を持っている。
-
建築学の総合的な知識、専門的能力を修得し、問題解決に向けての応用能力を修得している。
-
建築家・建築技術者としてのマネージメント能力、コミュニケーション能力を修得している。
-
建築家・建築技術者としての総合的な設計能力を修得している。
学科目 研究内容
建築計画 Planning in Architecture
建築活動のすべての側面、即ち、建築プロジェクトの企画、計画、設計、竣工後の管理運営計画、改修計画の事象について建築計画の面から教育・研究を行う。研究分野は、劇場・ホールの建築計画・管理運営計画・改修計画、文化施設の建築計画、福祉施設の建築計画、木造文化財建造物、まちづくり、古民家の利活用等が中心となる。
建築設計 Architectural Design
建築設計の領域を総合的に解明することを目的とする。
建築を必要とする環境、時代性、社会的背景を考察し、社会が必要とする建築をめざし、建築設計の実務にそくして、建築デザインプロセスを通してものづくり、ことづくりの心や感性を養い建築を総合的にとらえて、建築設計の方法について教育・研究を行う。
研究分野は、都市建築設計、建築の空間と表現、建築素材と空間の表現、建築設計業務に関する領域が中心となる。
住環境計画 Planning of Housing and Urban Environment
住環境を総合的に計画する基礎的条件の解明を目的とし、次の教育・研究を行う。
住環境整備に関する内外の計画思潮、政策、およびこれまでに蓄積された学術的知見と計画事例のスタディを通して、住宅およびそれを取り巻く周辺環境を総合的に整備するための計画理論と技法について教育・研究を行う。子ども、青少年、成人、高齢者、障害者などあらゆる生活主体者の視点に立ち、都市住宅供給、住宅市街地整備、地域施設整備に関する計画条件とその実現化方策の総合的な解明を目的とする研究を行うとともに住環境計画のシステム化を図る。
建築構造学 Architectural Structures
建築構造の性能設計に関する基本的な考え方,鉄筋コンクリート構造,鉄骨構造、合成構造、および基礎構造の設計と解析、地震や風に対する安全性、機能性、居住性の確保、地盤や流体との相互作用解析の役割、建築構造の新しい動向などについて教育・研究を行う。
研究分野
1.各種構造の性能設計 | 2.建築構造の耐震・耐風解析 | 3.地盤連成・流体連成解析 |
4.建築構造のヘルスモニタリング | 5.免震・制震構造 | 6.耐震診断・耐震補強 |
建築材料工法 Building Materials and Construction Methods
建築材料・構法・工法の問題を扱う。建築各種構法およびそれを構成する建築材料の特質、特徴を理解し、要求にあった建築を得るための問題点を検討し、さらに建築の生産過程の合理化に関する教育・研究を行う。
研究分野
1.建築各種構法の特性の理解 | 2.建築材料の品質の評価 |
3.木質構造建築の性能評価 | 4.構造体を構成する材料の診断・評価 |
建築環境設備学 Architectural Environment and Services
人にとって建築内外の環境はどうあるべきか、建築環境システムにおける快適性、健康性、安全性、利便性、省エネ性を向上させるためにはどうすべきかといった建築環境設備に関わる理論や計画手法について教育・研究を行う。
研究分野
1.建築内外の温熱・空気環境の解析・評価・計画 | 2.都市建物の色彩計画・照明計画 |
3.生理心理学的観点からの温熱・空気・光環境問題の解明 |
進路/職業
建設会社、設計事務所、公務員、ハウスメーカー、不動産会社、鉄道会社、建材・住宅機器メーカー