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システム情報工学専攻 Systems Information Engineering
専攻の特色
現代社会では高品質な商品を提供すればそれを消費者は購入にしてくれるというスキームから、その商品を通じて消費者にどのようなサービスやエクスペリエンスを提供出来るかというスキームに変化してきている。すなわち、商品とそれにまつわるサービスを総合的なシステムとしてとらえ、設計しなければならないというに他ならない。このような総合システムを創出していくには、固有技術をもつ技術者に加え、対象を分析し、それらを基に固有技術を有機的に統合しひとつのシステムとして構成していくことのできる技術者の存在が重要である。
システム情報工学専攻は、数理技術や情報処理技術をベースとして、様々なシステムに内在する情報を分析・モデル化できる能力、そのモデルを活用し新たなシステムを創出し効率的に運用することのできる能力を持った技術者の養成を目的としている。システム情報工学専攻の対象とするシステムは多岐に渡るが、製品開発を一例にとると、情報処理技術や数理技術を駆使することで、世の中の動きやニーズおよび問題を把握し、様々な固有技術を統合することで製品やサービスを総合システムとして設計し、スピード感を持って生産・提供し、そのシステムをマネジメントしていくことのできる分野横断的なシステム技術者の養成である。
システム情報工学専攻ではこのような技術者を育成するために、複数の学科間での連携を取りながら、下記の学科目を用意している。
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数理情報工学:数理科学や計算論に基づき金融工学や生命科学のような多岐にわたる複雑なシステムに潜む情報の分析
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経営システム工学:消費者にとって適切な商品・サービスを生産するための生産システムやマネジメントシステムの構築
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ヒューマン・メディア工学:システムが人間にどのような影響を与えるかを調べ、人間の特性に合った人間中心システム設計
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ネットワーク情報工学:様々な分散協調型ネットワークシステムの特性の解析と効率の良いネットワークシステムの設計
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ビジョンシステム工学:人間にとって最も重要な情報メディアである視覚メディアの分析と、情報を効率的に伝達するための様々な情報メディアの開発
さらに深い情報通信技術を身につけるために、情報工学専攻と共同で通信情報処理コースを用意している。
学習・教育目標と育成する人材目標
学習・教育目標
システム情報工学専攻では、創造的なシステム設計・開発・マネジメントと問題解決に必要な素養を身に付けることを目標として、
・ 数理・情報処理技術を駆使した複雑なシステムの分析力
・ 個々に存在する様々な水準の技術を組み合わせて新しいシステムを構築する創造力
・ それらを製品・サービスとして世の中に提供できる形にする構成力
・ それらを運用していくマネジメント力
を育成することを目標としている。
育成する人材目標
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数理技術や情報処理技術を駆使することで、社会システムなど様々な複雑なシステムの中に潜む情報を見いだす能力を持った人材
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それらの情報を基に商品を総合的システムとして捉え、商品をより付加価値の高いシステムとして構築する能力を持った人材
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それらを効率よく生産し、流通させるマネジメント能力を持った人材
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これらの業務を他人と協調して遂行するためのコミュニケーション能力とプレゼンテーション能力を持った人材
学位授与の方針
修士課程においては、次のような素養を持った人材に対して修士(工学)の学位を授与する方針を持つ。
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「学習・教育目標」で挙げた能力を社会で活用できる高度な専門的技術として身につけること
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システム情報工学専攻において習得した高度な知識や研究能力を、変化していく環境の中でも様々な分野で応用し社会や人類の発展に貢献できること
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システム情報工学専攻において習得した高度な知識や研究能力を活用し、グローバル化した社会の中で技術者として高い倫理観を持ち自律的に行動できること
学科目 研究内容
数理情報工学 Mathematical Analysis for Information Engineering
準乱数と呼ばれるきわめて従属性が強い擬似乱数を用いた最適探索技術によって従来不可能であった大規模なデータ解析を行うことが可能になった。近年、この技術と確率解析や時系列解析を基礎とする金融工学を組み合わせて、銀行、証券、保険等の金融系企業では膨大なデリバティブのリスク管理を行う事業を展開している。本学科目はシステム情報工学専攻の数理基礎部門として、従来の経営、生産システムの枠を越えて、このような広範な領域での社会的需要に対応する人材の育成を目的とする。そのため数理統計学、確率論、情報理論、数値解析を基礎とした最新の情報分析技術の研究、教育を行う。
経営システム工学 Industrial & Systems Engineering
企画、設計、生産から経営、計画、管理まで企業活動を広く捉え、人、物、金、時間、情報などの資源を最大限に活用して、環境に優しく、安心・安全で信頼性が高く、付加価値の高い製品やシステム(仕組み)を安く迅速に作り出す期待に応えられる人材の育成を目的としている。そのため従来の経営工学分野の基本的となる経営管理、生産管理さらに統計分析を中心とした総合的管理技術の領域の研究を行う。
ヒューマン・メディア工学 Human Media Engineering
人間が関係するあらゆるシステムを情報伝達メディアとして据え、人間中心と安全性向上の視点から人間と情報伝達メディアから構成されるインタラクティブシステムおよびヒューマンインタフェースの評価・設計・開発に関する研究を行う。さらに新たなインタフェース創出のための先導的研究も実施する。
ネットワーク情報工学 Networks Information Engineering
通信と情報処理環境の分散・遍在する社会、すなわちユビキタス情報社会の到来が期待されている。本学科目では、このような生活環境を支える新しい通信サービスの仕組みやそれを実現する情報通信技術の創出をめざす。具体的には、コンピュータネットワーク技術を中心に、インターネットやIPネットワークの高度化、様々なモバイルアクセスネットワークやセンサネットワークの構成・制御法、これらを実現するためのトラフィック制御、ルーティング技術、QoS(通信品質)、学習制御やデータ検索技術の応用、エージェント通信技術などの研究を行う。
ビジョンシステム工学 Vision Systems Enjineering
本学科目は先進的・学際的な情報科学技術として、3次元画像工学、コンピュータビジョン、移動ロボット工学、コンピュータグラフィックス、幾何学的なモデリング、シミュレーション、可視化、機械学習、デジタルアーカイブ、モーションキャプチャ、ヒューマンコンピュータインタラクションなどを研究する。
進路/職業
全学科目共通
修了後の就職先は、上記の専門分野の紹介および教育目標と身につく素養における記載内容から伺えるように、ある決まった特定の業界に限られてはいないのが特徴であり、非常に幅広い業界に受け入れられている。要するに、修了後に修得した能力を発揮するために選択、応募できる業種および企業は広範囲に渡ると言える。その中でも主だった業界を挙げると、情報・通信業界、電気・情報機器業界、自動車業界、印刷業界、運輸業界、食品業界、サービス産業界等々である。