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機械システム工学専攻 Mechanical Systems Engineering
専攻の特色
当専攻の特徴は、『機械工学や電気、電子工学等の複数の工学分野を横断した技術のインテグレーション』を狙っている点であり、機械工学専攻など他専攻とはその位置づけが明瞭に異なっている。
専攻の柱は(1)~(3)の3つのカテゴリーで構成している。これらは、主たる7つの基礎工学分野、すなわちa :機械力学、b :材料力学、c :熱力学、d :流体力学、e :制御工学、f :電子・電子工学、g :情報工学、h:材料科学を横断した分野を基盤としている。カテゴリーと技術分野は具体的に以下のような学科目に対応している。
(1)基盤設計開発技術・システム設計開発技術 | ||
強度設計システム | 材料・材料強度工学に関するシステム設計開発技術 | a, b, f, h |
熱流体システム | 熱・流体工学に関するシステム設計開発技術 | a, c, d, f |
(2)ロボット・制御システム設計開発技術 | ||
ロボティクス | 各種ロボットの設計開発技術 | a, e, f, g |
制御情報システム | ダイナミックシステムの制御設計開発技術 | a, e, f, g |
(3)宇宙機器のシステム設計開発技術 | ||
宇宙システム | 宇宙機器の要素設計開発技術 | a, b, c, d, f |
計測電機制御 | 宇宙機器の材料開発技術 | b, e, f, g, h |
個々の学科目の研究テーマは必ずしも上述のカテゴリーに限られる訳ではなく、これらの応用として、環境設計、建築設備、医用機器、情報通信機器を始めとする広い分野も包含している。然も、(1)~(3)は独立ではなく、例えば、(1)の材料強度は(2)のロボットの構造設計や(3)の宇宙機器材料設計と、(1)の熱・流体は(3)のロケットのエンジンや機体設計などとも密接に関連しており、オーバラップする部分が多々あることが大きな特徴である。大局的には、(1)は(2)(3)の応用技術に対する基盤技術の役割を果たしており、航空機や自動車、プラントなどの重工業に直接応用できるテーマも多く含んでいる。(2)や(3)の学科目に属する学生は、(1)の基盤的な専門技術を習得して生かすことができる。また逆に(1)の学科目でも(2)や(3)に関連するテーマを扱っているので、ここに属する学生が(2)や(3)に関する専門技術を学んで研究に生かすこともできる体制である。
学習・教育目標と育成する人材目標
学習・教育目標
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高度に専門化した時代に必要とされる専門知識および創造力を身に付ける。
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横断的な技術分野の見識を基にした判断力および問題解決力を身に付ける。
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現代社会に要求される高いコミュニケーション能力を身に付ける。
育成する人材目標
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専門性の高い研究開発能力を備え、社会において将来指導者になりうる人材の育成を目標にしている。そのために、技術分野としては以下の専門学科目が選択できる。
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基盤設計技術、システム設計技術の習得
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ロボット・制御システム設計技術の習得
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宇宙機器のシステム設計技術の習得
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機械工学や電気、電子工学等の複数の工学分野を横断した知識を持ち、機械システムの統合開発を遂行できる能力を持つ人材の育成を目標にしている。そのために、各学科目が提供する複数の専門講義が受講できるカリキュラムを用意した。
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破壊力学特論、強度評価学特論、熱流体システム特論
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ロボティクス特論、ディジタルシステム制御特論、システム制御特論
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宇宙システム工学特論、宇宙環境計測特論、センサ工学特論
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国際人として通用するコミュニケーション能力と、世界に通用する高度な専門性・独創性を兼ね備えた人材の育成を目標にしている。そのために、以下のような外国語に絡むカリキュラムを用意した。
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英語による「Presentation Competition」
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英語による専門科目の授業
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海外国際学会への発表促進と密度の高い指導
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単に、技術的な素養のみならず、人文的ならびに社会的な素養と倫理観を兼ね備え、様々な要素を包含する実社会の状況に対応し、地球的な視点から社会に貢献できる人材の育成を目標にしている。
学位授与の方針
修士課程においては、次のような資質を持った人材に対して修士(工学)の学位を授与する。
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機械システム工学に関する専門分野の高度な知識と技術を習得し、また実際的な適用を考慮したより深い専門的技術を身に付けること。
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機械システム工学分野において習得した研究能力や高度な専門知識を用いて問題点や課題を発見する能力や、問題の具体的な解決方法を見出し、その最適性を評価できる問題解決能力を有すること。
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上記知識、技術や問題発見、解決能力を用いて、実社会の具体的な課題や問題に対して、的確に活用、応用できる能力を有すること。
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高い技術者の倫理観を持ち、環境変化に対応できる幅広い応用力を身につけグローバル化する社会において国を越えて社会に貢献できること。
学科目 研究内容
制御情報システム Control Information Systems
機械システムを対象としてコンピュータを用いた高度な解析、制御を行うことによって、高い性能を有するシステムを開発している。油圧関連の研究では、油圧の特性を生かしたハイパワーシステムの位置制御および省エネの問題を扱う。車両型多脚ロボットなど高速移動車両や宇宙探査機、無人飛行体に対しては、最新の高度な制御手法の研究を行う。
強度設計システム Strength Design Systems
機械・構造物等の強度に関する研究活動を行っている。すなわち、各種の材料に対する種々環境(腐食、高温、宇宙など)条件下の強度、X線、中性子およびシンクロトロン放射光を利用した多結晶材あるいは非晶質材料の残留応力測定ならびに材料の力学的性質と転位との関係などに関する研究である。
計測電機制御 Measurement and Electric Machine Control
1.パルス超音波による固体材料中の電荷分布の計測
2.光電子および二次電子放出による宇宙機材料の帯電特性計測
システムの開発
3.2次元ロックインアンプを使った電磁界強度分布測定
4.宇宙機帯電計測システムの開発
5.超高速ベアリングレスモータおよびそのドライブシステムの開発
熱流体システム Thermo-Fluid Systems
流体力学、熱力学、伝熱工学、物質移動論などに関わる工学的に重要な諸問題の研究を行う。研究の対象は、エネルギーや熱環境をはじめ、人体生理や病理に及ぶ現代のキーテクノロジーを包含しており、今日の社会ニーズに直結したテーマを多く扱っている。どの研究テーマにも共通なのは、工学的な問題解決に不可欠である数値解析技術および高精度計測技術である。このため、こうした解析や計測に関する基礎研究にも重点を置いている。
ロボティクス Robotics
実世界に働きかける機能を持つ知能化システムであるロボットの運動制御技術を研究する。人型ロボットの全身協調による作業動作の実現と、人間の姿勢維持に基づく高度なバランス制御、MMMコンセプトに基づくモジュラーホームロボットの開発と日用品を扱うための自律的な動作計画と運動制御を主な研究課題とし、これらの基本となる拘束を考慮した多体系の動的な運動制御や振動抑制理論を適用した、宇宙ロボットシステムの開発や多体系の実時間動作生成にも力を入れ、独自のロボットシステムの実現を目指している。
宇宙システム Space System Engineering
宇宙システム工学として、人工衛星、深宇宙探査機やロケットシステム等を研究対象とし、特性解析、実験を中心とした研究を行うことにより、宇宙システム工学に必要となる高度な専門知識を養う。また、大型宇宙構造や展開宇宙構造、新型人工衛星や宇宙材料、新型ロケットエンジンシステムを設計、開発することにより、実践的な設計開発能力を養成し、解析技術を習得する。
進路/職業
本専攻の修了生は、就職先において、研究開発部門・開発設計部門・生産技術部門に所属する人が多く、技術の中枢を担う第一線のエンジニアとして皆大いに活躍している。各学科目の主な就業先を一覧で示す。
自動車関連 | 重工業関連 | 航空宇宙 | 一般機器 ・精密機器 |
電気 ・電子機器 |
情報 サービス |
建設業 | |
制御情報 システム |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
強度設計 システム |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
計測電機制御 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
熱流体システム | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
ロボティクス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
宇宙システム | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |