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建築・都市専攻 Architecture and Civil Engineering
専攻の教育目標
専攻の教育目標
建築・都市専攻に係わる分野は工学だけではなく社会学、経済学、歴史学、生理学、生物学など多岐にわたる。特に近年の地球環境問題などに対応して専攻として取り組むべき内容やスケールが広がっている。こうした広範かつ多面的な視野を持ち、専門知識とスキルを修得できるような教育を目指す。
建築学領域では、建築計画、建築設計、住環境計画、建築構造学、建築材料工法、建築環境設備学といった分野に分かれて専門知識を学ぶ。
都市工学領域では構造安全工学、災害軽減工学、地盤環境工学、水圏環境工学、計画マネジメント、さらに社会人学生向けの社会基盤マネジメントといった分野に分かれて専門知識を学ぶ。
育成すべき人材
育成すべき人材
修了後の就職業種は非常に幅が広く、公務員、ゼネコン、コンサルタント、設計事務所、大学や研究所など多岐に渡る。こうした広範な業種において高い専門性を有し、地球的視野を持ったエンジニアの育成を行う。
建築学領域では、開講科目の多くが一級建築士試験の実務用件を満たす大学院課程として認められており、所定の単位を取得することにより、1年または2年の実務経験の資格が認定される。
都市工学領域では技術士をはじめとして多くの関連資格が存在する。本校卒業生による技術士会も活発に活動しており、都市工学領域の卒業生はその中心的役割を担っている。
専攻のポリシー
専攻のポリシー
ディプロマポリシー |
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幅広い教養と国際コミュニケーション能力を持ち、社会の発展に貢献でき、説明責任を果たすなどの実務上の対応能力や人間としての倫理をより高めることができる総合的な知識や応用能力を修得している。 |
建築・都市の文化芸術的側面と工学的側面を多角的、総合的に理解し、工学全般で必要な基礎学力を修得している。 |
建築・都市に係わる総合的な知識、専門的能力、および問題解決に向けての応用能力を修得し、建築家・建築技術者・都市工学技術者としての総合的な設計能力を修得している。 |
生涯にわたって自主的に学び続け、建築や都市の文化、技術の発展に寄与し、社会の発展に貢献できる建築家・建築技術者・都市工学技術者としてのマネージメント能力、コミュニケーション能力を修得している。 |
カリキュラムポリシー |
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文化・社会・環境などの教養や技術者倫理を修得し、国際的に活躍できる語学力と国際コミュニケーション能力を育成するための教育課程を編成する。 |
工学全般に共通する知識・能力(実行、思考、協働など)、ならびに、深い専門的知識・能力を修得するための教育課程を編成する。 |
建築家・建築技術者・都市工学技術者として仕事を遂行するための専門的能力と総合的な設計能力、実社会での課題を探究する問題発見・解決能力、ならびに、実社会の複合的な問題を解決する能力を修得するための教育課程を編成する。 |
実務におけるマネージメント能力およびコミュニケーション能力を育成し、専門家としての自己のキャリアを確立し、将来設計を高めるための教育課程を編成する。 |
A分類 |
B分類 |
C分類 |
D分類 |
教育課程表
教育課程表
3. 領域について
3. 領域について
本専攻は建築学領域と都市工学領域からなる。
建築学領域では、建築物及び建築物で構成される地域を扱い、建築計画、建築設計、住環境計画、建築構造学、建築材料工法、建築環境設備学などの分野からなる。
都市工学領域では建築物以外を広く扱い、都市の計画・マネジメント、構造物(交通施設、エネルギー施設、等)の設計、防災、環境(地盤、河川、海)などの分野からなる。
指導教授別研究内容
指導教授別研究内容
【建築・都市専攻 建築学領域】
【建築・都市専攻 建築学領域】
天野 克也
住環境計画に関する内外の計画思潮、制度、およびこれまでに蓄積されてきた学術的知見と計画事例を参照し、また、我が国の人口減少、少子高齢化を要因とする都市・住宅問題を十分理解し、子どもから高齢者まで、また健常者と障害者などあらゆる生活主体者の立場に立ち、住宅及び住宅地の整備、地域施設整備に関する計画条件とその実現化方策及び維持管理方策の総合的な解明を目的として研究を行う。研究分野は、郊外住宅地再生、既成住宅地における空き家活用、高齢者住宅計画、コンパクトシティ等が中心となる。
岩下 剛
住宅・学校・オフィス・商用施設の居住環境、環境設備システムを対象に、快適性、安全性、健康性、作業性(パフォーマンス)に配慮した計画・管理・制御をテーマとして研究を実施している。建築計画原論、建築保健工学、環境設備システム学の学問体系を基に、室内空気環境をはじめ、社会で現在問題となっている事象をテーマとして選んでいる。学習成果が現場である居住環境の改善・リスクの低減に役立つような対策技術も学修する。
大村 哲矢
日本は地震大国であり、建物は大地震に耐えうるように設計するものと法律で定められている。しかし、その法律が定められた以前の古い建物はその性能を有していないことが多い。また,近年の建物は,倒壊しないように設計されているが、地震後に建物を継続して使用できるとは限らない。このような背景から、古い建物については耐震補強をどのように実施していくべきか、新たに設計する建物については地震に対してどのような性能を設定して設計していくべきかに関して実験および解析によるシミュレーションを実施して研究を行う。
小見 康夫
建築生産とは、建築をつくる仕組みを指す。狭義には、施工現場で展開される様々な構工法であるが、その背後には、それらを担う企業や組織による活動、さらには様々な技術や制度の体系が存在する。わが国では建築は既に量的飽和に達しているが、老朽化や性能の陳腐化が進行しており、これらのストックを持続可能な方法で健全化していくことが強く求められている。こうした「ストック健全化」に向け、建築の様々な知見を総動員し、技術的な内容はもちろん、それをとりまく社会や制度まで含めた「課題発見と解決」のための研究を行っていく。
勝又 英明
本研究室は、建築計画研究を中心に、建築プロジェクトの発生から設計活動を経て竣工後の建築の管理運営計画までの事象を、建築計画の面から研究調査を行っている。研究の中心は設計活動のための建築計画だが、特にプログラム作成、建築の管理運営と計画・設計との関係などにについて研究を行っている。研究対象建物種別としては、文化施設、福祉施設、とくに劇場・ホール、博物館、特別養護老人ホーム、グループホーム、デイサービスセンターがある。さらに、近現代社寺建築や古民家など、日本建築史と建築計画の境界領域にも関心がある。
小林 茂雄
地域の特性を活かした屋外照明計画を行い、その効果を検証している。フィールド調査と現場実験を行いながら、安全・省エネルギーで、固有性のある光環境を構築していく。照度や輝度の数値計算によって画一な照明計画を行うものでも、デザイン的に優れた光環境のみを構築するのでもなく、各々の現場において求められる空間性能を最大化させることを目的としている。従来の1/3程度のエネルギーで実現することを目指している。
近藤 靖史
ひとはほとんどの時間を室内で過ごす。ひとの健康性と快適性を維持するためには室内の空気環境と温熱環境を適切な状態に維持する必要がある。当研究室ではこのような観点から建物の断熱性能や換気・空調について研究している。さらに、住宅で冬期に問題となるヒートショックを断熱改修でどの程度緩和できるかを検討している。一方、都市部で問題となるヒートアイランド現象や熱帯夜の緩和する方法として都市表面での日射反射率を高める「クールルーフとクールペィブメント」を提案し、検証している。
佐藤 幸恵
建築物の長寿命化、高機能化技術の開発には、それらの性能を実現する建築材料が不可欠である。近年社会問題化しつつある建築物の既存ストックの増加に対し、その有効活用には経年した建築物の適切な診断と補修補強が重要である。さらに、他産業の副産物の有効活用や、建築材料のリサイクルなどの環境に対する配慮の要求が高まっている。このように、建築材料に対する要求の多様化に対応すべく、特にセメント・コンクリート系建築材料の高性能・高機能化技術の開発と環境配慮型材料の開発とその有効活用方法について研究を行う。
焦 瑜
鋼構造の設計を行うには、骨組を構成する部材や接合部の性能を正しく把握しておく必要がある。特に大地震時に損傷を受ける箇所については、部材や接合部の性能を限界づける鋼材の限界状態も明かにしておくことが必要である。本研究室は、素材・部材及び骨組の3つのレベルから、鋼構造の耐震性能評価を行い、改修対策も考えながら、より多くの鋼構造建物を安全かつ災害直後でも継続使用できるようにレジリアントな社会を実現させるための研究に取り込んでいる。
手塚 貴晴
建築の境界が持つ意味について文化的或いは環境的観点から考察を行う。建築の内外の境界が曖昧な日本では、空間は囲い込むものではなく「仕切る」あるいは「しつらえる」という概念で捉えられてきた。その結果どのような都市環境が生じるのかという問が研究室の主要なテーマとなる。検証には自然の概念から比較文化に至るまで広範な手法が使われる。日本建築空間を起点としているが、最終的には国際的な視点を持った結論を導き出す事を目標としている。
西村 功
振動制御理論を応用した免震構造と制震構造の理論研究に基づく新構造システムの開発を行っている。解析研究にとどまらず、実験による実証研究に特色があり、多様エンジニアリング分野を融合して新しい建築部材の開発や設計解析法の開発を目指している。アクティブ振動制御理論研究の成果として、エネルギーを必要としない制御理論が完成した。この理論を応用し日本周辺の海域から波動エネルギーを電気エネルギーに高速で変換する波動発電装置の研究を行っている。
福島 加津也
研究内容は、最先端の建築デザインとその根底にある建築理論の2つである。本研究室の指導教員は、現役の建築家でもある。現役の建築家が大学で教えることにより、この2つを同時に研究することができるようになる。これまでの大学の枠にとどまらない実践的な活動から、新しい建築教育の可能性が拡がるだろう。建築は永く未来に残る。その建築を設計することは、未来を考えることに他ならない。本研究室が目指す未来とは、建築をデザインすることによって、理想の未来とは何かをみんなで考える社会をつくることである。
堀場 弘
建築は人類とともに発展し、常に新しい技術と社会的な要請によって新しい建築が生み出されてきた。建築を文化として捉えて、どのように新しい時代の建築をつくるべきかを研究する。社会が建築を生み出すことを学ぶために、実現前提のコンペに参加する。現実の都市の魅力を感じるために、東京百景と題して、東京をドローイングを通じて解釈する活動を行う。またプロジェクトとして、大学キャンパス計画、栃木市嘉右衛門町地区の伝統的街並み修景に関する実践を地域住民とともに考えながら進めている。
【建築・都市専攻 都市工学領域】
【建築・都市専攻 都市工学領域】
秋山 祐樹
安心安全な社会の実現には、実空間の実態と変化を把握する技術が不可欠である。そこで本研究室では様々な統計や空間情報(マイクロジオデータ)、ビッグデータ等をGISや統計解析、AIなどを活用して都市、建物、車、人などの活動をモニタリングし、その動向を分析することで、持続可能で快適な社会の実現とその支援を目指すことを目的とする。自治体や民間企業との連携や海外展開に興味がある方、新しいことにチャレンジしたいやる気のある方、社会人・留学生の方など、世界を変えていきたいという志を持つ方を期待する。
伊藤 和也
地盤環境に関する課題に加えて地震・豪雨等の自然災害に対する防災上の課題について幅広い視点での検討を実施している。具体的には、要素試験、模型実験(遠心模型実験含む)、数値解析による①構造物基礎の安定問題や地震時挙動の解明、②豪雨・地震や切土中の斜面の安定問題、③トンネル掘削時の地盤安定問題、④自然災害に対するハード・ソフト対策の評価手法の開発、⑤建設工事の安全問題が挙げられる。
栗原 哲彦
コンクリート工学に関連した課題について主に実験により研究に取り組んでいる。最近では、①酸溶解によるリサイクル技術の開発、②振動計による内部鉄筋の腐食判定法の開発、③硬質ウレタンによるRCはりの補強効果の確認、④新たな粗面処理による付着特性の評価、⑤コンクリート打込み作業者の行動視覚化、を中心に企業や他研究者との共同研究も含めて、精力的に取り組んでいる。
五艘 隆志
社会基盤整備プロジェクトのマネジメントはヒト(ステークホルダー、労働力、組織など)・モノ(資機材)・カネ(公会計、出融資など)・情報といったリソースの最適配分がその本質となる。本学科目ではこの配分を現実に動かす執行形態(設計施工分離、設計施工一括、PFI/PPP等)、入札・契約・監理・検査・検収・支払システム,コスト/時間/品質管理システムに関する研究を行っている。基礎自治体災害マネジメントシステム構築、技術者の生きがい、ICTを活用した生産性管理などは具体的フィールドを持つ産官との共同研究として実施している。
白旗 弘実
構造物の経年劣化が問題となっている。鋼あるいはコンクリート構造物の非破壊検査、診断、常時監視に関する研究を行っている。具体的には、超音波探傷法による溶接部の品質管理、疲労き裂の検出、赤外線あるいは衝撃弾性波法によるコンクリート不連続部の検出、効果的な防食のための橋梁の降雨時の排水方法などについて、解析的、実験的に検討をしている。
末政 直晃
本学科目では、地震時に発生する液状化に関する研究を行っている。まず液状化発生の有無を判定するため、地盤調査法や土質サンプリング方法を開発している。次いで、液状化対策工法として、薬液注入工法の高性能化やマイクロバブル・微粒子を地盤に注入する新しい工法の開発を行っている。他に、滑走路や老朽擁壁の維持管理を目的とした研究や洋上風力・宇宙開発に関連した基礎研究も実施している。
関屋 英彦
橋梁やトンネル等の社会インフラの老朽化問題を解決するため、社会インフラの維持管理の高度化に関する研究に取り組んでいる。具体的には、センサー技術・IoT技術・AI技術・再生可能エネルギー技術等を活用したインフラモニタリングシステムの開発を行っている。開発を進めているシステムによって、インフラの健全度評価・損傷の発生検知・震災後の橋梁の状態の瞬時判定等が可能となる。
長岡 裕
都市の持続と発展に不可欠である上下水道システムを研究対象としている。特に、膜を利用した排水の再利用システムおよび浄水システムの最適化、水道管路システムにおける水質の変換機構の解明などを重点的なテーマとしている。特に膜を利用した高度排水処理システムである膜分離活性汚泥法に関しては、これまで多くの成果を上げており、国内民間企業との共同研究も数多く実施している。
中村 隆司
都市及び地域を巡る様々な課題に都市及び地域計画の面から取組んでいる。主な研究テーマとしては、①人口減少時代の都市形態と地域整備:例えば、コンパクトな都市の形成、地方都市の中心市街地の再生等、②日本の総合性を欠いている計画制度の改善方策:例えば、国土利用計画法に基づく計画制度の活用、土地取引規制制度の活用、減災のための土地利用計画等、③首都圏の実態と今後の方策:例えば、都市農地の実態、郊外部開発の経緯と高齢化、TODの観点から見た鉄道駅を中心としたまちづくり、多核多圏域型都市構造の実現等が挙げられる。
丸山 收
都市施設は自然および人工的な外乱を受けるので、供用期間において安全性と機能性を確保するように設計、施工および維持管理をしていくことが求められる。長い供用期間において都市施設の性能を維持することを目的として、構造工学、耐震工学等に加えて経済学、社会学などの幅広い知見を取り入れた研究課題に取り組んでいる。主な研究テーマとして、構造物の性能設計理論、モニタリング技術、劣化予測と将来における補修・補強に関する意思決定問題などである。
三上 貴仁
沿岸コミュニティは、津波や高潮といった沿岸災害に加え、土地利用の変化や気候変動などにともなうさまざまな課題に直面している。本学科目においては、世界各地の事例の分析、数値シミュレーション、水理実験といった手法を用いて、災害による被害の発生メカニズム、災害による被害の軽減に向けた方策、災害や気候変動に対する沿岸コミュニティの脆弱性、これからの沿岸コミュニティのあり方などに関する研究を行っている。
皆川 勝
都市工学は市民社会のためにハードおよびソフトを含む社会基盤を形成する工学である。そこで、「市民社会と都市工学をつなぐ」というテーマのもとに、産業界・自治体・市民社会が連携してよりよい社会基盤を形成するために必要な問題解決を目指す。具体的には社会基盤に関わる産官学民協働の意義の自治体・市民社会への浸透展開、産官学民による社会基盤充実のビジネスモデルの創出、協働の推進におけるICTの活用の方策などを研究する。
吉田 郁政
現代の日本において地震や台風などの自然災害や施設の老朽化による災害に対する対策は大きな社会的課題であり、インフラ施設の災害軽減に関連した各種研究を行っている。具体的には、地震などの災害に対するリスク評価手法、破壊や崩壊現象のコンピュータシミュレーション技術、各種計測データに対する統計分析、不確定性下での意思決定法、コンピュータシミュレーションを用いた災害時の避難計画、リスクと法的判断の関係や市民のリスク認知などの幅広い研究テーマがあげられる。