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マレーシア・ボルネオ島における自然体験実習
担当教員:知識工学部 リテラシー学群(化学) 講師 倉田薫子

マレーシア・ボルネオ島における自然体験実習は、本学と阪南大学の共同実施で2007年8月30日から9月7日に行われました。今年度初めて実施されたこの実習の主な目的は、ボルネオ島の多様な自然と触れ合いながら、地元の村にホームステイし、自然や文化の様々な体験を通して自ら課題を見出し実践していくこと、他大学の学生との交流を通して、様々な分野の見方考え方を学び、見識を広げることの2つです。プログラムの内容は以下の5つが挙げられます。
1.現場体験実習
スンガイ・オラン(川の民)と呼ばれる原住民の村に滞在し、水道や電気のない生活を体験しました。毎日の生活に使う水は、カフェオレ色の川の水(行水、トイレ用)と雨水(調理用)です。毎日使う分の川の水をくみ上げ、雨が降るとバケツにためます。また電気は暑い日中、街で電気の需要量が増加すると止まってしまいます。街の人の生活によって、洗濯機はおろか、冷蔵庫や扇風機まで使えない生活から、日ごろの自らの生活を考えました。
2.自然観察
キナバタンガン川の流域には、ゾウやサイチョウ、マレートラ、マレーグマや、世界最大の花ラフレシア、ウツボカズラなど希少な動植物が多く生息しています。リバークルーズやナイトトレッキング、洞窟探検を通してこれらの動植物に出会いました。
3.土木・建築実習
村の伝統的な住居を見学したり、村の住居の配置を調査したり、休憩所の設計や建設、養殖池の建設や畑仕事など、村人と共に協力して作業しました。
4.WWFとの協働植林作業
キナバタンガン川の周辺には小さく分けられた自然保護区がいくつかありますが、その間にプランテーションや村などの開拓地が点在するため動物たちにとっては移動が困難で、生息するのに不向きです。そのため自然保護区の間を橋渡しするコリドーを植林によってつくり、多くの動物たちのすみかとして森を再生するWWFのプロジェクトが進んでいます。このプロジェクトの一環として、植林作業を行いました。
5.異文化交流
滞在する村での交流は主にマレー語です。英語とマレー語を駆使してコミュニケーションしなければならないので、語学力向上の機会となりました。また伝統的なマレー料理や民族のダンス、日本からも折り紙や空手の披露などを通して、異文化交流が行われました。また他大学との共同実施により、専門が異なる仲間と交流することで、様々な見識を得ることができました。
ボルネオ島は、島の約70%が熱帯雨林で覆われており、動植物の種多様性が世界中でもっとも高い地域の一つです。しかし今、その熱帯林とそこに棲む多くの動植物が絶滅の危機に瀕しています。プランテーション農業による土地開発や木材の輸出のための不法な森林伐採、焼畑などで生育地が脅かされているためです。日本もそれらの開発に大きく関わっています。豊かな自然と同時に大きく広がるプランテーションは、日本にいると忘れがちな、我々の生活の利便性と引き換えにしているものを見せ付けてくれました。現地に滞在することで、自分たちの生活と地球環境を考えるよい機会になったと思います。
本実習では、事前学習によって各自テーマを決め、現地滞在中にそれぞれが研究を行うという形式で報告をまとめました。