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トピックス詳細(在学生・保証人の方へ)
「2023年度入学式」 学長・理事長・後援会会長・来賓からのメッセージを以下にお届けいたします。
学長式辞
皆様、おはようございます。本日は、校友会会長の松村様、後援会会長の増田様をはじめとするご来賓、ご家族の皆様をお迎えして、入学式を持てること、東京都市大学学長として、大変うれしく思います。
また、本日はお二人の特別なお客様をお迎えしております。お一人はオーストラリア連邦の駐日大使のジャスティン・ヘイハースト氏です。
His excellency the Australian ambassador to Japan, Justin Hayhurst, Thank you very much for attending today.
本学は2015年よりオーストラリア・パースにありますエディスコーワン大学およびマードック大学との協力により、東京都市大学オーストラリアプログラム、通称TAPを実施しています。TAPにはこれまで1,000名以上(累計)の学生が参加しており、現時点も216名の学生が留学中です。今年度からは英語力の高い学生を対象としてのAdvanced TAPも始めることにしています。
このプログラムに対し、オーストラリア政府、そして同国在日大使館からは様々なご支援をいただいております。本日の入学式には、ヘイハースト大使、ご自身にご出席いただいております。大使は日本に赴任されたばかりですから、おそらく初めての日本の大学への訪問だと思います。また、Pitt参事官にはTAP壮行会に続き、ご参列いただきました。
もうお一方、皆さんの先輩である、丸野 正様にもご出席いただいております。丸野様は1983(S58)年に本学電気工学科を卒業されており、現在は、浜松ホトニクスの代表取締役社長を務められております。浜松ホトニクスは、小柴先生、梶田先生の2件のノーベル賞受賞につながった「カミオカンデ」を支える、光の最先端技術の会社です。多くの卒業生が進まれてお勤めになっております。
お二人には後ほどお話をいただきます。
さて、本年度は大学院博士後期課程では総合理工学研究科に13名、環境情報学研究科に10名の計23名、大学院修士課程には総合理工学研究科に295名、環境情報学研究科に24名の計319名、学部につきましては理工学部に690名、建築都市デザイン学部に261名、情報工学部に203名、環境学部に189名、メディア情報学部に212名、都市生活学部に179名、人間科学部に100名、そしてこの4月よりスタートしたデザイン・データ科学部に110名の合計1,944名の学生をお迎えいたします。学部と大学院の合計で2,286名となります(入学者数はいずれも確定前)。皆さん、改めまして、入学おめでとうございます。教職員一同、皆さんを歓迎いたします。
さて、都市大の理念は「公正、自由、自治」です。都市大の前身の一つである武蔵工業大学は、1929年に武蔵高等工科学校として創立されました。今年で94年を迎えます。この学校は、ある学校に在学していた学生たちが、「学びたい」と思う一心のもとに、自らが、支援者、教えてくれる人をさがし、それを受け止めた3名の創立者の熱意により創立された学校です。きわめて稀な形で創立された学校ともいえます。「公正、自由、自治」の理念は、その時に宣言されました。
東京都市大学は、学校法人五島育英会に所属しております。五島育英会は、東急グループの創立者である五島慶太翁が1939年に設立した東横学園と武蔵工業大学を合併して1955年に設立した学校法人です。2009年には、東横学園女子短期大学と武蔵工業大学を統合し、東京都市大学が誕生しました。
五島慶太翁が好まれた言葉「熱誠」も、都市大の教育研究のバックボーンとなっています。五島慶太翁は「熱誠」について、次のように記されています。「人の成功と失敗との分かれ目は第一に健康である。次は、熱と誠である。体力と熱と誠とがあるならば、必ず成功する」新入生の皆さんもぜひ、この「熱誠」を、大事にしてください。
さて、本日は、都市大は、どのような方針で人材育成にあたっているのか、また、大学で、どのようにすれば有意義に過ごせるのかについてお話しします。
都市大では「実践的専門力を有し、世界で活躍できる人材の育成を目標としています」急速に、大きく変化する社会、環境の中で、リーダーとして活躍できる、タフな人材、が目指すところと言えます。そのために、様々な教育プログラムを展開しています。
皆さんに最初にお伝えしたいことは、大学では「知識を学ぶのではなく知識を獲得する方法を学ぶ」ということです。教員から与えられる知識を学ぶのではなく、自分から進んで、能動的に学ぶことです。それが大学生活の成功の秘訣です。今、社会から求められている人材は、自分で問題を発見し、解決できる人材です。少し違った言い方をするならば、現時点での知識はすぐに陳腐化し、役に立たなくなるということです。今は、たいていの知識はインターネットの検索で得られてしまいます。そのような知識は必要になった時にインターネットで検索すればよいのです。
問題の正解がある前提で解く暗記型の学びは、もはや意味がないとも言えます。そもそも、社会にある多くの問題には正解はないし、正しいかどうかなんて誰も教えてくれません。大事なのは答えに至るまでのプロセスです。繰り返しますが「知識を学ぶのではなく知識を獲得する方法を学ぶ」のです。
お伝えしたい2つ目は、「グローバルな人材になってください」ということです。そのための入り口が、世界の人たちとコミュニ―ケーションを取るためのツール、英語力を身につけることです。都市大でTAPを始めた理由はそこにあります。英語は、必須のツールです。
しかし、英語が話せてもグローバル人材とはいえません。グローバル人材とはグローバルに行動を起こせる専門家を指します。私は地球儀を見るのが好きです。私の地球儀は、小学生の時に買ったものですから、国の名前は大きく変わっています。そして、初めての国を訪問するときには、古い地球儀の国名と今の情報を調べます。ワクワクします。様々な文化的バックグラウンドの人々と心をつなげることは楽しいし、異なる文化や人々に好奇心を持って関心を寄せることがグローバルマインドの始まりとなります。
今、世界は大変な状況にあります。激動の時代とも言えます。コロナ禍は、様々な社会活動や経済活動を止めてしまいました。また、現在の科学技術の限界を示し、さらには日本の研究力の低さを露呈しました。地球温暖化問題は将来に向けての厳しい警報であり、我々の責任を示しました。今ウクライナで起きていることは、戦争warというよりは組織的大量虐殺genocideです。
我々は、今何ができるのか、何をすべきかを考え、行動することが求められています。皆さんは、これからの都市大の学生生活を通じて、世界で自分の果たすべき役割は何であるか、どのような貢献ができるのかについての解を出してください。
都市大は、皆さんに対する教育の効果について、IN入学時 と OUT卒業時で、どれくらい価値を高められるか、いわゆる教育付加価値が重要であり、そのような指標でのBest Value Universityでありたいと考えています。皆さんには、今まで経験したことのないほど、勉強をしてもらいます。そのつもりで、毎日を過ごしてください。
最後に、私が好きなアインシュタインの言葉をお伝えします。
Anyone who has never made a mistake has never tried anything new.
失敗を経験した事がない者は、何も新しい事に挑戦したことが無いということだ、です。失敗できない、したくないからチャレンジを避ける、では未来は開けません。リスクを恐れず、未知の世界に飛び込んだ人間、学び続ける人間だけが、新しい発想を生み出し、未来を開くと考えます。
チャレンジする気持ちが重要です。
皆さんが充実した大学生活を送られることを祈念いたしまして、式辞といたします。
東京都市大学
学長 三木千壽
理事長挨拶
新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
入試という難関を乗り越え、めでたく本日この席に座られている皆さんを、東京都市大学の仲間として教職員一同、心から歓迎いたします。そして、ご両親様をはじめ、ご家族の皆様にも、心からお喜び申し上げます。
また、ご多忙の中、この晴れの日のお祝いに駆けつけて下さいました駐日オーストラリア大使館のヘイハースト大使、ピット参事官には衷心より感謝申し上げます。
私ども学校法人五島育英会は、幼稚園から大学まで8つの学校をもって東京都市大学グループを形成し、学生・生徒数は約12,000人を擁し、各学校が培ってきた歴史と伝統を礎に教育事業を展開しております。また、大学の卒業者数は11万人を超え、多くの先輩方が社会の様々な分野で活躍されています。
新入生の皆さんが、今日からこの大きな集団の一員として、この集団のリソースを活用して大きく成長し、その成果をフィードバックすることで都市大グループのさらなる発展に大いに寄与して下さることを期待します。
さて、皆さんが入学した東京都市大学は、「工業教育の理想」を求める学生たちが中心となって創設された、日本においてきわめて稀な、学生の熱意が創り上げた大学です。本学の開校の歴史を少しお話させていただきます。
今から100年近く前の1927年に開校した、ある学校がありました。関東大震災から4年後という時代です。開校して間もなかったこともありますが、この学校では授業の時間割も間が空き、休講も多く、実験器具もなにひとつなく、学生が理解しようがしまいがお構いなしの講義で、学生からの質問にも頭から叱り飛ばしていたような状況でありました。このような状況に当時の学生たちは立ち上がり、数名の若者を中心に様々な人を巻き込みながら、1929年、本学の前身となる「武蔵高等工科学校」が開校されました。
「不満を不満のままに終わらせず、実情を訴え、理想とする学校をつくる」という学生たちの信念に基づいた行動は、「公正・自由・自治」という本学の建学の精神として表現されています。
皆さんは、この建学の精神を受け継ぐものとして入学されたのです。
これから皆さんが過ごす学生生活は、自分自身の責任で、自分の時間をコントロールできる、長い人生の中でも極めて貴重な時間です。それだけに如何に過ごすかが今後の人生を左右するといっても過言ではありません。ぜひ、この期間に本学設立以来育まれてきたDNA - 解決を待つ社会課題を発見し、自ら解決策を見出し行動する - を受け継ぎ、社会に貢献できる人材となって巣立って行かれることを期待しております。
私たち教職員も、本日入学された皆さんが、本学での学びによって、より多くの成果、満足感を得られますよう、一丸となり取り組んで参ります。
最後に、東急グループ及び五島育英会の創設者である五島慶太翁の言葉を借りて、結びとさせていただきます。 五島慶太翁は、人生で成功を収めるための必要要件として「体力」と「熱と誠」の2つを挙げており、「体力があって、熱と誠があれば物事は必ず成功する」と話しておられます。皆さんも、この言葉に従い、自分の目標を達成してください。
今日から新たな環境となりますが、まずは心身とも健全であり、本学の創設に尽力した学生たちのような熱意と誠実さをもち、充実した学生生活を送られますことを心から祈念いたしまして、私からのお祝いの言葉とさせていただきます。
学校法人五島育英会
理事長 泉 康幸
後援会会長ご祝辞
新入生の皆さん、入学おめでとうございます。また、ご家族の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。東京都市大学後援会を代表いたしまして心から皆さんを歓迎いたします。
本学の後援会は、学生のご家族を中心とした保証人の皆様を正会員として構成されています。後援会の目的は、大学と保証人の皆様との連携を緊密にして、学生の就学、学生生活の向上を助け、その他大学を後援して、その発展に寄与することにあります。主要な事業活動としては、新入生研修行事や大学行事の体育祭・学園祭と課外活動の援助、例年、秋に大学と共催で行われる「保証人対象 大学との連絡会」等が中心です。本学をよく知ってもらうためにも、ぜひ参加して頂ければと思います。
また、課外活動・学術活動での優れた成果に対し、「学生表彰」や卒業時の「後援会長賞」などの表彰もあり、入学から卒業にいたるまでの幅広い支援事業を展開しています。保証人の皆様は、後援会のホームページや年2回送らせて頂く会誌のTCM-COMを是非ご覧ください。更に新入生の保証人の皆様の中から、評議員として後援会にご協力頂ければと思います。事務局からの依頼がありましたらぜひ参画をお願いいたします。毎年5月に評議員会が開催され、新年度後援会活動計画の説明、運営等の審議・承認をいたします。また各学部の先生方および大学関係者の皆様との懇親の場もありますので親交を深めて頂ければ幸いです。
その後援会の活動に関しても、2019年末から続いた新型コロナの影響は、長く制約をもたらしてきました。しかし、ようやくこの5月からは「5類感染症」に移行される予定で、社会はコロナ発生前の世界に更に戻っていくと推測されます。これによって、いままで、会議体のオンライン方式や、人数制限、課外活動・学術活動の制限があったものが活性化されると思われ、後援会の役割を十分に発揮出来るようになると大いに期待しています。昨年の東京都市大学の大きなトピックスとして、キャンパス再整備事業により新築された世田谷キャンパス7号館や10号館の利用が開始されました。その斬新な建物は東京都市大学が未来に向かって大きく前進しているのを体感させてくれます。後援会も進化していく大学の中で更にアイデアを出し、工夫しながら、学生を応援、援助していきたいと考えております。
ここから新入生の皆さんに大事にしていって欲しい事を社会人として振り返ってみて、3点述べたいと思います。
1つ目はさまざまな人と接し、多くの人脈を作って頂きたいという事です。令和の時代に期待される社会人は、柔軟な感性を持つ人材であり、ワークライフバランスやダイバーシティを理解できる人材が必要と言われています。国籍、人種、ジェンダー、文化、歴史を含め、考え方の違う人とのコミュニケーションは、難しい部分もあると思いますが、勇気を持って自分から話しかけて欲しいと思っています。社会に出ると、そのバイタリティは非常に役に立ちます。新型コロナも5類感染症に分類されれば、グローバル化は再度加速し、ますます重宝されると思います。
2つ目は自分が周りの事も忘れて没頭できる、集中できる事を見つけて欲しいという事です。最近は、本当に多くの情報が世の中にあふれている一方で、情報の波に溺れて逆に何を選択してよいのか分からない、ということも増えているのではないかと感じています。「自分はこれが好きだ」、「こういうことにワクワクする」という気持ちを大事にしてみてください。それが将来役に立つかどうかは、実際にやってみないとわかりません。まずは思い立ったらすぐに行動に移して、いろいろ経験した中から、自分が夢中になれるものを見つけて、とことん追求してみる事が大切です。社会が多様化・複雑化していく中で、いろいろな事に挑戦できる人材が求められています。
3つ目は、人によってはハードルが高く感じるかもしれませんが、リーダーシップを取れる人を目指してください、という事です。最近会社の管理職等に対する評価でよく言われているのですが、マネージメントを出来る人はたくさんいるが、リーダーシップを取れる人材が少ない、という事です。ある経営本では「変革を行う人たちに必要な力はマネージメント能力だけでなく、リーダーシップだ。しかもリーダーシップは生まれつきの才能や選ばれたエリートが担うものではなく、誰でも発揮すべきものだし、誰でも育成することができる」とあります。学生時代から少しずつでも勇気を出して物事を率先しつつ、仲間と共に取り組む経験を重ねて欲しいと思います。数々の東京都市大学卒業生が社会に出てリーダーシップを発揮して変革を起こす姿を見る事が出来たら、と願う次第です。
以上、私の社会人としての経験から、大事にしていって欲しい事をお伝えしました。
東京都市大学における学生生活が皆さんの将来にとって素晴らしいものとなりますよう、心から祈念しましてお祝いの言葉といたします。
東京都市大学 後援会
会長 増田 浩二
来賓祝辞
本日は栄えある式典にお招きいただきまして、大変ありがとうございます。卒業生を代表して、お祝いを申し上げます。新入生の皆さん、ご入学誠におめでとうございます。 皆さんは受験勉強を卒業し、これから大学生として多くの事を学ぶと共に、社会人となるための準備活動もされていくことになると思います。 そのような皆さんに、私からは人生の先輩として社会で経験し、学んできた事を少しだけ共有させていただきたいと思います。
私は1983年に武蔵工業大学工学部電気工学科を卒業、その後浜松ホトニクス株式会社に入社し、ちょうど40年が経過しました。 浜松ホトニクスは高感度光検出器を主力製品とするメーカーで、静岡県浜松市に本社がございます。当社の製品は、一般消費者向けではないため、皆さんの目に触れる事はなく、ほとんどの方が当社の事をご存じではないと思います。従業員数は約4,000名、2022年度の売上は2,000億円で、営業利益率は25%以上と非常に高い利益を実現しています。また、企業価値を示す時価総額も1兆円を超え、静岡県では、自動車のスズキ、ヤマハ発動機を含め3社しかございませんが、それは当社の技術力が非常に高く評価されているからだと思います。
当社の製品は、医療・半導体・分析・産業など広い分野で、光を検出するための基幹部品として使われています。例えば医療器分野では、X線CTの画像検出器、コロナ禍で使われたPCR検査装置、コロナ変異株の検出のための遺伝子解析装置の微弱な光信号の検出器として使われています。近年では自動運転実現のための光検出器としても使われています。
当社が他のメーカーと大きく異なる点は、利益確保と同時に、社会・環境、科学技術の進歩にも大きく貢献をしている事です。科学技術貢献の代表的な例として、東京大学の小柴教授がカミオカンデ実験場で素粒子ニュートリノ検出に成功し、2002年にノーベル物理学賞を受賞されました。この実験では当社が特別に開発した50センチ径の大型光電子増倍管が1,200本使われました。
さらに、2015年には同じく東京大学の梶田教授がスーパーカミオカンデ実験場に於いてニュートリノ振動の発見でノーベル物理学賞を受賞されましたが、この実験では11,200本の光電子増倍管が使われ、大きな貢献をいたしました。
また、ヨーロッパのスイスにある大型衝突加速器CERNにおいてヒッグス素粒子の発見に使われた検出器も、当社の新規開発された大型シリコン半導体検出器で、2013年にヒッグス教授がノーベル物理学賞を受賞されています。
このほか当社独自の社会・環境貢献として、レーザ核融合発電があります。近未来の二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーとして注目され、民間企業としては世界で唯一、20年以上前から取り組み、実現のために大出力レーザの開発を継続しています。
このような浜松ホトニクスの環境で40年を過ごしてきましたが、その中で学んだ多くの事の中から、本日は皆さんに3つの事をお伝えしたいと思います。1つ目は失敗を恐れない事、2つ目は継続し最後までやり抜く事、3つ目は英会話を身に着けグローバルな思考を持つ事です。
1つ目にお伝えしたい事、これは自分が経験した大きな失敗から学んだ事がベースになっています。入社10年目で大型プロジェクトである超高感度蛍光画像入力装置の設計開発を任せられました。世界最高性能の製品に仕上がりエンジニアとしては大満足だったのですが、最初の2~3年間は全く売れる事はなく、大変な失敗を犯してしまったと落ち込みました。そこで、なぜ売れないのかを徹底的に調べた結果、市場をアメリカ一本に絞る事にしました。そして自分が設計した製品と連携ができる、アメリカの画像取り込み装置やソフトを製作するメーカー10社以上を何度も訪問し、連携を提案しました。しかし、英語の問題もありましたが、連携のメリットを上手く説明できないだけでなく、信用もしてもらう事ができず、挫折を繰り返すことになりました。そこで発想を転換させ、キーとなる最終ユーザに直接アプローチする手段にたどり着きました。当時、生物物理学分野では著名なUniversity of North CarolinaのTed Salmon教授の元に飛び込み、直接、製品の性能をアピールしました。とてもフェアな方で、良い製品ならすぐに試してみようという事になり、幸いにも高い評価を得る事ができたため、彼の名前で全米の関連研究者に向けて、製品の素晴らしさを発信して頂きました。これがトリガとなり、連携を否定していたアメリカの各社からも打診が来るようになり、最終的には大ヒット製品となりました。30年たった今でも主力製品の一つとして継続されています。
この経験から学んだことは、失敗を恐れない事です。失敗は成功の母と言われています。これから皆さんも様々な失敗に遭遇する事があると思います。そんな時、失敗を恥ずかしい事と思い保守的にならないでいただきたい。失敗から学ぶ事は沢山あるはずです。なぜ失敗したのか、その原因をじっくり考え、突き詰める事で、次の成功への糧にしていけばいいのです。
2つ目はやると決めた以上、継続し最後までやり抜く事です。 継続は力なりと言われます。成功するためには才能だけでなく、常に最善の努力をし続け、そして最後までやり遂げる事が成功の秘訣だと思います。継続しない限り成功は訪れません。
そして3つ目は英会話を身に着け、グローバルな思考を持つ事です。私は30歳過ぎから50歳まで1年の半分以上を欧米で過ごしてきました。皆さんもこれから、海外の方と接する機会が増えてくると思います。日本人は中学、高校、大学と英語を学びますが、残念な事に、英語で会話をする事が非常に苦手です。典型的な例として、日本人が海外で学会発表を行う時に、発表は暗記しているから難なく乗り切るのですが、質疑応答になったとたん、何も聞き取れない、回答できないというケースを沢山見てきました。議論をする事ができないという事は、自分の意見を伝えられない、主張できない、という事です。どんなに優秀で素晴らしい技術や知識を持っていても、それを伝えられないのであれば、能力がないと判断されてしまいます。ですので、ぜひ大学生活の中で英会話をしっかりと身に着けていただきたいと思います。東京都市大学には、充実した海外留学のプログラムがございます。是非、このシステムを活用して、一度、欧米人の社会に飛び込んでみてください。 必ず将来役に立つはずです。
以上、私から3つの提言をさせていただきました。皆さんは本日から、本学で専門知識を学んでいかれると思いますが、本日の3つの提言が、皆さんの学生生活に少しでもお役に立てれば幸いです。一度しかない大学生活です。失敗を恐れる事なく、多くの事にチャレンジしていってください。
最後に、東京都市大学のご発展と、本日ご臨席の皆様のご健勝をお祈り申し上げ、私からのお祝いの言葉とさせていただきます。ありがとうございました。
浜松ホトニクス株式会社
代表取締役社長 丸野 正
駐日オーストラリア大使 ご祝辞
Mina sama, ohayo gozaimasu.
Justin Hayhurst to mou shi masu.
Good morning, President Miki, Chairman Izumi, Professor Kusaka, distinguished guests and students.
I am Justin Hayhurst, Australian Ambassador to Japan. I thank President Miki for inviting me to deliver some words of encouragement.
To the students here today, congratulations on your admission to Tokyo City University.
I’m sure you have worked hard to get here, so you should be very proud of this achievement.
A university education is a privilege, but it is above all an opportunity.
Not just for you as individuals but for your society as a whole, which will need your talent and dedication.
And you are embarking on university life at a time of great promise, as well as great uncertainty.
Never has the power of human intellect and creativity been better rewarded, or more needed.
To create clean energy, improve digital governance, protect our environment or harness the power of quantum computing, for example.
We know also there are challenges for modern democracies like Japan and Australia.
We both need to work hard to improve productivity, tackle inequality and to protect our security.
That will require brain power and creativity.
It will require partnerships and collaboration.
And it will require critical thinking and open inquiry.
In my current role, I know more than ever about the importance of international engagement and cooperation.
I encourage you to think broadly and ambitiously about your studies – and the wider intellectual and social life of your university.
In our connected and contested world, language skills and international experiences will be invaluable.
They won’t just make a difference to your own prospects, they will help you better serve the interests of your country, the future of which is tied to the stability and character of the world outside.
It is the same for Australia.
Our connections matter more than ever.
If you do decide to study abroad, I encourage you to consider the ‘Tokyo City University Australia Program’.
This is a great opportunity for you to discover more about yourself, by experiencing Australia’s vibrant culture and society.
You will get an understanding of the power of mutual understanding and partnership.
Our two countries need to develop intelligent, creative and passionate future leaders.
You could be one of those leaders, and one who supports academic, business or governmental cooperation between Japan and Australia and other countries.
So, I wish you all the success in your studies at the Tokyo City University – and I hope to see you in Australia at some stage in the future.
Thank you and Ganbatte-kudasai!
皆様、おはようございます。
ジャスティン・ヘイハーストと申します。
三木学長、泉理事長、草賀大使、ご来賓の皆様、学生の皆さん、おはようございます。
私は、駐日オーストラリア大使のジャスティン・ヘイハーストと申します。
三木学長にお招きいただき、激励の言葉を述べさせていただきますこと感謝いたします。
本日お集まりの学生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
皆さんは、本日ここに至るまで大変な努力を重ねてきたことと思いますが、この成果を誇りに思うべきです。
大学での教育は特権であると同時に、何よりも機会でもあります。
個人としてだけではなく、社会全体が、皆さんの才能と献身を必要としているのです。
そして、皆さんは、大きな期待と同時に大きな不安の中で大学生活をスタートさせていることになります。
人間の知性と創造力が、これほど報われ、必要とされている時代はありません。
例えば、クリーンエネルギーの創出、デジタルガバナンスの改善、環境保護、量子コンピュータの活用などがその例です。
また、日本やオーストラリアのような近代的な民主主義国家に課題があることも承知しています。
私たちは、生産性の向上、不平等への取り組み、そして安全保障を守るために、共に努力する必要があります。
そのためには、思考力と創造性が必要です。
また、パートナーシップとコラボレーションも必要です。
そして、批判的思考と開かれた探究心も必要です。
私は、現在の職務において、国際的な関わりと協力の重要性をこれまで以上に実感しています。
皆さんには、自分の研究、そして大学での知的・社会的生活について、幅広く、意欲的に考えていただきたいと思います。
このつながりのある、そして争いの絶えない世界において、語学力や国際的な経験は非常に貴重なものとなります。
それは、あなた自身の将来性を左右するだけでなく、世界の安定と特徴に左右される自国の利益をよりよく実現することにつながるのです。
それは、オーストラリアにとっても同じことです。
私たちのつながりは、かつてないほど重要です。
もし留学を決めたら、ぜひ「東京都市大学オーストラリアプログラム(TAP)」を検討してみてください。
このプログラムは、オーストラリアの活気ある文化や社会に触れることで、自分自身をより深く知ることのできる絶好の機会です。
相互理解とパートナーシップの力を理解することができるはずです。
日豪両国は、知的で創造的、そして情熱的な未来のリーダーを育成する必要があるのです。
皆さんもそのようなリーダーの一人となり、日本とオーストラリア、そして他の国々との学術、ビジネス、政府間の協力を支援する一人となるかもしれません。
それでは、東京都市大学での勉学が成功することを祈るとともに、将来オーストラリアでお会いできることを期待しています。
ありがとうございました。がんばってください!
駐日オーストラリア大使
ジャスティン・ヘイハースト