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共同原子力専攻

専門分野の紹介

平成23年3月11日、東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所事故は、原子力に携わる者と否とにかかわらず、言葉に言い尽くせない衝撃と変化を我が国にもたらした。本学は5年前、原子力にかかわる新学科、原子力安全工学科を創設し、昨年度はじめての卒業生を世に送り出すことができた。さらに、3年前には、早稲田大学との連携協力のもと国内でも類をみない共同原子力専攻が設立され、初めての修了生を輩出した。技術の安全・安心への熱意と初志を貫こうとする強い意志に、送り出す側としても深い感銘を受け、逆に励まされもしている。
学科名に「安全」の語句があるように、本学は地震および関連災害への対処をその中核におく耐震安全性を柱の一つとし、関連分野の教授陣の強化を図ってきた。それはそのまま、大学院共同原子力専攻の強みなるだろう。原子力と放射線の基幹技術、および耐震技術を三大支柱とする大学院専攻は世界でも他に類を見ない。原子力安全に強い東京都市大学と原子力工学の基礎基盤となる工学系と加速器理工学に強い早稲田大学との共同大学院で、次世代の原子力利用・技術の展開を支える人材を育成を実践する事ができるという点で本共同大学院は今後の人材育成に極めて重要な教育・研究組織となる。また、原子力学分野で社会的に求められている「安全技術のみならず技術者倫理やリスク管理等の面からの十分な教育・研究体制」を実現させるため、原子力安全の観点においても、両大学が強みとするそれぞれの当該関連科目を配置することで、原子力産業界で求められる技術・人材を養成し得る、より高度で複合的な教育・研究活動が可能となる。
今後、原子力開発に力を入れようとしている国々も、トルコや一部中東諸国、ベトナムやインドネシア等、決して地震や津波に無縁な国ではない。日本の不幸な経験をポジティヴに克服すれば、その知見は、必ずやグローバルに生かされるだろう。

教育目標と身につく素養

福島事故対策で見え隠れするのは、原子力人材の高齢化の問題である。団塊の世代の退職により、若い世代への技術継承の問題に事故の影響がのしかかり、若い世代の教育と技術継承が喫緊の命題となっている。本専攻は、原子力、放射線技術、耐震/免震技術を研究教育の三大支柱とし、3年前から始まった新しい制度「共同大学院」を共同で運営する早稲田大学の有する知的資源と経験により三大支柱の間隙を補完することで、福島事故後の日本のおかれた特別な状況に対処できる優秀な研究者、技術者の育成をめざす。またそれを可能にするカリキュラムを用意している。事故は、昨年までの本専攻の教育目標を図らずも更に明確化することとなった。原子力はもちろん、機械、電気、あるいは原子力行政のあらゆる分野で活躍する基本的素養を身につけることもまた可能である。

共同原子力専攻の専門分野

共同原子力専攻の専門分野

学科目 研究内容

原子力システム工学 Nuclear System Engineering
核分裂炉及び核融合炉とは、原子核に内包される核子間の結合エネルギーを安全かつ安定的に取り出す装置である。そこで得られるエネルギーの密度と量は膨大である一方、反応の過程で放射性物質が生成されるため、炉システム概念を考える上では、安全性・環境適合性・資源性・核不拡散性・社会受容性といった総合的視点を持つことが重要である。こうした基本理念の下、当研究室では(1)核分裂、(2)核融合及び(3)医療の3分野に関わる研究を行う。(1)核分裂分野では、固有安全炉、濃縮・再処理を不要とする革新的原子炉(進行波炉)、トリウム増殖炉等の新型原子炉の設計の他、廃棄物消滅や有用元素生成のための核変換技術、さらには原子力の経済性、将来の電源構成及び福島原発事故で溶融した核燃料の撤去技術開発等を行う。(2)の核融合炉分野では、磁場型及び慣性型を見据えたブランケットの核熱設計や核変換への応用、(3)の医療分野では、ホウ素中性子捕捉療法などの医療への実用化に向けた研究を行い、社会経済活動を支える工学技術としての原子炉や放射線応用の発展に貢献する。研究実施にあたっては、民間企業、研究機関、他大学等、外部との研究交流を行うとともに、学会・国際会議で活発な成果報告を行い、社会が望む誠実かつ活力ある原子力技術者を育成する。
原子力安全工学 Nuclear Safety Engineering
わが国エネルギー供給の中核を担う原子力発電システムが一層安全なものとなるよう、関連技術の基礎研究を推進し、原子力を含むエネルギー全般の安全を技術的に論じられる人材育成を目的とする。とくに炉心からタービンまで、発電システムを循環する水と蒸気のふるまいに注目して研究テーマに取り上げる。熱および流体工学の学問基盤を通して、発電システムの安全設計の考え方、評価のしかた、工学的安全設備のしくみ、設備保全などの革新的な技術を追求する。
放射線計測工学 Radiation Detection and Measurement Engineering
「放射線可視化技術の開発」:放射線透過像取得用システムや画像処理法の開発。およびJAEAで稼働している大強度陽子線加速器からのパルス中性子用高性能カメラ検出器の開発。「加速器制御」:KEKで稼働しているデジタル加速器の制御法の開発。「原子炉シミュレータ」:原子炉制御実験実習用の実体験型原子炉シミュレータの開発。「高性能放射線検出システムの開発」:可動式放射線線量測定用ロボットの開発。
放射線応用工学 Applied Radiation Engineering
中性子線、γ線、α線等を利用して原子力をはじめ種々の分野で使われている材料中の微量・超微量元素を分析・評価する計測技術の開発やその応用を行っている。また、原子力に関わる安全環境の解明として、高レベル放射性廃棄物の超深地層処分における核種移行研究、原子炉事故や核実験による人や地球環境への影響評価、さらに、環境物質の超微量放射化分析法や放射年代測定法に関する教育・研究を行う。
原子力社会学 Nuclear Sosio-Engineering

我が国を含む東アジアは世界有数の地震地帯であり、不確かさの大きい自然現象である地震により生じる地震動、津波等に対する安全性確保が最重要課題である。建屋、機器、配管などの健全性確保のための耐震・制震・免震構造、 耐水構造等の高度化、複合災害も対象とした原子力施設をシステムとしてとらえた確率論的リスク評価、安全対策と セキュリティ対策を統合的にとらえた防災対策を含めた危機管理に関する研究を行い、原子力エネルギーの社会への定着を図る。

>> 早稲田大学共同原子力専攻サイトへ

教育課程表 学科目および必修科目/履修モデル

>> 教育課程表 学科目および必修科目(PDF:150KB)

>> 授業科目 教育課程表(PDF:123KB)

>> 履修モデル(PDF:150KB)

進路/職業

博士前期課程を修了した学生は、国の原子力研究開発機関、原子力規制側の諸機関、電気・機械メーカー、コンサルタント会社、実際に原子力発電所を所有する電力会社に主に就職している。また、広い裾野をもつ放射線利用分野での活躍も著しい。博士前期課程修了後、博士後期課程に進学し、さらに専門性を深め、研究を継続することも可能である。

原子力システム工学、原子力安全工学:
国(官庁、省庁)や地方行政機関(県庁)、独立行政法人研究機関、電力会社(原子力発電所)、プラントメーカー、核燃料・放射線取扱い事業に係る企業

放射線計測工学、放射線応用工学:
国(官庁、省庁)や地方行政機関(県庁)、独立行政法人研究機関、電力会社(原子力発電所)、放射線機器メーカー、プラントメーカー、医療機器関連会社、非破壊検査会社

原子力社会学:
国(官庁、省庁)や地方行政機関(県庁)、独立行政法人研究機関、電力会社(原子力発電所)、プラントメーカー、機械系メーカー

共同原子力専攻の専門分野

共同大学院教育研究分野とカリキュラム構成


東京都市大学と早稲田大学との間、交通至便な渋谷にある渋谷サテライトクラス

共同原子力専攻の授業の大半がここで行われる

■共同原子力専攻第1期生合同修了式後の懇親会

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