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トピックス詳細(プレスリリース)
東京都市大学
東京都市大学(東京都世田谷区、学長:三木 千壽)総合研究所 子ども家庭福祉研究センター長の早坂 信哉教授らは、本学の重点推進研究として学童期の子どもを育てる保護者へ生活実態調査を行い、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の影響による保護者と子どもの状況、課題を明らかにしました。
COVID-19対策の特別措置法に基づく1回目の緊急事態宣言が発出されてから間もなく、2年が経とうとしています。外出自粛や休校、テレワーク推奨などの急激な変化は、子育て家庭の環境にも大きな影響を及ぼしており、不安やストレスを抱える保護者は少なくありません。今回行った調査は、学童期の子どもを育てる保護者319名を対象とした生活実態調査で、COVID-19の影響により、「子どもと過ごす時間が増える」といった良い影響があった一方、昼食の準備や仕事との切り替え、子どもの運動不足といった悪い影響もあったことが明らかになりました。また、これにより、環境の変化に応じた保護者への支援の必要性も見えてきました。
今後は、より大規模な調査の実施を通して研究の精緻化を図るとともに、保護者の悩みに合わせた有効な支援モデルの提案を図ります。なお、この研究は日本健康開発雑誌に採択され、本日、j-stageに早期公開されました。
URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjhr/advpub/0/advpub_202243G02/_article/-char/ja
本研究のポイント
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緊急事態宣言時の子どもに関する心配ごとは「運動不足」がトップ(60%)
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親のストレスは「子どもの昼食準備」が最大の原因(44%)
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緊急事態宣言・休校等、コロナによる行動制限時は子育て家庭の悩みに合わせた支援が必要か
概要
東京都市大学 総合研究所 子ども家庭福祉研究センターの早坂 信哉教授らは、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の感染拡大に伴う行動制限等の施策を背景に、ストレス負荷の高い状況におかれた学童期の子育て家庭に生活実態調査を行い、家庭における保護者と子どもの状況と課題を明らかにしました。対象者は学童期の子どもをもつ保護者319名(緊急事態宣言等の期間の異なる3都県:岩手県105名、東京都108名、沖縄県106名)で、調査には基本データ16項目と調査内容32項目から構成された質問紙を用い、2021年1月にweb調査会社を介して行いました。
①子どものことでの不安
行動制限のかかる生活のなかで、「運動不足」(59.9%)、「教育」(54.5%)、「健康」(45.5%)、「心の問題」(37.9%)の順に学童期の子どもへのネガティブな影響を不安視する家庭が多いことが明らかになりました(図1参照)。
②子育て環境の変化と仕事への影響
新型コロナウイルス感染症の流行前後における子育て環境の変化と仕事の能率や成果への影響については、他地域と比較して東京都において「影響があった」と回答した保護者が多く、このうち良い影響があったと感じていた保護者は、家庭生活において「子どもと話す時間が増えた」(67.5%)、「子どもと一緒に遊ぶ時間が増えた」(61.3%)、「子どもとの距離が近づいた」(28.8%)などが理由として挙げられました(表1参照)。一方で悪い影響があったと感じていた保護者は、仕事において「ながら仕事になる」(39.5%)、「集中して仕事ができない」(34.2%)、「仕事と育児の切り替えがうまくできない」(34.2%)などの理由が挙げられました(表2参照)。
良い影響については家庭生活における子どもとの関わりのポジティブな変化、悪い影響については家事、仕事における能率や成果へのネガティブな影響が認められました。
③ 親のストレス要因
外出自粛時に親がストレスを感じたことについては「子どもの昼ご飯を準備すること」(43.9%)、「子どものゲームやテレビ視聴が長くなること」(42.9%)、「子どもを連れて外出しづらいこと」(40.8%)、「子どもに勉強を教えること」(35.1%)などが挙げられ、子どもと一緒に過ごす時間が増えたことによるストレスも明らかになりました(図2参照)。
④登校できないことへの備え
学校に登校できない期間を想定した備えをしているか、という質問に対しては他地域と比較して東京都において「すでに対策を考えている」と回答した保護者が多く、既に実施した具体的な対策については「習い事」「学童保育」「保護者が学校の宿題を確認する」の3項目において、東京都の保護者が他地域よりもその有効性を高く評価する結果となりました。
研究の社会的貢献および今後の展開
本研究は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴う行動制限等の施策を背景に、ストレス負荷の高い状況におかれた学童期の子育て家庭に生活実態調査を行い、家庭における保護者と子どもの状況と課題を明らかにすることを目的として行いました。
現在もオミクロン株による第6波が収まらない状況ですが、本研究の成果は、以前のような緊急事態宣言や休校が増加した際に、学童期の子どもを育てる家庭がどのような不安やストレスを抱え、どのような支援を必要とするのかについての一つの指針となります。本研究の引き続いての課題は、より大規模な調査の実施を通して研究知見の精緻化を図るとともに、休校期間中の子どもの教育について子育て家庭が抱える不安に対して有効な支援のモデルを提案していくことが考えられます。
共同研究者
東京都市大学 総合研究所子ども家庭福祉研究センター
教授 井戸 ゆかり、准教授 園田 巌、准教授 横山 草介、研究員 亀田 佐知子
<取材申し込み・お問い合わせ先>
企画・広報室(E-mail:toshidai-pr@tcu.ac.jp)