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トピックス詳細(プレスリリース)
鹿児島県長島町
東京都市大学
化石研究家の宇都宮 聡氏によって、長島町獅子島東部に分布する白亜紀の地層から2021年11月に、多量の恐竜化石を含む骨化石密集層(ボーンベッド)が発見され、東京都市大学 理工学部 自然科学科の中島 保寿准教授らとのチームによる研究がスタートしました。恐竜化石を含む密集層は何層にも渡り周辺に広く分布しており、福井県勝山市や兵庫県丹波市などに匹敵する量の脊椎動物化石を含有する「ボーンベッド」である可能性があり、日本の古生物研究史上、大変重要な発見と言えます。
長島町は、発見者の宇都宮 聡氏・東京都市大学中島准教授を中心とする発掘調査団を結成し、2022年度春から調査~発掘を順次、進める予定です。
<化石の概要>
名称:恐竜化石の密集層(ボーンベッド)
発見場所:鹿児島県長島町獅子島東南部
地層:御所浦層群
推定年代:中生代白亜紀(約1億年前)
発見者:宇都宮 聡
発見日: 2021年11月21日
■ボーン・ベッドとは
ボーンベッド (英語: bone bed)とは骨や骨の破片を多量に含む特定の地層または堆積物である。鱗、歯、糞石、あるいは有機物の屑を含み、リンに富むことが多い。「ベッド」は「地層」の意味であり、ボーンベッドは脊椎動物化密集層とも言いかえることが出来る。日本国内での恐竜を含むボーンベッドとしては、福井県勝山・石川県白山市・兵庫県丹波市などに分布する白亜紀層から知られている。
■ 発見者
今回のボーンベッド発見者の宇都宮 聡氏は、会社勤めのかたわら、趣味である化石採集をライフワークとし、九州初の首長竜【サツマウツノミヤリュウ・鹿児島】・巨大モササウルス類【大阪】・恐竜類( 肉食【国内最大級獣脚類の歯・石川】・魚食【スピノサウルス類・和歌山】・植物食【イグアノドン類・鹿児島】)など、重要な化石を多数発見した実績があり、2020年には、今回と同じ獅子島の別産地から、鹿児島県初の翼竜化石を発見している。自身発見のサツマウツノミヤリュウについては、大阪市立自然史博物館の外来研究員として学術研究・記載論文の記載まで行っているほか、著書として「クビナガリュウ発見!」、「日本の恐竜図鑑」シリーズ(共著書を含む)等がある。
■発見場所
長島町獅子島東部の海岸に分布する白亜紀陸成層(約1億年前)で、宇都宮氏が周辺の地層を調査中、地層表面に、多数の大型爬虫類の骨片が露出しているのを発見。東京都市大学の中島准教授(専門:古生物学)による骨化石の分析の結果、恐竜化石と判明した。
■ 同定の根拠
発見された化石のうち一つは骨壁の厚さから大型の脊椎動物の骨の一部であると推定された。この骨の組織を一部採取して顕微鏡で観察したところ、骨の内部に網目状の血管が張り巡らされており、さらに、異なる2種類のタイプの組織の複合体である「線維層板骨(Fibrolamelar bone)」でできていることがわかった。これらは恐竜類や哺乳類など一部の成長の早い大型の動物にのみ見られる特徴である。したがって本化石群は、白亜紀という時代設定も考慮して恐竜類と同定した。
■ 期待される学術的意義
獅子島東部の約1億年前の白亜紀層は、恐竜など大量の脊椎動物化石を含んでいる可能性が髙いと期待される。約1億年前の白亜紀中頃は、地球の温暖化が進行し、現代の生態系を構成する様々な生物が飛躍的に進化した時代であったとされており、さらに、その進化のホットスポットがアジアにあったという研究もある。獅子島のボーンベッドは、現代の生態系のルーツとなる生物たちと、絶滅した恐竜たちとの相互作用を理解する上で重要な化石産地となると期待される。
■ 今後の予定
2022年6月頃から獅子島地区大型脊椎動物化石発掘調査団(仮称)を結成し周辺地域の調査~発掘を順次進め、発掘した化石は調査・研究が終了した段階で長島町に寄贈され、鹿児島県立博物館で展示する予定。
<取材申し込み先>
企画・広報室(E-mail:toshidai-pr@tcu.ac.jp)