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トピックス詳細(プレスリリース)
東京都市大学
東京都市大学(東京都世田谷区、学長:三木 千壽)環境学部 環境マネジメント学科の伊坪 徳宏 教授ら研究チームは、世界における環境影響(例えばヒトの健康影響や生物種の絶滅など)を解析する手法「LIME3」を開発しました。評価結果は貨幣価値で表示することが可能であり、製品の価格や、環境や社会に配慮して活動する企業に投資する「ESG(環境・社会・企業統治)投資」の額を定めるうえで有力な資料になることが期待されます。
本手法では、世界で初めて、全世界を対象に環境影響を貨幣価値として換算することができるようになりました。また、環境の変化に脆弱な途上国における評価を網羅している点でも優れています。
現在、複数の企業が試用しており、その結果の一部は、12月6日開催の、一般社団法人産業環境管理協会「LIME3出版記念セミナー(同時開催:エコプロ2018)」において報告される予定です。
本研究のポイント
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気候変動、大気汚染、水・資源消費など世界で起きる環境影響を体系的に分析した
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複数の環境影響を貨幣価値で表示できるようにした
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企業活動に伴って発生する環境影響の評価結果は「ESG投資」の基礎資料として利用可能である
概要
気候変動、大気汚染、水・資源消費など、地球規模の環境影響が深刻化するなか、持続可能な社会構築に向けた企業活動や消費行動が求められています。環境に配慮した製品を選択したり、環境や社会に配慮して活動する企業に優先して投資するには、企業活動が世界に及ぼす環境影響を定量的に評価する手法が必要です。
このたび、伊坪徳宏教授ら研究チームは、世界における環境影響を解析する手法「LIME3」を開発しました。評価は枠組(図1)の流れに沿って貨幣価値で表示することが可能です。貨幣価値での表示は、既存手法の「LIME2」でも行ってきましたが、国内を対象とし、日本の環境影響の要因を係数としていたため、世界を網羅するには、不十分な点がありました。そこで、同一の方法で比較評価できるよう世界各国の環境影響を網羅した本手法を開発しました。製品の価格や、「ESG投資」の額を定めるうえで有力な資料になることが期待されます。
LIME3を用いた評価例として電力の分析結果を示します(図2)。1kWh(1時間あたりの電力量)発電までの環境影響は、日本は4円であるのに対して、中国は18円(日本の4倍)、インドは25円(日本の7倍)になりました。これらの国は、石炭火力発電が多いため、CO2に加えて微小粒子(PM2.5)の原因物質であるNOxやSO2の排出量が多く、かつ、人口が多いことが影響したと考えられます。一方、カナダやブラジルといった水力発電などの再生エネルギーの割合が多い国は上に挙げた物質の排出量が少なく、日本よりも影響が低いものと考えられます。
現在、LIME3はLCA日本フォーラム主催の「LIME3活用検討」研究会で積水化学工業株式会社や太平洋セメント株式会社など複数の企業が試用しています。その結果の一部は、12月6日開催の、一般社団法人産業環境管理協会「LIME3出版記念セミナー(同時開催:エコプロ2018)」において報告される予定です。
近年は、「ESG投資」への対応など環境情報の開示に積極的に取り組む企業が増えています。本手法の公開により、企業のESG活動の貢献度について示されることが期待されます。